イランの首都テヘラン市では近年大気汚染が深刻になっています。その被害が文化財にもおよび、イラン国立博物館に展示・収蔵されている金属製遺物の腐食等が懸念されるとの相談が同館を含むイラン当局の専門家から寄せられました。
そこで、東京文化財研究所保存科学研究センターの協力を得て、イランにおける博物館の展示・収蔵環境の実情を調査するとともに、その改善に向けた技術移転および人材育成に関する支援を2017年より開始しました。
博物館の保存環境管理や文化財の生物被害防止を主なテーマに、日本への招聘または現地への講師派遣を通じて、イラン人専門家に対する講義やスタディー・ツアーを実施しています。また、2018年にはイラン国立博物館に環境計測機器を設置して大気汚染の実態を調査し、具体的な対策方法と助言をまとめた報告書を提出しました。
東京文化財研究所における講義
イラン国立博物館における保存環境調査
予算
東京文化財研究所運営費交付金「アジア諸国等文化遺産保存修復協力」