ネパールでは、平成27(2015)年4月に相次いで発生した地震によって、カトマンズ盆地を中心とした地域の文化遺産も甚大な被害を受けました。
東京文化財研究所では、文化遺産の震災復旧を担当する同国政府考古局(DOA)ほか諸機関と協力し、世界遺産「カトマンズ盆地」を構成する旧王宮や寺院等の歴史的建造物及び同暫定リストに記載されている盆地内の歴史的集落を対象にして、その保存修復や保全に対する支援を行っています。
カトマンズの中心部にあるハヌマンドカ王宮・アガンチェン寺及び周辺建造物群の修復に係る支援では、復旧や修復の方針について現地の関係機関との議論を重ねるとともに、現地に常駐するJICA専門家と共同で修復工事の開始に向けた準備作業を進めました。また、カトマンズ盆地内の歴史的集落の復興及び保全に係る支援では、都市環境保全の専門家の参加を得て、歴史的集落の復興状況に関する現地調査及び関係者との協議を進めるとともに、歴史的環境への意識啓発を目的に、現地の行政職員等を対象とした歴史的集落エンジニアワークショップや歴史的集落市長会議を定期的に開催しました。
→刊行物紹介:「ネパールの被災文化遺産保護に関する技術的支援事業総括報告書」
ハヌマンドカ王宮・アガンチェン寺の応急措置
カトマンズ盆地歴史都市市長会議のブレックファーストミーティング
予算
文化庁委託文化遺産国際協力拠点交流事業「ネパールの被災文化遺産保護に関する技術的支援事業」(2017~2019)
関連リンク
Department of Archaeology, the Government of Nepal (英語)