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事業詳細

背景

アルメニアにおける染織文化遺産保存修復研修 【保存計画研究室】

コーカサス地方に位置するアルメニア共和国の文化遺産保護をめぐっては、2011年度以来、同国文化省への協力を行ってきました。その一環として、染織文化遺産の保存修復に関する技術移転・人材育成を目的とする研修ワークショップを3か年にわたり実施しました。

アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教としたことでも知られており、世界文化遺産にも登録されているエチミアジン大聖堂には、古来より受け継がれてきた典礼服飾品など、宗教的・歴史的に価値のある品々が多数保管されています。しかし、それらの中には損傷が激しいものもあり、適切な手法で修復を行うことが急務となっています。一方、紀元前から波乱に富んだ歴史を有する同国では、考古遺跡からも繊維などの有機物が多く出土しますが、そのような遺物の保存方法に関するノウハウも不十分で、専門的人材の養成が課題となっていました。

2017年度か2019年度にかけて、各年とも約2週間ずつの現地ワークショップを開催しました。初年度は染織文化遺産に関する基礎的な知識や技術、2年目は実際に遺跡から出土した染織遺物に対する分析・収蔵手法、3年目は染織文化遺産に用いられている染料の特定や技法の分析に関する研修を行い、国内7機関から計14名のスタッフが参加しました。

刊行物紹介:「アルメニアにおける染織文化遺産保存修復ワークショップ2017-2019事業報告」

 

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技法の分析

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考古染織遺物を用いた実習

 

予算
東京文化財研究所運営費交付金事業「アジア諸国等文化遺産保存修復協力」(2017~2019)