①:事業背景や現状
「幸福の国」として知られるヒマラヤの王国ブータンは伝統的文化の保護継承を国是としており、自然豊かな美しい国土に点在する伝統的民家も文化的景観の重要な要素となっています。一方で、社会構造の変化や快適な居住環境への要望、耐震性能への不安など、伝統的建築をとりまく状況は徐々に厳しくなっており、建て替えなどによる古民家の消失も加速しつつあります。
②:事業目的や主な活動
東京文化財研究所では、これまでに蓄積したブータンとの協力事業の成果と文化遺産保護における我が国の経験をもとに、ブータン政府が成立を目指している文化遺産基本法によって新たに保護の対象となる民家を含む歴史的建造物全般について、文化遺産としての適切な保存と自立的かつ持続的な活用を推進することができるように、ブータン内務文化省文化局遺産保存課(DCHS)に協力し、支援を行っています。
③:具体的な事例
令和元年度には、1)DCHS専門職員の招へいによる民家の保存活用事例に関する視察研修、2)ブータン国内の指定候補となりうる民家等を抽出するためのケーススタディ、3)これまでの協力事業で見いだされた保存候補民家の適切な保存修理及び活用の方法を検討するための調査、4)ティンプー市近郊カベサのラモ・ペルゾム邸(保存候補民家の一つ)の保存と活用に関するワークショップへの参加、を行いました。
→ 刊行物紹介:「ブータン王国の歴史的建造物保存活用に関する拠点交流事業―保存候補民家の修理計画および保存活用計画の検討ー文化遺産としての民家の価値評価手法の検討―」<https://www.tobunken.go.jp/kokusen/detail.php?id=22>
→「Department of Culture, the Royal Government of Bhutan」<http://www.departmentofculture.gov.bt/en/>
伝統民家の保存改修方法に関するフィールドワーク
伝統民家の保存に関する住民へのインタビュー
予算
・文化遺産国際協力拠点交流事業