中東のシリアでは2011年3月に内戦が始まり、終結を見ぬまま既に9年の月日が経過しています。人的被害は言うまでもなく、内戦の被害は貴重な文化遺産にも及んでいます。2015年のISによる世界遺産パルミラ遺跡の破壊のニュースを覚えている方も多い方と思います。
東京文化財研究所では、シリア内戦下の文化遺産の被災状況を把握し、日本国内に広く発信していくため、ユネスコなどの関連機関から専門家を呼び、2013年以来、シンポジウムを定期的に実施しています。また、日本政府とUNDP(国連開発計画)は2017年から文化遺産分野においてシリア支援を開始し、現在は、奈良県立橿原考古学研究所が中心となって、シリア人専門家に対して考古学や保存修復分野の研人材育成プロジェクトを展開しています。東京文化財研究所も、このプロジェクトに参加し、2018年から、シリア人専門家のために「紙文化財の保存修復」に関する研修や「歴史的都市および建造物の復興に向けた調査計画手法」に関する研修を実施しています。
東京文化財研究所には1920~30年代にアレッポやパルミラ遺跡などを撮影した貴重な古写真が保管されています。将来の修復に役立ててもらうため、こうした資料もシリア側に提供しています。
「紙文化財の保存修復」に関する研修
「歴史的都市および建造物の復興に向けた調査計画手法」に関する研修
予算
「シルクロードが結ぶ友情プロジェクト」実行委員会委託事業「シリア人専門家研修」