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事業詳細

背景

トルコ共和国における壁画の保存管理に関する協力 【技術支援研究室】

トルコ共和国には、制作された時期や趣旨の異なる数多くの壁画が現存し、それらは同国の貴重な文化遺産であるとともに、主要な観光資源としても活用されています。中でもカッパドキア地域に広がるあまたの奇岩を彫りぬいてつくられた岩窟教会群の壁画は有名です。この事業では、こうした壁画を保存していくうえで重要となる応急処置のあり方を見直し、そのプロトコルを確立させていくことを目標に実施しました。

研修では、トルコ共和国内に10箇所設置されている国立保存修復センター所属の専門家を対象に、現場実地研修と座学で構成された研修を計4回企画しました。カッパドキアにあるタガール教会では、11〜12世紀に制作された壁画を対象に、損傷マッピングや写真記録撮影といった基礎調査から、修復材料の実験や部分固定方などを導入した実践訓練を行いました。

このように保存管理をテーマに掲げた研修事業は、これまでトルコ共和国において企画されたことがなく、参加者からは改めて文化財保存とは何かを見つめ直す良い機会になったと高い評価を得ることができました。また、事業が終了した現在も、研修の中で学んだ知識と技術を現場活動に生かしているとの嬉しい報告が届いています。



トルコ壁画_左.jpeg
タガール教会での研修風景



トルコ壁画_右.jpeg
研修参加者との集合写真


予算
・東京文化財研究所運営費交付金事業「保存修復技術の国際的応用に関する研究」
・文化庁委託文化遺産国際協力拠点交流事業「トルコ共和国における壁画の保存管理体制改善に向けた人材育成事業」(2017~2018)