研究会「アート・アーカイヴの諸相」を開催します。
「アーカイヴ」ということばは、ふたつの意味で用いられます。近現代美術史の研究にあてはめると、ひとつは、スケッチブックや日記や書簡など自筆資料、展覧会絵葉書や一枚物の目録や同人誌的な雑誌などの少部数しか作成されなかった印刷物、失われた作品を記録し作家の風貌を伝える写真や音声記録などのように、ともすれば失われやすい資料をさすことばとして使われます。もうひとつは、そのような資料を集積する「場所」を表わし、アーカイヴを集積する機関としての「文書館」のことであったり、また図書館のなかに設けられた特定作家の個人文庫などにも用いられることもあります。
今回の研究会は、比較的近い時代の「アート・アーカイヴ」をテーマとして企画しました。第一部として、「アーカイヴ」を活用し、またその構築に携わっている美術史家、アーキヴィスト、ライブラリアンが個別発表を行います。それぞれの立場からアメリカや日本の個別の「アーカイヴ」を紹介し、またそこから見えてくる「アーカイヴ」にまつわる思考、方法論などについて考察するものです。これらの発表を踏まえ、第二部においては、おも に日本における戦後美術に関する「アーカイヴ」の現状を確認しながら、そのあり方、広がり、可能性について、ディスカッションを行いたいと考えています。
関心をお持ちの方、関係機関の方のご参加を心よりお待ちしております。
|