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カラー写真(左)赤外線写真(右)

「赤外線撮影(近赤外線撮影)」では、対象物に近赤外線を照射して撮影します。近赤外線を吸収するものは黒く、反射するものは白く記録されます。例えば赤外線を吸収する「炭素」は下描きに用いられる木炭などに多く含まれることから、近赤外線写真では表面からは分からない下描きの線や、描き直した跡などをとらえることができます。

《湖畔》では、ポーズするモデルと、背景となる湖の水平線、山の稜線といった大まかな構図が下描きされていたことがわかります。  完成した油彩画と赤外線写真を見比べると、モデルの持つ団扇の位置などの細部は変化していますが、大幅な描き直しはなく、写生に基づくと考えられる下描き段階での構図がほぼそのまま採用されたことがわかります。