ブックタイトル「鉄構造物の保存と修復」日本語版

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概要

「鉄構造物の保存と修復」日本語版

場合を想定し、できる限り腐食の発生を抑えることとして、T-1ジェット練習機で不明であった異種金属による接触腐食発生と錆びやすい金属との関係などの錆発生のメカニズムについて、実機を用いて検証する必要がある。船舶では、腐食防止のためにイオン化傾向の大きい金属を接続する方式などが、古くから実用化されている。航空機でも、腐食を抑える実用的な手法が実用化されることが強く望まれる。当面の間は、日本航空協会などの航空機保存に取り組む諸機関に連絡を取り、アドバイスを求めることが勧められる。5海没などにより塩素イオンを含んだ金属には、脱塩処置が不可欠となる。6鉄の腐食を安定させるためのタンニン酸の塗布は、腐食の防止に有効な方法ではあるが、表面を黒色に変色させてしまう。鉄の腐食も温湿度を管理することにより防止できるため、先ずは温湿度をコントロールすることを優先する必要があり、防錆油の塗布も有効な手法となる。7金属の腐食は、不用意に手を触れることにより手油な註1.半田邦夫『航空機生産工学』オフィスHANS、2018増補改訂4版、p.732.同上、pp.68-693.伊藤伍郎「アルミニウムとその合金の腐食」『防食技術』1978、27、pp.194-2024. Malcolm Collum「Standards for Restoration at NASM」『近代産業遺産(美術工芸品)に関する海外事例調査事業報告書』2017、pp.112-1305.長島宏行「米国の事例について」『近代産業遺産(美術工芸品)に関する海外事例調査事業報告書』2017、pp.61-906.東京文化財研究所保存修復科学センター「零式三座水上偵察機搭載機器類劣化対策試験報告」20097.日本航空協会航空遺産継承基金事務局「鐘馗のエンジンが見つかった」『航空ファン』No.626 2005.02、pp.73-75参考資料1.『インターネット航空雑誌ヒコーキ雲』航空歴史館日本軍用機・自衛隊機の研究http://dansa.minim.ne.jp/どが付着し、進行する場合がある。したがって、見学者はもとより博物館職員にも手を触れぬよう注意を喚起し、触れてしまった時には無水アルコールなどで付着した油をふき取る必要がある。※本文中、写真キャプションに撮影者の記載のないものは著者が撮影を行った。69