ブックタイトル「鉄構造物の保存と修復」日本語版

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概要

「鉄構造物の保存と修復」日本語版

表4-8:調査結果を参考に作成された保存に関する検討項目部位検討項目実施状況駆動系使用するグリスの変更○歯車潤滑のためのグリース自動給油装置の設置モーターの取り替え(または、インバーターによる制御)、インバーター制御の高度化歯車の振動計測によるモニタリング(噛み合わせに異常が出ると警告が出る)駆動系支持部腐食による断面欠損が確認されたロープ巻上げドラムの基礎の補修または補強○歯車支持台を固定しているアンカーボルトの修理○写真4-52:グリスの注入口(赤い矢印)写真4-53:長浜大橋の可動部【維持管理状況】本橋の駆動装置(写真4-49,50)は、可動部設計を担当したとされる山本卯太郎の特許第82007(昭和4年(1929))と同じ構造であり、一部の消耗品(ワイヤーなど)を除き当初の部品が継続使用されている(図4-8)。可動桁は、日中は上げた状態が保たれており、夜間は下ろされている。日中は、貨物列車の通過に伴い稼働し、1日8回運用している。橋の維持管理については、平成28年度(2016.4-2017.4)に専門家の評価を含む詳細調査、診断が実施された。調査、診断では、歯車を含む駆動系の劣化調査が行われ、専門家からの提案を基に、表4-7の対策が検討されている。保守点検は月1回、グリスの塗布、可動時の異音、振動などが点検されている(写真4-51,52)(表4-8)。写真4-54:長浜大橋機械室内部(2)長浜大橋竣工:昭和10年(1935)構造形式:鋼製跳開橋、橋長232.3m、幅員6.6m、鋼製高欄付、親柱、袖高欄及び袖柱附属、鋼製鈑桁二基(鋼製塔柱及び平衡桁を含む)、鋼製ワーレントラス五基、鉄筋コンクリート造橋脚六基、鉄筋コンクリート造橋台二基、跳開装置一式(木造上屋を含む)よりなる設計:増田淳重要文化財指定:平成26年(2014)12月10日指定基準:(二)技術的に優秀なもの、(三)歴史的価値の高いもの所在地:愛媛県大洲市長浜町沖浦、長浜所有者:愛媛県、大洲市写真4-55:取替られた機械類の展示状況【維持管理状況】本橋の駆動装置(写真4-53,54)は、平成12年に更新され、写真4-56:機械室内で確認できる当初の歯車(現役)100第6章鉄構造物の保存と修復に関する事例集