ブックタイトル「鉄構造物の保存と修復」日本語版

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「鉄構造物の保存と修復」日本語版

1 2 3123写真4-47:第5径間上流側7番目ピン周辺の「A7」の合番(提供:(株)文化財保存計画協会)(1)末広橋梁(旧四日市港駅鉄道橋)竣工:昭和6年(1931)構造形式:鉄製プレートガーダー橋四基(跳上橋一基を含む)、コンクリート製橋台二基(築堤部護岸を含む)、コンクリート製橋脚四基(機械室を含む)、バランスウェイト・支柱及び巻上装置一式(操作室を含む)よりなる設計:山本卯太郎重要文化財指定:平成10年(1998)12月25日指定基準:(二)技術的に優秀なもの、(三)歴史的価値の高いもの所在地:三重県四日市市末広町、千歳町所有者:日本貨物鉄道株式会社・東海旅客鉄道株式会社、三重県写真4-48:その他の合番「F2T」、「F11X」(提供:(株)文化財保存計画協会)5向きや順番などを示す。(推測)各部材には、それぞれ意味を持つ合番の組み合わせが付けられることで、固有の位置を特定することが出来る(図4-7)(写真4-47,48)。写真4-49:末広橋梁可動部【所見】合番は、工場で製作・加工した部材を、現場の決められた位置に正確に取り付けるために工夫された施工方法で、切断や削孔など現場加工が難しい鉄材の特性から生まれた鉄構造物固有の施工技術である。今まで橋梁の痕跡調査対象はロールマークや銘板など製造元や部材規格等を表すものが主であり、合番に着目した調査は見受けられない。今回、合番を調べることで、各記号が持つ意味や構成、付け方の規則性等を概ね把握することが出来ている。合番は製作側が現場へ送るメッセージとして非常に合理的かつ簡潔な表現となっている。合番があることで各部材は現場のあるべき位置に取り付けられ、その機能を発揮できるもので、製作現場と架橋現場の協同作業を示す証といえる。写真4-50:末広橋梁機械室内部4.5.可動橋の維持管理方法鉄構造物の維持管理は、対象となる構造物の規模、立地環境、運用状況、所有団体などに左右されるため、一義的に扱うことはできない。ここでは、重要文化財に指定されている現役の可動橋(末広橋梁、長浜大橋、旧筑後川橋梁)の駆動装置(モーター周辺の部品や機械室内の部品)を中心に維持管理の状況や方法を紹介する。維持管理方法は表4-7にまとめた。写真4-51:光沢のある部位は歯車同士が接触している部分98第6章鉄構造物の保存と修復に関する事例集