ブックタイトル未来につなぐ人類の技16 近代文化遺産の保存理念と修復理念

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概要

未来につなぐ人類の技16 近代文化遺産の保存理念と修復理念

写真20端島のコンクリート構造物の保存の問題幸運なことに、私はそれらの産業遺産のほとんどを訪れている。三池炭鉱の事例は、私の視点からすると比較的容易に保全が可能なものであったと考えられる。私はこれまでに世界遺産に登録された11箇所の産業遺産に関わっており、それらについて熟知している。しかし、2度訪れたことがある端島については、その保存・修復が最も挑戦的な産業世界遺産であることを認めざるを得ない(写真20)。世界遺産の観点では、端島は100%のオーセンティシティを保っているが、今後どのようにその完全な姿を維持することができるだろうか。もし端島が鋼鉄のみの構造物であるのならば、その保存・修復において、私はより望みを抱くかもしれない。しかし、端島はほぼコンクリートで建造されており、保全が非常に困難なものであると思われる。私は日本の研究者の方々が、この挑戦において成果を得て、保存・修復のとてつもない努力が実ることを願っている。20