ブックタイトル未来につなぐ人類の技16 近代文化遺産の保存理念と修復理念

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概要

未来につなぐ人類の技16 近代文化遺産の保存理念と修復理念

ンドブラストのような大掛かりな道具が必要となる。しかしながら、サンドブラストは当初部材の表面を削ってしまうため、好ましいものではない。それゆえ、我々は現在、腐食から守るために、主に高圧洗浄機を用いて狭い隙間のクリーニングを行っている。このような経験を踏まえ、我々は大型鉄骨構造物の修理は不可能なものではなく、その費用についても現実的な見積もりが可能であると考えている。その一方で、我々はコンクリート構造物において、より多くの問題を抱えている。修理の費用は高額となり、通常では鉄骨構造物の修理の約10倍の費用が必要となる。大規模な製鉄所の保存は、ヨーロッパ全土に普及しており、各国に保存・修復の対象となる高炉が2、3基はあるだろう。ヨーロッパでは、実際に稼働している高炉よりも、保存されている高炉の方が多くある。ドイツだけでも、ルール地方のドルトムントにあるフェニックス製鉄所の2基の高炉のように、将来、景観公園や博物館として整備されないであろう15基の近代高炉が、記念建造物として保護されている。このような高炉は、簡単な修復処置を施されてそのまま維持されているが、我々は人々が活用できるよう、これらのうち1基の改修を行ったことがある。写真7ルクセンブルグベルヴァル製鉄所写真9道路のロータリーの真ん中にある高炉の遺跡写真8ヴィートコヴィツェ製鉄所写真10マックスヒュッテ製鋼所14