ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

ページ
100/106

このページは 御料車の保存と修復及び活用 の電子ブックに掲載されている100ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

御料車の保存と修復及び活用

質疑応答より以下は、平成24(2012)年11月30日に開催された研究会での質疑応答と意見を、抜粋及び編集したものです。●国による鉄道車両の違いについて世界全体の鉄道史の観点では、日本初の御料車製造はイギリスの鉄道技術が基礎となりますが、国によって様式の違いや系列などはあるのでしょうか。言及されましたように、1号御料車につきましては、イギリス人の指導で設計し日本人がその製造に携わりましたので、基本的にはイギリス型です。国による違いですが、例えば、ドイツ型とイギリス型では台枠の形体が異なるというように設計方針に違いがあるだろうと私は考えています。また、イギリスでは鉄道会社やエンジニアによっても違いが生じます。(堤一郎)●御料車の展示空間について明治村と台湾鉄路管理局での展示方法は異なり、鉄道博物館では御料車がガラスで仕切られた空間に展示されています。それにはどのような理由があり、どのような機能が備わっているのでしょうか。ガラスで仕切ることにした理由には、明治村での場合と同様に、まず手を触れさせないという目的があります。そして、カビの発生や埃の侵入を防ぐ目的もあります。1号御料車と2号御料車の展示空間では、空調設備も完備しています。当館では御料車の美術品的価値を守りながら保存と展示を両立するうえで、このようなガラスで仕切られた空間が必要であると考えています。(嶋立良晴)●昭和期の御料車の保存について今までに保存と修復の対象になった御料車は、明治及び大正期のものが主ですが、今後、昭和期の御料車も保存の対象とする、もしくは、そのような計画が既にあるのでしょうか。私の知る範囲でお答えしますが、明治村の中野裕子氏の発表にありましたように、明治村の御料車は東海旅客鉄道株式会社(JR東海)が所有しています。鉄道博物館のものは東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の所有となります。他の御料車はJR東日本が所有していますので、いずれは98