近代建築に使用されている油性塗料

近代建築に使用されている油性塗料 page 24/74

電子ブックを開く

このページは 近代建築に使用されている油性塗料 の電子ブックに掲載されている24ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
近代建築に使用されている油性塗料

22不可となり、こじ開けることで塗膜が剥れる被害も生じている。また、油性調合塗料は、酸化重合して完全に乾燥するまで数週間かかるため、オープンタイムが工期に大きく影響する。展示公開を目的とする建造物では、非公開の期間を長く設けることが難しい。油性調合塗料には、こうした施工方法に関する課題もある。一方、油性調合塗料と合成樹脂系の塗料には、共通する課題もある。両者とも乾燥すれば堅い膜を作るため、硬化した塗膜の下で木部が腐朽し、発見したときには被害が広がっている場合がある(写真19)。しかし油性調合塗料は、合成樹脂系の塗料より表皮が捲れやすく、木部の腐朽と平行して塗膜が劣化し下地が露出するため、比較的腐食の発見が早まる傾向にある。明治時代の洋館は建ちが高くて軒先が短く、前近代の建築と比較して雨仕舞いが悪い。こうした部分や木部の割れから雨水が浸透して、堅い塗膜の下で腐朽することを予め想定して観察、写真20 北里医学館外観写真21 塗膜調査