紅葉小禽図
142.3×79.7cm
画面全体にひろがる紅葉とオオルリと見られる青い鳥を配した作品。画面右端下方に、「藤女鈞印」白文方印と「若冲居士」朱文方印が捺される。ほとんどの紅葉に裏彩色が施されており、ほかの「動植綵絵」の作品と同様に、表面からのみの彩色、裏彩色と表面からの彩色を併用したもの、裏彩色のみといった、塗り分けにより、緑色から黄色味のある橙色、鮮やかな赤色、えんじ色に近い赤色、赤みのある茶色へと、色を変えていく楓の様子が表されている。向かって左上から右下へ帯状に墨が裏面から掃かれているのは、光の差し込む様子を表しているものと見られ、光によって紅葉の色の見え方が異なることを意識した表現になっているとも考えられる。紅葉の形は一様に正面向きで文様的とも言えるが、複雑かつ繊細な色の塗り分けは若冲の彩色表現の一つの頂点を示している。