| 文化遺産国際協力センターではその設立直後から、東南アジア地域での野外の文化財の劣化と保存について、対象国の機関と共同で調査研究を行っています。現在は、タイ、カンボジアおよびインドネシアで運営費交付金による調査研究を行っており、さらに、ベトナムでユネスコ日本信託基金等により、ハノイにあるタンロン皇城遺跡の保存整備に関する協力を実施しています。
東南アジア地域はそのほとんどが熱帯から亜熱帯に属しています。より高温で雨の少ない乾季、毎日のように大雨の降る雨季が明瞭に分かれている地域が多く、環境の変化は大きく、特に雨季の植物の成育は活発であって、その制御は容易ではありません。その地域の文化財そのものだけでなく、劣化の原因となるさまざまなレベルでの環境条件の特徴を調査し、正しく把握することが、文化財の保存を考えるうえで不可欠です。
また、博物館のような収蔵施設とは異なり、環境の制御が難しい野外において、文化財に直接「介入」することに対しては慎重でなければならず、何かを行う際には、できるだけ影響の少ない方法が何かを検討することが必要です。保存処理は万能でも、効果が永続的なものでもないことに留意する必要があります。たとえば日々のメンテナンスというのも、検討の対象となり得るでしょう。矛盾するようですが、野外での状態の観察からできるだけ保存に望ましい環境を見いだし、それを文化財全体に適用できないか?というような検討も行う必要があると考えています。
文化遺産国際協力センターでは、日本での調査研究の経験を生かす一方、この地域特有の条件に注意深く着目しながら、調査研究を続けています。また、このような環境条件がより過酷な地域での経験は、日本での文化財保存に対しても生かされるものとなります。
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