歴史遺産法

 

=目次=

前文

序章 総則

第1条 目的及び対象
第2条 国家行政府の役割
第3条 スペインの歴史遺産財産査定評価輸出委員会
第4条 消失又は毀損等による掠奪
第5条 国外持ち出しによる掠奪
第6条 実施機関
第7条 市町村役場の役割
第8条 通報義務

第一章 文化財の宣言について

第9条 文化財の宣言手続
第10条 審議の開始
第11条 文化財宣言の審議
第12条 総合登記所
第13条 所有者等の義務

第二章 不動産について

第14条 みなし不動産
第15条 建築又は工学の所産である不動産若しくは巨大彫刻作品
第16条 不動産に関する文化財宣言の審議開始
第17条 地域との関連性
第18条 文化財として宣言された不動産の撤去・移動
第19条 工事に関する認可
第20条 特別保護計画及びその他の立案文書
第21条 伝統的建築群に関連する計画
第22条 考古学区域での工事等
第23条 工事の実施許可
第24条 崩壊の宣言及び審議
第25条 工事停止命令

第三章 動産について

第26条 非重要文化財動産総合目録
第27条 動産の扱い
第28条 動産譲渡
第29条 不法輸出
第30条 公定利率
第31条 一時輸出
第32条 文化財宣言の猶予期間
第33条 みなし売却申込
第34条 国家名義の動産

第四章 動産及び不動産の保護について

第35条 国家情報計画
第36条 文化財の保存・活用等
第37条 所轄機関の役割
第38条 先買権・買戻権
第39条 保存・補強・復旧

第五章 考古学遺産について

第40条 スペインの歴史遺産の構成
第41条 考古学的発掘・考古学試掘等の定義
第42条 考古学的発掘・考古学試掘等の認可
第43条 考古学的発掘・考古学試掘等の実施命令
第44条 発見物
第45条 公共機関が取得した考古学的物

第六章 民族学的遺産

第46条 スペイン村落の伝統文化関連
第47条 民俗学的特徴

第七章 文書・文献目録遺産について、並びに文書館、図書館、及び博物館・美術館について

第1節 文書・文献目録遺産について
第48条 文書・文献目録遺産
第49条 文書遺産
第50条 文学的、歴史的、学術的、又は芸術的な作品
第51条 不可欠な財産の悉皆調査等
第52条 文書・文献目録遺産に関わる義務
第53条 総合目録の特別枠
第54条 文書館への移送
第55条 財産の排除又は除外
第56条 財産の処分、輸出及び輸入
第57条 文書の閲覧
第58条 行政文書高等査定委員会
第2節 文書館、図書館、及び博物館・美術館について
第59条 文書館、図書館、及び博物館・美術館
第60条 図書館及び博物館・美術館の設備に当てられた動産等
第61条 文書館及び図書館及び博物館・美術館の創設
第62条 スペイン市民の入館の保障
第63条 財産の保管受入れ等
第64条 文書館等の設置場所
第65条 各種組織間の機能の調整等
第66条 諸制度の制定及び編集

第八章 振興措置について

第67条 出資手続及び基準
第68条 公共事業の予算配分
第69条 優遇税制
第70条 控除
第71条 廃止
第72条 美術作品及び文化財の免税措置
第73条 物納
第74条 振興措置適用の為の評価

第九章 行政違反及びその処分

第75条 動産の無認可輸出
第76条 行政違反行為
第77条 行政処分の為の聴聞会
第78条 罰金
第79条 消滅時効及び行政手続法の準用

附則
仮則
終則
廃則

 

 

前文 


スペインの歴史遺産は、世界文明へのスペイン人の歴史的貢献及び当時のその創造力についての重要な証である。それを構成する財産の保護及び繁栄は、憲法(la norma constitucional)第46条が全ての公権力(Los poderes públicos)に対して述べる命令に従って、同公権力に関係する基本的な責務である。
今世紀最初の約三十年、立法者に代わって(para el legislador)同種の命令を制定するという要請(exigencias)は、我々の知的、法的及び民主的に優れた伝統に連なる者たちによって模範的に履行された。例えば1933年5月13日付法律から継承した実定法(el positivo legado)が良い例である。
そのように認識しているものの、前述の要請に応じる新しくより広範な法的回答(respuesta legal)、即ち今後の事業(proyectos)となる、スペインの歴史遺産についての積み重ねられた経験に基づいた真の法典(verdadero código)の検討作成という任務に着手することは、あまりにも幸いな歴史過程が終焉した(consumirse)最初の瞬間以来、我々国民が自らの自由を回復したことによって、決定的になった。
その法規の必要性(necesidad)は規範散逸の為に特に重要であった。この規範散逸は、当時規定されなかった又は存在しなかった具体的状況に立ち向かおうとした多数の措置(formulas)を、我々の法令(Ordenamiento jurídico)の中に尊き法の施行時から半世紀の間に作り出した。同様にその責務は、国際共同体及びその代表機関(la comunidad internacional y de sus organismos representativos)側から高まった当問題(esta materia)についての懸念から派生しているが、それはスペインが署名し遵守してはいるもののスペイン国内法に採択されなかった条約及び勧告(convenciones y recomendaciones)に表された歴史的及び文化的財産(los bienes históricos y culturales)の保護及び繁栄の新しい基準を生み出した。法改正(La revisión legal)は、前述財産に関して憲法及び地方自治基本法(los Estatutos de Autonomía)から生じる国家・自治共同体(Comunidades Autónomas)間の権限を新しく配分することを最終的に課すことになる。従って本法は、立法者及び国家行政(la Administración estatal)の為に命令及び管轄権(un título competencial)を前提とするような、我々の憲法第149条1項及び2項に含まれる規則(normas)によって発布される。
本法は、歴史遺産の新しい定義を認定し、その範囲を著しく広げた。
考古学遺産及び民俗学遺産、並びに文書・文献目録遺産(el patrimonio documental y bibliográfico)、国立の博物館・美術館(los museos)、文書館(archivos)及び図書館で構成される動産及び不動産は、本法に含まれる。即ち本法は、その保護を保証し、広義における人間の行為に活力のある有形文化(la cultura material)を形成することを求め、その特性(propiedad)、用途、年代、又は経済的価値から生じる制限を定めず、それ自体評価されるべき一つの財産として把握する。
そのことは、保護及び振興(fomento)措置が法によって我々の歴史遺産を構成すると看做される財産全体に画一的に広がるということを意味しない。本法は、様々な法の範囲(categorías legales)と対応する様々な水準の保護を定める。本法は最も包括的なものであり、その法自体の名前をスペインの歴史遺産法とし、スペインの歴史遺産とはスペインが普遍文化(la cultura universal)に寄与(la aportación)した歴史的、芸術的、学術的又は技術的価値を持つあらゆる財産からなる。その概念をめぐり、本法の重要措置(las medidas esenciales)が構築されるとともに、国家行政府(la Administración del Estado)の管轄(competencia)である介入方法(las técnicas de intervención)、特にその違法輸出の防衛及び掠奪の防止方法が明確にされる。
文化財の部門(categoría)は、スペインの歴史遺産の深奥に主要な保護(protección y tutela)を与える(otorgar)目的で格別な価値を取得するものであり、それはより明白に前述の(スペイン歴史)遺産として、その保護を必要とする動産及び不動産に拡張される。類似する部門は、財産の性質の帰する処に応じて法が定める特例措置(medidas asimismo singulares)を同様に含む。
本法はまた、その評価(valoración)を可能にする為に必要な方策(las fórmulas)も規定する。というのは、国民(un pueblo)の歴史遺産の防衛は、その保存を促しそれ故にその享受を許し並びにその増加を促す条項(disposiciones)に基づいていない限り、(イ)特定の活動を禁止した規準(normas)又は(ロ)ある種の使用を制限する規準によって独占的に行われるべきではないからである。
このように、本法は一連の納税(tributaria)措置及び財政措置を条件づけるとともに、その歴史及び文化、すなわちその歴史遺産(acervo patrimonial)によって、我々の隣接諸国で現在考慮されている(contemplar)ものと同じ視野にスペインを置くような、新らに定められた道筋(cauces)を開く。スペインの歴史遺産を有効に管理する(gestionar)為の適切な政策は、前述のように推進される。すなわちそれは、(イ)遺産と共存する人々が歴史遺産に払う敬意を高めるにつれ、(ロ)更にまた社会への然るべき反対給付(las lógicas contraprestaciones)を以て遺産に配慮する為の援助(ayuda)が公権力の促進によって設けられるにつれ、歴史遺産が増え且つこれが守られることを確信させるような教育的、技術的且つ財政的な奨励(estimulo)を監視活動(la acción vigilante)に補完するような政策である。
スペインの歴史遺産は、スペイン人たちの普遍文化への歴史的資産の中で最も評価に価する表現を持つ集合財産(riqueza colectiva)である。その価値には、文化的自己認識(identidad cultural)の一部として市民(los ciudadanos)の感性に基づき評価が与えられる。なぜなら、それを構成する財産は、同市民らがそれを見直すもととなった評価から直接派生すると共に独占的に行った社会活動ゆえに遺産(patrimoniales)となったからである。
従って最終的に、本法は、我々の歴史遺産であるところの財産への接近(acceso)だけを求める。本法が定めるあらゆる保護及び振興措置は、方向性そのもの(sentido si)を単に与えるのであり、結集された人智から生まれた相続財産(herencia)である作品を多くの市民が最終的に鑑賞及び享受できるように漸次、導くものである。
なぜなら、民主国家(un Estado democrático)において前述の財産は、その財産の享受をもって教養文化に触れること(acceso a la cultura)を容易にすること、並びにそれが最終的に人々の自由までの確かな道程であることが確信される時、これを共同体機関(servicio de la colectividad)の中に適切に位置づけなければならない。

 

 

序章 総則 

第1条【目的及び対象】

1. 本法の目的は、スペインの歴史遺産を保護し、増やし、且つ未来の世代に伝えることである。

2. 芸術的、歴史的、古生物学的、考古学的、民族学的、学術的、又は技術的な価値を持つ不動産及び動産物、文書・文献目録遺産、鉱脈(los yacimientos)、考古学区域は、スペインの歴史遺産を構成する。芸術的、歴史的、又は人類学的価値を持つ自然地域、庭園及び公園も同様である。

3. スペインの歴史遺産の中で最も優れた財産は、本法で定められた条件に則り、文化財としての目録作成又は宣言がなされなければならない。

 

第2条【国家行政府の役割】

1. 国家行政府の重要な義務(deberes)及び権能(atribuciones)は、その他の公権力に相当する権限を損なわない限り、憲法第46条、第44条、第149条1節1及び第149条2節で定められた通り、スペインの歴史遺産の保存を保証するものであり、また同様に、同<遺産>の繁栄を促し、それに含まれる財産のあらゆる市民の利用を促進及び庇護するものである。同様に、憲法第149条1節28で定められた通り、国家行政府は、違法輸出及び掠奪に対し先述の財産を守らなければならない。

2. スペインの歴史遺産に関して、国家行政府は、その他の公権力及びそれら公権力の間での相互協力を容易にする為に、また、前項で記された目的を明確にするすべての情報を入手し与える為に必要な措置を採らなければならない。

3. (イ)スペインの歴史遺産を構成する諸財産についての知識の国際的普及、(ロ)違法に輸出された場合の財産の奪回、並びに(ハ)他の国家及び国際機関との文化、技術及び学術情報の交換は、憲法第3編第149条1項で定められた通り、同じく国家行政府の権限に属する。その他の所轄機関は、国家行政府とともに、その目的の為に協力しなければならない。

 

第3条【スペインの歴史遺産財産査定評価輸出委員会】

1. スペインの歴史遺産に関連する活動計画及び情報計画の伝達及び交換は、歴史遺産評議会(el Consejo del Patrimonio Histórico)によって促され、それは州政府評議会(su Consejo de Gobierno)から指名された各自治体州機関(Comunidad Autónoma)の代表者一名及び議長(Presidente)をつとめる国家行政府の管轄長官(el Director General correspondiente de la Administración del Estado)から構成される。

2. 国家行政府の諮問機関は、歴史遺産評議会に付与された役割(las funciones)を損なわない限り、本法において定められた趣旨に基づき国家行政府が法に則り(por vía reglamentaria)定める機関―スペインの歴史遺産財産査定評価輸出委員会(la Junta de Calificación, Valoración y Exportación de Bienes del Patrimonio Histórico Español)、諸々の王立アカデミー(las Reales Academias)、スペインの諸大学、学術研究高等機関(el Consejo Superior de Investigaciones Científicas)、諸高等協議会(Junta Superior)―とし、また自治共同体(una Comunidad Autónoma)に関しては、それに認められた諸機関(las Insitutuciones)とする。これら全ての機関は、この場合その他の専門組織及び文化団体から得られる(recabarse)助言(asesoramiento)とは別である。

 

第4条【消失又は毀損等による掠奪】

本法に従い、スペインの歴史遺産を構成する財産の価値の全て又はその一部を消失又は毀損の危険にさらすか、若しくはその社会的役割を果たすことを妨げる如何なる行為又は懈怠(omisión)も掠奪と看做される(entender)。その時、国家行政府は、その自治共同体(las Comunidades Autónomas)に属する権限とは別に、如何なる時でもその掠奪を回避する為の導入的な措置を緊急に採用することに、それぞれの自治共同体政府(el Consejo de Gobierno de la Comunidad Autónoma)の所轄部門(el departamento competente)を通じて関与(interesar)できる。仮にその要請(requerimiento)を怠る場合、国家行政府は、掠奪された財産の法的にも技術的にも奪回及び保護に必要な事柄を処分(disponer)しなければならない。

 

第5条【国外持ち出しによる掠奪】

1. 本法に従い、スペインの歴史遺産を構成する如何なる財産もスペイン領域から出すことは、掠奪と看做される。

2. 百年以上前の前記財産若しくは本法第26条で定められた総目録(el Inventario general)に登録された財産の所有者(los propietarios)又は保持者(poseedores)は、その輸出に関し、規則に定められた形式(la forma)及び条件に則った国家行政府の明白且つ事前の認可を要する(precisar)

3. 前項の規定に関わらず、本法第31条及び34条が定めるところに反しない限り、文化財(los bienes de interés cultural)と宣言された財産の輸出を禁じる。並びに、本法で定められた(previsto)特別保護の部類の何れかに財産を含める為の審議が開始されるまでの警戒措置(medida cautelar)として、スペインの歴史遺産に属することを理由に利用不可の財産であると国家行政府が明確に宣言するその他の財産の輸出についても同様である。

 

第6条【実施機関】

本法に従い、以下はそれを実施する管轄機関(organismos competentes)と看做される。
 a. それぞれの自治共同体において歴史遺産保護をその任務とする諸機関。
 b. 国家行政府の諸機関(スペインの歴史遺産を構成する財産の不法輸出及び掠奪を防止する為の国家行政府の介入が明白に指示されるか又はその介入が必要となる時)。これらの諸機関はまた、国家行政府の管理する公共機関が指定するような、(イ)スペインの歴史遺産を構成する財産か又は(ロ)国家遺産を形成する財産に関連する部門(componentes)である。

 

第7条【市町村役場の役割】

本法実施の為に市町村役場(Ayuntamientos)は、その市町村域(término municipal)に含まれるスペインの歴史遺産の保存及び保管(custodia)の所轄機関と共に、その損傷又は損失若しくは破壊を回避する為に適切な措置を採り協力しなければならない。その財産がその社会的役割から被るあらゆる脅迫、被害又は騒擾を所轄機関に知らせなければならない。これらの財産への配慮に伴う障害及び苦難についても、同様である。本法によって明らかに付与されているその他の役割も同様に果たさなければならない。

 

第8条【通報義務】

1. スペインの歴史遺産を構成する財産の破壊又は損傷の危険に気づいた者は、可及的速やかに(en el menor tiempo posible)所轄機関に知らせなければならない。その者は、通報対象を確認し、本法の規定通りに(a lo que en esta Ley se dispone)迅速に行動しなければならない。

2. スペインの歴史遺産を構成する財産の防護に関する本法の規定の履行(el cumplimiento de lo previsto)を、行政機構(los órganos administrativos)及び行政訴訟裁判所(los Tribunales contencioso-administrativos)に請求する訴訟(la acción para exigir)は、公開される(públicar)

 

 

第一章 文化財の宣言について 

第9条【文化財の宣言手続】

1.本法を所轄する官公庁によって(por ministerio de esta Ley)、又は個々に示された(de forma individualizada)勅令を通じて、文化財として宣言されたスペインの歴史遺産に不可欠な財産は、特例の保護(protección y tutela)を受ける。

2.勅令による宣言は、本法第6条に定められた通り、所轄組織(el organismo competente)を通じて行政審議の、事前の開始及び手続きを必要とする。その審議の時、第3条2項で示された何れかの諮問機関からの、又は自治共同体(Comunidad Autónoma)内での同一の性質が認められる諮問機関からの賛同通知(informe favorable)が記録(constar)されていなければならない。その通知が発せられることなく申請から三ヶ月が経過した時、所定の判断(el dictamen requerido)が文化財の宣言に相応しいものであると看做される。その審議が不動産に及ぶ時は、さらに一定の期間、情報公開を行うことが定められ、且つ関係する市町村役場に聴聞会(audiencia)が与えられなければならない。

3.審議は、開始されたその日から最長二十ヶ月の猶予期間(el plazo)内に決議(resolver)しなければならない。遅滞が告発された場合、並びにその告発(denuncia)から四ヶ月内に決議が定まらない(recaerse)場合、その審議の失効(caducado)は、前述期間を経過することでもたらされる。失効した審議は、権利者(el titular)の申し立てによるものを除き、翌三年間再開することはできない。

4.存命する作家の作品は、文化財として宣言されることができない。但し、その所有者の明確な許可がある場合、或いはそれを入手することが政権(la Administración)を通し行なわれる場合を除く。

5.決定済み文化財宣言の無効を勅令によって決定する為には、職務により又は法的・直接的遺産の権利者の要請により、所轄の行政審議機関(el organismo competente expediente administrativo)によって、何れかの諮問機関の賛同的かつ正当な通知を含まなければならないことを手続化することができる。

 

第10条【審議の開始】

何人も文化財の宣言の為の審議の開始を申請できる。所轄機関は、その開始が適切であるかを決定する。同決定、並びに当案件における審議の結果及び決議は、審議を希望した者に知らせられなければならない。

 

第11条【文化財宣言の審議】

1. 文化財の宣言の為の審議の開始により、関連する財産に関しては、文化財として宣言された財産の為に規定された同じ保護制度(régimen de protección)の暫定的な適用が決まる。

2. 文化財を宣言する審議の決議は、その財産を明確に記述しなければならない。不動産の場合その宣言に関連する周囲の状況を画定し、その場合には宣言に含まれる構成物及び所有物並びに付属品は、明記され且つ列挙されなければならない。

 

第12条【総合登記所】

1. 文化財と宣言された財産は、国家行政府に属する総合登記所(un Registro general)で登録され、その組織及び役割は規則に則り定められる。前述の審議の開始は、同登記所に通告され、審議中はその最終決議が定まる(recaer)までに相応の予防登録(anotación preventiva)をもたらす。

2. 不動産の場合、その登記(la inscripción)は第14条2項で言及された概念のうちの何れかによってなされなければならない。

3. 歴史記念物及び歴史庭園について所轄機関は、さらに財産登記所(el Registro de la Propiedad)における無償の宣言登録を職務として(de oficio)請願する。

 

第13条【所有者等の義務】

1. 文化財と宣言された財産については、総合登記所を通じて同財産の出処を証明する公的証明書(un titulo oficial)を交付し、同証明書には、その財産に対してなされる法律行為又は芸術行為が表示されなければならない。前述した財産の委譲(transmisión)又は変更(los traslados)は、登録簿(el Registro)に記載されなければならない。同証明書の書式及び書体は、規則に則り定められる。

2. 同様に、その財産の所有者、勅令による権利者、又は何らの資格(titulo)によってそれらを保持する者は、(イ)規則に則り定められた無償の条件によって、少なくとも一ヶ月に四日間、事前に指定された日時に、事前にしかるべき申請があれば、所轄機関による財産の検査(inspección)及び研究者たちにその研究を許し促す義務、並びに(ロ)その公開見学を許し促す義務がある。その責務の最終的履行は、正当と認められた理由がある場合、所轄機関によってその全体若しくは一部を免除され得る。
動産の場合も同様に、代替責務として、(イ)相応しい保安条件及び(ロ)二年毎に最大五ヶ月間の展示をするのに相応しい条件を満たすような場所での財産保管が合意され得る。

 

 

第二章 不動産について 

第14条【みなし不動産】

1. 形成材料が如何なるものであれ、(イ)分離されている可能性がある場合には他の建造物に安易に付着するか若しくは(イ’)その原状と異なる使用によって完全な一体(un todo perfecto)になっていても、並びに(ロ)付随する不動産自体が分離(separación)することで歴史的又は芸術的な価値に視覚的損害を与えなくても、本法及び民法第334条の諸項目(los enumerados)の趣旨に則り、(い)建物と不可分であると見なされ得るあらゆる要素、若しくは(ろ)建物又はその周囲環境の一部を形成するか又は形成していたあらゆる要素は、不動産として看做される。

2. スペインの歴史遺産に不可欠な不動産は、歴史記念物、歴史庭園、伝統的建築群及び史跡、並びに考古学区域のこれらすべてが文化財として宣言され得る。

 

第15条【建築又は工学の所産である不動産若しくは巨大彫刻作品】

1. 建築又は工学の所産である不動産若しくは巨大彫刻作品は、歴史的、芸術的、学術的又は社会的な価値を持つ場合は常に記念物である。

2. 歴史庭園とは、区切られた空間であり、人間による自然要素の配置から作られた空間であり、人工物で時には補われる空間であり、並びにその起源又は過去の歴史、若しくはその美的感覚的又は植物学的価値に応じて遺産(interés)として評価される空間である。

3. 伝統的建築群とは、固定され、又は連なる、又は散在することで一体(una unidad)を形成する不動産群(la agrupación)であり、その文化の証言者である為に、若しくは集合していることで使用並びに享受する価値を持つ為に、人間共同体の発展を表す物理的構造(una estructura física representativa)に条件づけられるものである。同様に、それらの同じ特徴を併せ持ち且つ明確に境界が定められる集落(población)として優れた一体に含まれる不動産の特性を示す中心部(núcleo)も、伝統的建築群となる。

4. 史跡とは、過去の出来事又は記憶、民間伝承、文化又は自然の創造、並びに人間の営み(obras)と結びついた場所若しくは地域であり、それは歴史、又は民族学、又は古生物学、又は人類学上での価値を所有する。

5. 考古学区域とは、考古学上の手法とともに研究される余地のある未採掘又は採掘中の動産および不動産が存在し、並びに地表又は地下又はスペイン領海内に動産及び不動産が認められるような、自然のままの場所又は地域である。

 

第16条【不動産に関する文化財宣言の審議開始】

1. 不動産に関する文化財宣言の審議開始は、関連区域における区分(parcelación)、建設、又は解体についての市町村の当該許可並びに既に許諾された許可の発効(los efectos)を停止することを決定づける。不可抗力によりその区域において延期不可能な性質である為に実行されなければならない工事(las obras)は、本法を施行する所轄機関の認可を必ず必要とする。

2. 前項が述べるところの停止は、開始された審議の決議又は失効に依拠する。

 

第17条【地域との関連性】

伝統的建築群の文化財としての宣言の審議手続(tramitación de del expediente)においては、それが属する地域との関連性が認められなければならない。並びにその周辺環境を形成する地理的起伏及び自然状況の保護についても同様である。

 

第18条【文化財として宣言された不動産の撤去・移動】

文化財として宣言された不動産は、その周辺環境から切り離せないものである。不可抗力又は社会的利益(interés social)という理由により必要不可欠であるものを除き、どちらの場合においても本法第9条2項で定められた手続きに従って、その撤去又は移動 (desplazamiento o remoción)は、行ってはいけない。

 

第19条【工事に関する認可】

1. 本法を施行する所轄機関の明白な認可がなければ、文化財と宣言された記念物については、その不動産、若しくはそれを構成する一部、又はその付属品のいずれかに直接関連する内部又は外部の工事は、実施され得ない。あらゆる種類の看板(rótulo)・標識・象徴をファサード又は屋根に配置する為の同認可、若しくは宣言に関係する周辺環境で工事を実行する為の同認可は、規則上必須(preceptiva)である。

2. 文化財と宣言された歴史庭園、又はその周辺環境に影響する工事、若しくはあらゆる種類の看板(rótulo)、又は標識、又はシンボルをそこに配置することは、本法を施行する管轄機関の明白な認可が必要とする。

3. 商業広告、並びに目に見えるあらゆる種類のケーブル及びアンテナ及び配管を歴史庭園に配置することを禁止する。同じく、この条文に関連する不動産の特質を変える、又はその鑑賞を妨げるあらゆる建造物も禁止する。

 

第20条【特別保護計画及びその他の立案文書】

1. 伝統的建築群、又は史跡、又は考古学区域を文化財と宣言することは、(イ)その宣言に関連する区域の特別保護計画(Plan especial de protección)、若しくは(ロ)本法で定められた要件(la exigencia)を常に満たす都市計画法における諸規定によるその他の立案文書(instrumento de planeamiento)が、起草される(encontrarse de redactar)ところの単独又は複数の市町村(municipios)に対する義務として定める。前述の計画(el Plan)の承認は、関連する文化財を保護する所轄機関の賛同通知を必要とする。その計画の提出から三ヶ月の経過を以て、賛同通知は公表されたと看做されなければならない。前述の計画の義務は、その保護と相反する別の計画(planeamiento)が先に存在する(preexistencia)場合、及び一般計画(planeamiento general)中に予め存在しない(inexistencia)場合、免除され得ない。

2. 前項で言及した計画は、あらゆる公共の使用に関してその設備(instalación)の優先順位をそれに適した建築群及び空間において定める。同様に居住地及び適切な経済活動の回復を可能にする補完的復旧の可能な区域を考慮し、ファサード及び屋根の保存並びにそれらの設備に関しての基準を含まなければならない。

3. 前述の計画の最終承認まで、許可の許諾又は授与された許可の施行は、伝統的建築群又は史跡又は考古学区域についての確認審議(expediente declarativo)を開始する前に、関連する遺産を保護する所轄機関の賛同決議(resolución favorable)を必要とする。さらに新規の整合(alineación)、並びにその建築上の整合及び細分化及び付加を行うことは、許されない。

4. 前項で言及した計画の最終承認以降、関係する市町村役場は承認された計画(planeamiento)を発展させる工事、並びに記念物及び歴史庭園ではない且つその周辺環境に含まれない不動産のみに関連する工事を直接に認可する権限を持ち(ser competentes)、その許諾から最大十日の猶予期間に承認された認可又は許可について本法を施行する所轄機関に報告しなければならない。承認された計画に反する許可のもとに行われる工事は不法であり、所轄機関は違反による責任(las responsabilidades por infracciones)についての都市計画法の規定に反しない限り、当該の許可を許諾された機関の費用でその再建又は解体を命令できる。

 

第21条【伝統的建築群に関連する計画】

1. 伝統的建築群に関連する計画(planeamiento)文書において、都市計画法の規定に則り、(イ)その建築群を構成する個々の要素――例えば建設された不動産、並びに外部又は内部のフリー・スペース――について、若しくは(ロ)その他の重要な構造(estructuras)を構成する個々の要素について、並びに(ハ)その建築群に付随する自然の構成要素についての目録作成は、あり得る介入(intervención posible)の類型を明示して行われなければならない。稀有な要素に対しては、一元的な(integral)保護が与えられる。その他の要素に対しては、それぞれ相応しい保護水準が定められる。

2. 伝統的建築群の保護計画(el Plan de protección)は、地域又は都市の周辺環境に関して改善を示す場合のみ、若しくは建築群自体の品位を損なう使用を避ける場合のみ、例外として都市の再開発を許すことができる。

3. 文化財と宣言された伝統的建築群の保存は、都市及び建築構造の保全(mantenimiento)、並びにその環境(ambiente)の全体的な特徴(características generales)の保全を伴う。不動産の取り替え(las sustituciones)は、部分的なものであれば、例外を認められる。但し、それはその建築群の特徴を全体的に保存することに貢献する方法でのみ行える。何時も現存都市の整合性(alineaciones)は保全(mantenimiento)されなければならない。

 

第22条【考古学区域での工事等】

1. 文化財と宣言された史跡又は考古学区域で行われる土壌(terreno)の如何なる工事又は除去(remoción)も、前述した財産を保護する所轄機関によって認可されなければならず、その認可を与える前に、本法第五章の規定に従い、試掘(prospecciones)或いは考古学的発掘の実行を命じることができる。

2. 考古学区域におけるあらゆる種類の商業広告の設置、並びに目に見えるケーブル、アンテナ及び配管を禁止する。

 

第23条【工事の実施許可】

1. 本法の規定に従ってあらゆる行政認可を必要とする工事を実施させる許可(licencias)は、それ(autorización administrativa)が認められるまで、許諾されることができない。

2. 前項の規定を履行せずに実行された工事は不法であり、市町村役場又はスペインの歴史遺産の保護に関わる所轄機関は都市計画法により定められた条件において(en los términos)その違反責任者の費用でその再建又は解体を命じることができる。

 

第24条【崩壊の宣言及び審議】

1. 第36条の規定にも関わらず、文化財宣言の審議に関わる何れかの不動産について崩壊(ruina)の審議が開始される時、本法を施行する所轄機関は、前述の審議の関係者として関与するのが正当と認められ、開始及び同審議において採択される決議がそれに知らされなければならない。

2. 所轄機関の崩壊の宣言及び認可が事前に確定(firmeza)していない限り、不動産の解体は決して取り掛かることができず、第3条の言及している諮問機関のうちの少なくとも二つの賛同通知がない限り、それを認めない。

3. 緊急且つ危険な切迫状態であれば、崩壊の審議を開始した団体(entidad)は、人々への損害を回避する為の必要措置を命じなければならない。不可抗力から実行されなければならない工事は、不動産の保存の為に厳密には必要とされない解体行為を発生させる原因とはならず、いずれの場合においても第16条1項で規定された認可を求めなければならない。さらにその場合、除去された要素の補充が用意されなければならない。

 

第25条【工事停止命令】

所轄機関は、スペインの歴史遺産を構成する諸不動産の全体的又は部分的な解体工事、若しくはその用途を変えるような工事の停止を命じることができる。前述の停止は、最大六ヶ月間効力があり、その間、都市計画に関わる所轄機関は、都市計画の規定する保護についての特別計画又は他の措置の初期の承認の妥当性(procedencia)について決議しなければならない。同決議は、停止を命じた組織に伝達されなければならず、第37条2項に規定された権限(potestad)の行使を妨げない。

 

 

第三章 動産について 

第26条【非重要文化財動産総合目録】

1.国家行政府は、その他の所轄機関と協力し、格別な重要性を持つ文化財として宣言されていないスペインの歴史遺産の動産の総合目録を作成するものとする。

2.前項の規定に基づき、諸所轄機関はスペインの歴史遺産に不可欠な動産の権利者(titulares de derechos)から、同動産の検査(el examen)並びに前述の目録にそれを加える(inclusión)為の関連情報を適切である(proceder)限り要求できる。

3.総合目録に前述の財産を入れる手続き(el procedimiento)を始めるにあたり、歴史的、芸術的、考古学的、学術的、又は文化技術的(técnico-cultural)に特別な価値のある動産の所有者及び勅令によるその他の権利者(titulares)は、所轄機関にしかるべき資料を附した申請(solicitud documentada)を行える。この申請についての決議は、四ヶ月の猶予期限(plazo)内に帰結しなければならない。

4.規則に則りに示された価値及び特徴(características)を併せ持つ動産の所有者及び勅令によるその他の名義人は、第三者にそれを売却又は委譲することに取りかかる前に、所轄機関にそれらの物の存在を知らせる義務がある。同様の義務は、スペインの歴史遺産に不可欠な動産の取引を常時行う個人又は団体に対して設けられる。さらにその物について作成される委譲登録書(un Libro de Registro de las Transmisiones)を、前述の機関(Administración)に正式提出し(formalizar)なければならない。

5.総合目録の組織及び機能(el funcionamiento)は、法に則り定める。

6.総合目録に含まれるスペインの歴史遺産の構成要素である動産には、以下の規準が適用される。
 a.所轄機関は、常にその保存を検査(inspeccionar)しなければならない。
 b.同動産の所有者又は勅令によるその他の名義人は、事前に妥当な申請があれば研究者にその研究を許す義務、及び然るべき保証金(las debidas garantías)があれば本法第6条の言及する組織が主催する企画展示にそれらを貸与する義務がある。年間一月を超える期間に亘り、それらの貸し出しを実施することまでは義務づけられていない。
 c.生前贈与又は遺贈による委譲、並びにその財産の如何なる状況変更も、所轄機関に知らされ、並びに総合目録に登録されなければならない。

 

第27条【動産の扱い】

スペインの歴史遺産に不可欠な動産は、文化財として宣言され得る。前述の宣言の対象となった不動産に含まれる動産、並びにその宣言がその歴史の重要部分として認める(reconocer)不動産に含まれる動産は、いずれも考慮(consideración)が払われなければならない。

 

第28条【動産譲渡】

1.教会組織の施設(establecimientos)であれその付属(dependencias)であれ、その所有下にある文化財として宣言された動産及び総合目録に含まれる動産は、有償又は無償で(por título oneroso o gratuito)委譲されることができず、並びに個人及び商業団体には引き渡され得ない。前記の財産が譲渡又は引き渡されることができるのは、国家、公権組織又は他の教会組織のみである。

2.スペインの歴史遺産の一部を形成する諸動産は、官公庁(las Administraciones publicas)によって譲渡されることはできない。但し、前述の官公庁間で行われる委譲、並びに本法第29条及び第34条の規定を除く。

3.この条文の言及する財産は不可侵(imprescriptible)とする。民法第1.955条での規定(lo dispuesto)は、決して適用されないものとする。

 

第29条【不法輸出】

1.本法第5条による所定の認可がなされずに輸出されるスペインの歴史遺産に不可欠な動産は、国家に属する。前記の財産は、譲渡不可能(inalienable)且つ不可侵(imprescriptible)である。

2.不法に輸出された財産を完全に奪回する為の指導行為(los actos conducentes)は、国家行政府の責任において行われる。

3.元の名義人が不法に輸出された財産が事前に紛失又は横領(sustracción)されていたことを証明(acreditar)する場合、その奪回から生じる諸費用の代金を国家に支払い、その善意の取得者を満足させる額の償還金をその取得者に支払う義務を負うと共に、国家のその財産の譲渡(cesión)を申請し得る。元の名義人が公法組織(Entidad de derecho publico)であった場合、不法に輸出された財産の紛失又は横領が推定(presumirse)される。

4.歴史遺産評議会の事前の通知があれば、奪回され且つ引き渡されていない財産は、公的機関(un centro publico)に配置される(destinar)

 

第30条【公定利率】

スペインの歴史遺産に不可欠な如何なる動産も、その輸出認可は、次の規則(reglas)に従って定められた公定利率(tasa)に従うものとする。
 a.課税行為(Hecho imponible):前述の財産の輸出認可を許諾することは、これを構成する(constituir)
 b.免除:以下は公定利率の支払いから免除される。
  (1)常に法に則り文書で表されて行われる輸入及び輸入に対し翌十年間に行われる動産の輸出、並びに本法第32条の規定に従い文化財として未宣言の財産
  (2)スペインの歴史遺産の一部を形成する動産の、合法的に認可された一時出国
  (3)存命中の作家の動産物(objetos muebles)の輸出
 c.対象主体(Sujeto pasivo):輸出認可が申請通りに与えられる場合、その国内又は国外の個人(las personas)若しくは団体は、公定利率の支払いに義務を負わなければならない。
 d.課税基準:課税基準は、輸出認可の申請されるその財産の真価から定められるようになる。国家行政府の担当機関(el organismo correspondiente)により実施された行政確認(la comprobación administrativa)に反しない限り、申請者により申告された財産価値はその財産の真価と看做され、その行政確認がその財産の真価を超える場合、それを優先させる。
 e.租税の種類(Tipo de gravamen):公定利率は、次の料金表(tarifa)に従って実施される。


1.000.000 ペセタまで

 5%

1.000.001 〜 10.000.000

10%

10.000.001 〜 100.000.000

20%

100.000.001 以上

30%


 f.収入(devengo):輸出認可が与えられる場合、公定利率が徴収される。
 g.清算及び支払い:政府は、公定利率の評価、清算及び支払いの手続きを管理しなければならない。
 h.管理(Gestión):この公定利率の管理は、文化省(el Ministerio de Cultura)に帰する。
 i.用途(Destino):この公定利率の収益(el producto)は、国庫(el Tesoro público)に入り、スペインの歴史遺産にとって価値のある財産の獲得に優先的に適用される。

 

第31条【一時輸出】

1.国家行政府は、本法第5条で定められた規則に従った動産が、規則に則って決められた形式及び条件において、スペインから一時的に出国することを認可できる。いずれも輸出の期間及び保証金(garantías)をその認可に明記しなければならない。この方法で輸出された財産は、優先獲得権を行使する対象になり得る。

2.先述の方法から輸出された財産がスペインに返還されるまでの諸条件の不履行は、不法輸出と看做される。

 

第32条【文化財宣言の猶予期間】

1.その輸入が法に則り実行される動産、及び輸入された財産を十分に出処確認するよう然るべく記録作成されている動産は、その輸入の日から数えて十年の猶予期間内には、文化財として宣言されることができない。

2.前記財産は国家行政府の事前の許可(previa licencia)によって輸出されることができ、その許可は、その申請が現行法(la legislación en vigor)による実施要件を満たされる場合はその財産の何れの優先獲得権も行使されず、常に認められる。前述の財産は、十年の猶予期間が経過したとき本法の一般制度(el régimen general)に従う。但し、その所有者が同猶予期間(plazo)内にその状態を延長することを国家行政府に要請する場合、並びにスペインの歴史遺産の財産の査定評価輸出委員会(la Junta de Calificación, Valoración y Exportación)の判断(el dictamen)を諮りそれが認められる場合を除く。

3.前の諸段落の規定に関わらず本法第1条に記された何れかの価値を所有する動産は、十年という猶予期間より前に文化財として宣言され得る。但し、その所有者が前述の宣言の要請を行った場合、並びにその財産がスペインの歴史遺産を豊かにすると国家行政府が決議した場合である。

 

第33条【みなし売却申込】

第32条の規定を除き、輸出の申請がなされる場合は常に、申請者によりなされた価値の申告は、国家行政府の為に撤回不可能な売却申込(oferta)と看做され、国家行政府が前記の輸出を認可しない場合、その申込を受け入れる為に六ヶ月の猶予期間、及び適切な(proceder)支払いを行う為にそれから一年の猶予期間を定める。

 

第34条【国家名義の動産】

政府は、スペインの歴史遺産に所属する国家名義の動産(bienes muebles de titularidad estatal)を少なくとも同等の価値及び歴史的重要性のある他の動産に取り替えること(la permuta)を、他の国家と取り決める(concertar)ことができる。その承認は、王立歴史アカデミー及びサン・フェルナンド美術アカデミー(las Reales Academias de la Historia y de Bellas Artes de San Fernando)及びスペインの歴史遺産に所属する財産の査定評価輸出委員会(la Junta de Calificación, Valoración y Exportación)の賛同通知を要する。

 

 

第四章 動産及び不動産の保護について 

第35条【国家情報計画】

1.スペインの歴史遺産に不可欠な財産を保護する為、並びに同財産への市民の接近(acceso)を容易にし、異なる公共機関(servicios públicos)間の交流を促進し、学術的及び専門的な研究の発展に必要な情報を奨励する為、スペインの歴史遺産の国家情報計画(Planes nacionales de información)が定期的に作成されなければならない。

2.スペインの歴史遺産評議会は、前項で言及された国家計画(Planes nacionales)を構想及び承認する。

3.異なる公共機関及びスペインの歴史遺産の財産の名義人は、国家情報計画(Planes nacionales)を実施する時、協力しなければならない。

 

第36条【文化財の保存・活用等】

1.スペインの歴史遺産に不可欠な財産は、その所有者、又は勅令によるその財産の名義人又はその保持者によって保存、維持、及び保全されなければならない。

2.文化財と宣言された財産及び総合目録に含まれる動産の活用(utilización)は、その保存を奨励するような(aconsejar)価値観が損なわれないように行うべきである。如何なる使用(uso)の変化も、本法を実施する所轄機関によって認可されるべきである。

3.文化財と宣言された財産若しくは総合目録に含まれる財産の所有者又は勅令によるその名義人が、本条1項に規定された義務の履行(cumplimiento)時に必要な行為(las actuaciones exigidas)を遂行しない場合、その所轄機関は関係者への事前の要請があれば、その補助的な遂行を命じることができる。
同様に、動産の場合には財産登録簿(el Registro de la Propiedad)に記載された払い戻し可能な前金(anticipo)という性質を有する援助を与えることができる。所轄機関はまた、保存に必要であれば、必要な工事を直接に実施できる。
例外として、所轄機関は前述の必要性をもたらす原因が失われない限り、公共性(carácter público)を持つ機関で動産を保管すること(el deposito)を命じることができる。

4.本条で定められた義務の不履行は、所轄機関が文化財と宣言された財産の強制収用の為の社会的利益の根拠となる。

 

第37条【所轄機関の役割】

1.所轄機関は、文化財と宣言された財産の破壊を阻止でき、並びに如何なる種類の工事又は介入も停止できる。

2.同様に、前記の宣言が出されてはいないが本法第一条の述べる諸価値(los valores)の何れかの同時存在が認められる場合は常に、所轄機関は前述の役目を果たすことができる。そのような場合、政権は工事の継続又は初期段階の介入の為に法的に有効な最大三十日の猶予期間内に決定するか若しくは文化財の宣言を開始する手続に着手しなければならない。

3.文化財の宣言に関連する財産の所轄機関による収用の為には、破壊又は損傷の危険、若しくはその価値と相容れない使用が、社会的に(de interés social)正当理由となる。同じ理由によって、文化財の宣言に関連する財産の鑑賞(la contemplación)を妨害する、又は混乱させる、又は同財産への危険を生じさせる原因となる動産は、収用され得る。市町村(Los municipios)は所轄機関―収用権限の行使において優先権を持つ―にその意図を事前に知らせ、それらの財産の収用を合意(acordar)することもできる。

 

第38条【先買権・買戻権】

1.文化財として宣言された財産、又は第26条で言及された総合目録に含まれた財産の譲渡(enajenar)を扱う者は、第6条で言及された組織にそれを通知しなければならないと共に、譲渡を実行する為の金額及び条件を申告しなければならない。競売人は、スペインの歴史遺産の構成要素である如何なる財産でもそれが譲渡される公売(las subastas públicas)については、平等且つ十分な余裕をもって通知しなければならない。

2.国家行政府は、取り決められた金額あるいは落札金額を二期の会計年度(ejercicios económicos)を超えない期限内に支払うことを――他の支払方法で関係者と合意した場合を除いて――義務づけられると共に、前項で述べられた通知の翌二ヶ月以内に先買権(derecho de tanteo)の行使(uso)を自らの為に、あるいは福利団体又はあらゆる公法組織の為に行うことができる。

3.先買権に関して定められた同期限内に譲渡意思が正確に通知されなかった場合、国家行政府は、譲渡の証明届出がなされた(tener conocimiento fehaciente)日付から六ヶ月の期間内に買戻権(retracto)を行使し得る。

4.前三項での規定は、同財産についての先買権及び買戻権が本法を施行するその他の所轄機関によって同一期限内に行使される可能性を排除しない。しかしながら国家行政府側によるそれらの権利行使は、国立の博物館・美術館、或いは古文書館又は図書館の為の動産の獲得を取り扱う場合、常に優先権を持つ。

5.財産及び商業の登録者は、それに内包される(recoger)全要件(requisitos)を満たしたことが証明されない限り、この条文の述べるところの財産の所有権(la propiedad)又はそれ以外の物権(derecho real)が譲渡(transmitir)されるところの如何なる文書も登録しない。

 

第39条【保存・補強・復旧】

1.公権力は、文化財と宣言された財産並びに本法第26条が述べるところの総合目録に含まれる動産の保存及び補強及び改善にあらゆる技術的手段を以って努めなければならない。文化財と宣言された財産は、その法律を遂行する管轄機関の明確な認可がなければ、委譲に従わされ得ない。

2.不動産の場合、前項で述べられるところの行為(las actuaciones)は、同不動産の元々の部分が活用される時並びにその由緒正しいこと(autenticidad)が証明される時を除き、その保存、補強及び復旧に向けられ、再建を試みない。

3.本条の述べる財産の修復は、あらゆる時代の現存資産(aportaciones)を尊重しなければならない。同資産から何かを除去することは、取り去られる予定の要素がその財産を明らかに劣化させることを予期させる場合、並びにその除去が同財産についてよりよい歴史的解釈が与えられる為に必要であった場合は常に、例外的に認可される。取り去られる部分は、然るべく記録(documentar)されなければならない。

 

 

第五章 考古学遺産について 

第40条【スペインの歴史遺産の構成】

1.本法第1条に基づき、考古学的手法で研究されることが可能な歴史性を持つ動産又は不動産が発掘されているか又はされていない地上、地下、領海内又は大陸棚に所在する場合、それらはスペインの歴史遺産の一部を構成する。人類の歴史、その起源及び祖先と関係した地質学的及び古生物学的諸要素もまたその遺産の一部を構成する。

2.ロック・アートが表されている洞窟及び洞穴及び場所は、本法を所轄する官庁によって文化財と宣言される。

 

第41条【考古学的発掘・考古学試掘等の定義】

1.本法に従って、歴史的又は古生物学的なあらゆる種類の遺物、並びにそれらと関連する地質学的構成要素(las componentes geológicos)を発見及び研究する目的で実行される地上、地下又は水中における移動(las remociones)は、考古学的発掘である。

2.地層を移動せずに、前項の述べる諸要素の何れかの分野の研究又は調査又はテストに至る地上又は水中探査は、考古学的試掘(prospecciones arqueológicas)である。

3.偶然(azar)によって、又はそれ以外の種類の土の移動作業又は解体工事又はあらゆる性質の工事の結果としてもたらされたスペインの歴史遺産にふさわしい(propios)価値を持つ物(objetos)及び物質的遺物(restos materiales)の発見は、偶発的な発見と看做される。

 

第42条【考古学的発掘・考古学試掘等の認可】

1.あらゆる考古学的発掘又は試掘は所轄機関から明白に認可されなければならず、所轄機関は適切な検査及び管理の手続き(los procedimientos)を通じ、便宜(la conveniencia)及び専門性(la profecionalidad)及び学術的利益に関する諸要件を含む詳細かつ首尾一貫したプログラムに基づいて諸作業(los trabajos)が始まり発展していることを確認する(comprobar)

2.考古学的発掘又は試掘を実行する為の認可は、その発見場所の付近、並びにその適切な保存に加えその最良の文化的及び学術的役割を可能にする環境を考慮しつつ、取得され、然るべく目録が作られ(inventariado)、目録作成され(catalogado)、且つ記録(una memoria)の添えられた物を決められた猶予期間内に所轄機関の定めた博物館・美術館又はセンターへ引き渡すことを受益者に義務付ける。

3.該当認可なしに実行されるか、あるいは認可された期間内 (los términos)に不履行のまま完了された考古学的発掘又は試掘は、本法の規定に従い不法とし、その責任者は処罰されなければならない。所轄機関に直ちに伝えられなかった考古学的物(objetos arqueológicos)の偶発的な発見がなされた場所における、土の移動作業、解体工事、又はその後に実行されたその他全ての工事も同様である。

 

第43条【考古学的発掘・考古学試掘等の実施命令】

所轄機関は、考古学的又は古生物学的な包含層又は遺物又はそれらと関連した地質学的構成要素を持つ包含層又は遺物の存在が推測されるスペイン領土内の公有地又は私有地すべてにおける考古学的発掘又は試掘の実施を、命じることができる。強制収用(exploración forzosa)についての現行法の規定は、相応の補償(indemnización)に基づき有効である(regir)

 

第44条【発見物】

1.スペインの歴史遺産にふさわしい価値を持ち、且つあらゆる種類の発掘、又は土の移動、又は工事の結果発見された或いは偶然に発見されたところのあらゆる物(los objetos)及び物的遺物は、公有財産(bienes de dominio publico)である。発見者は、最大三十日の期限内にその発見及び偶然に発見された時、直接その発見を所轄機関に伝えなければならない。民法第351条の規定は、同物へは決して適用されない。

2.一度発見が伝えられたら、物が所轄機関に引き渡されるまで、発見者には法定保管(deposito legal)の規準が適用される。但し、物が公立博物館・美術館に引き渡される場合を除く。

3.発見者及び物が認められた場所の所有者には、現金褒賞(premio en metálico)として法的な査定(tasación)の上で与えられるその価値の半分に対しての権利がある。それは彼らの間で平等に配分されるものとする。二人、又はそれ以上の発見者又は所有者がいる場合は、等しい割合が確保される。

4.本条1項及び2項で定められた義務の不履行は、発見者又は所有者に対して適切なる褒賞への権利(derecho al apremio indicado)を剥奪し、発生した責任及び適切な制裁(sanción)を 損なわない限り、物は直ちに所轄機関の処分に委ねる。

5.文化財登録簿に含まれる不動産の建築構造の部分的発見は、本条の規定から除外される。しかし、その発見は所轄機関に最大三十日の期限内に通知されなければならない。

 

第45条【公共機関が取得した考古学的物】

如何なる名義(titulo)であれ公共団体(los entes públicos)によって取得された考古学的物は、本法第42条2項に述べられた周辺環境を考慮しつつ、その取得者である行政側(la Administración adquirente)の定めた博物館・美術館又はセンターに保管される。

 

 

第六章 民族学的遺産 

第46条【スペイン村落の伝統文化関連】

物質的、社会的、又は精神的な側面において、スペイン村落の伝統文化に関連する表現である、若しくはそうであった動産および不動産並びに知識及び活動は、スペインの歴史遺産の一部である。

 

第47条【民俗学的特徴】

1.民俗学的特徴を持つ不動産とは、(イ)その建築及び設備(instalaciones)の構成要素の原型(modelo)が慣習的に獲得、定着、及び継承された知識の表出であり、並びに(ロ)その建築及び設備(instalaciones)の製作(factura)が全体的又は部分的に人間の共同体又は集団に伝統的に使用された建築の部類、種類又は形態に適応しているものであり、これらの建築及び設備は本法第二章及び四章の規定に従う。

2.民族学的特徴をもつ動産とは、如何なる人間集団のものであれ、慣習的に定着及び継承された労働・美的・遊戯活動の表明(la manifestación)又はその所産(el producto)を形作るあらゆる物(objetos)であり、これらの物は本法第三章及び四章の規定に従う。

3.ある定められた共同体(comunidad)に使用された伝統的原型又は技術(modelos o técnicas tradicionales)から派生する知識又は活動は、民族学的価値を持つと看做され、行政保護を享受する。その知識又は活動が消失の危機にあることが予測できると看做される場合、所轄機関は前述の財産の学術的な研究及び記録作成(estudio y documentación científicos)に至る適切な諸手段をとる。

 

 

第七章 文書・文献目録遺産について、並びに文書館、図書館、及び博物館・美術館について 

第1節 文書・文献目録遺産について

第48条【文書・文献目録遺産】

1.本法に基づき、文書・文献目録遺産とは、文書館及び図書館において本節におけるスペインの歴史遺産に不可欠と宣言される、あらゆる収集済み又は未収集の財産から構成される同遺産の一部である。

2.文書・文献目録遺産は、本章に含まれる特別規範に規制(regular)される。前述の規範に定められていないものについては、本法及び動産に関する本法の制度(régimen)において一般的に(con carácter general)定められたものが、すべてそれに適用される。

 

第49条【文書遺産】

1.本法に基づき、自然言語又は慣習的言語におけるすべての表現、並びに情報科学媒体(soportes informáticos)を含むあらゆる種類の物質媒体(soporte material)に収められた線画、音声、又は画像といったその他全ての表現は、文書と看做される。その版の原本ではない見本(Los ejemplares)は、除外される。

2.(イ)公共性を持つ如何なる組織又は団体も、(ロ)国家又は他の公共団体(Entidades públicas)が大部分関与する法人も、並びに(ハ)前述の機関(servicios)の業務(gestión)と関連した公共機関が運営する民間人(personas privadas)、自然人(personas físicas)又は法人(personas jurídicas)も、その活動を行う時に作られるか、又は保存されるか、若しくはまとめられる諸文書は、如何なる時代のものでも文書遺産の一部を構成する。

3.政治性、連合性(carácter sindical)、又は宗教性を有する団体及び協会(asociación)によって、又は文化的及び教育的な団体、財団(fundaciones)、及び協会によってその活動を行う(ejercicio)時、作られるか、又は保存されるか、若しくはまとめられてから四十年を超える古い諸文書もまた、文書遺産の一部を構成する。

4.他の如何なる私的団体(entidades particulares)又は民間人によって、作られるか又は保存されるか、若しくはまとめられてから百年を超える古い諸文書もまた、文書遺産全体を構成する。

5.国家行政府は、前二項で示された古さに達していないが、前述の考慮に値する文書を文書遺産の構成要素と宣言できる。

 

第50条【文学的、歴史的、学術的、又は芸術的な作品】

1.公立の図書館及び文献目録コレクション、並びに公立図書館又は公共機関において少なくとも三例の見本の存在が記録にない手書き又は印刷された一体性又は連続性のある文学的、歴史的、学術的、又は芸術的な作品は、文書遺産の一部を形成する。1958年以降編纂された作品の場合には、前記の見本数が存在すると推定される。

2.同様に、物質媒体が如何なるものであれ、公共機関において少なくとも三例の見本(映画の場合は一本)の存在が記録されていない映画、レコード、写真、視聴覚的資料及び類似するその他の製作(edición)から作られた見本は、スペインの歴史遺産の一部を構成し、並びに文献目録遺産の該当する制度が適用される。

 

第51条【不可欠な財産の悉皆調査等】

1.国家行政府は、その他の所轄機関と共同し、文書遺産に不可欠な財産の悉皆調査、及び文献目録遺産に不可欠な財産の集合目録(el catálogo colectivo)を、規則に則り定められたところに従って作成する。

2.前項の規定に基づき、所轄機関は、文書・文献目録遺産に不可欠な財産の権利者から同財産(文書・文献目録遺産)の調査(el examen)、並びに前記の悉皆調査及び目録(catalogo)に、適切であればその権利者の財産を含める為の関連情報を要求(recabar)できる。

 

第52条【文書・文献目録遺産に関わる義務】

1.文書・文献目録遺産のすべての保持者は、適切な場所でそれらを保存すること、保護すること、その保存を妨げない用途に当てること、及び保全することを義務づけられる。

2.前項の規定を義務づけられた者が履行しない場合、所轄機関は、本法第36条3項の規定に従い、適切な遂行措置をとる。加えて政権による要請(el requerimiento)が疎かにされる時、前記の義務の不履行は、関連財産の強制収用(la expropiación forzosa)の社会的利益の根拠となりうる。

3.文書・文献目録遺産を構成する財産の保存を義務づけられた者は、財産について事前に正当な申請がなされた場合、その財産の状況又は状態(Estado)を確認する所轄機関側による捜査に便宜を与え(facilitar)、研究者による研究を可能にしなければならない。個々人は、本人及び家族のプライバシー権及びその肖像(la propia imagen)権への干渉(intromisión)が想定される場合、その事柄を規制(regular)する法律が定める条件(términos)において、前述の最終的な義務の履行を回避する(excusar)ことができる。

4.研究者による研究を許す義務は、財産の安全及びその研究の為に適切な諸条件を併せ持った公共性のある文書館、図書館、又は類似機関(centro)での財産の一時的保管を通じ、所轄機関によって代行され得る。

 

第53条【総合目録の特別枠】

文書・文献目録遺産に不可欠な財産は、格別に優れている場合、本法第26条に定められた手続きに従ってスペインの歴史遺産動産の総合目録の特別枠に入れられる。

 

第54条【文書館への移送】

1.本法第49条2項が述べるところの文書を担当し、その役割を果たす(desempeñar)者は、その役割を辞する時、その者の代わりに同役割を果たす者に前述の文書を引き渡すか、又は該当する文書館に前述の文書を移送(remitir)するよう義務づけられる。

2.個人又は私的機関による、前項が述べるところの文書の不当占有(La retención indebida)は、負わされた責任を妨げることなく、その文書を保護し、又は作り出し、又は集めた政権が公共の文書館にそれらの財産の移送を命じる原因となる。

 

第55条【財産の排除又は除外】

1.第49条2項に鑑みられた文書・文献遺産の財産及びその他の公的な名義の財産の排除又は除外(La exclusión o eliminación)は、所轄機関によって認可されなければならない。

2.人又は公共団体の権利及び義務の証拠能力(valor probatorio)が存続している間は、前述の文書は決して破棄してはならない。

3.その他の事例において、排除又は除外は法に則り定められた手続きを通じその所有者又は保持者の提案で、所轄機関によって認可されなければならない。

 

第56条【財産の処分、輸出及び輸入】

1.文書・文献目録遺産を構成する財産の処分(disposición)、輸出及び輸入の行為は、第5条、並びに現在適用されている本法第3章及び第4章にある諸規定(las disposiciones)に従う。

2.本法第31条及び第34条の規定を除き、前述の財産が公的な名義のものである場合、それらは決して利用(inexplotable)できないものとする。

 

第57条【文書の閲覧】

1.第49条2項が述べるところのスペイン文書遺産を構成する文書の閲覧(la consulta)は、以下の規則に基づき対処される。
 a.一般的に前述の文書は、法に則り定められた規準に従って、その手続きが完了した文書並びに当該の公法組織に属する中央文書館に保管及び登録(registrar)された文書は、公務員機密法(la Ley de Secretos Oficiales)に従って分類された事物に関連しない限り、或いはその法律の明白な規定により公に知られてはならないものでない限り、若しくはその内容の流布が国家の安全及び防衛、又は犯罪(los delitos)の検証(la averiguación)に危険をもたらすおそれがあるものでない限り、自由に閲覧される。
 b.前号の規定に関わらず、一般閲覧(consulta publica)から除外された文書を利用する為の行政認可を申請することができる。前記の認可は、機密又は部外秘文書の事例については当該の宣言をした当局によって、その他の事例についてはその保管を担当する部門(el departamento)の長によって、与えられることができる。
 c.(イ)政治性を有する、(ロ)訴訟性を有する、(ハ)臨床性を有する、又は(ニ)個人の安全、その名誉、本人及びその家族の私生活 (la intimidad de su vida privada y familiar) 並びにその肖像(propia imagen)に関連し得る種類のその他の性質を有する個人資料を含む文書は、諸関係者の明白な同意(consentimiento)が介在しない限り、若しくは当人の死亡日がわかっている場合その日から25年間の期間が過ぎるまで、又はその諸文書の日付から五十年の間、一般閲覧され得ないものとする。

2.この条文が述べるところの諸文書の閲覧(la consulta)並びに同文書の複製の入手を実行する諸条件は、規則通り定められる。

 

第58条【行政文書高等査定委員会】

国家行政府及び国家の公共部門(el sector)の文書の認定(la calificación)及び使用に関連する諸問題の研究及び報告(el dictamen)、並びに諸文書館での文書の統合、及び前述の文書の行政的な利用の是非についての規則(régimen)は、行政文書高等査定委員会(una Comisión superior calificadora de documentos administrativos)に属する。その構成、役割、及び特定の権限は、法に則り定められる。同様に、そのように特定された諸公共機関において認定委員会が制定される。

 

第2節 文書館、図書館、及び博物館・美術館について

第59条【文書館、図書館、及び博物館・美術館】

1.文書館とは、法人、公益法人又は民間人(las personas jurídicas, públicas o privadas)がその活動を遂行した時、調査・文化・情報・行政管理の為、それが使用する施設に(al servicio de su utilización)集められた文書の組織的な集合体又は文書の多様な集合体である。 同様に、前に述べられた目的の為、前記の組織的な集合体を集め、保存し、普及させる文化機関は、文書館と看做される。

2.図書館とは、教育、研究(調査)、文化及び情報の為に閲覧室での閲覧の為のあらゆる手段又は一時貸し出しによって、書物、写本及びその他の文献資料又は複製資料の集合体又はコレクションを保存し、集め、選び、調査し、目録作成し、分類し、普及させる文化機関である。

3.博物館・美術館とは、研究・教育・鑑賞の為に、歴史的、芸術的、学術的、又は技術的価値のある、或いはその他いずれかの文化性のある集合体及びコレクションを、入手、保存、研究、伝達及び展示した恒久的機関である。

 

第60条【図書館及び博物館・美術館の設備に当てられた動産等】

1.国立の文書館及び図書館及び博物館・美術館の設備(instalación)に当てられた動産は、本法が文化財の為に定める規則(régimen)に従う。また、そこで保管されるスペインの歴史遺産に不可欠な動産も同様である。

2.所轄機関の提案によって、政府は前項で定めた規則を他の文書館及び図書館及び博物館・美術館まで広げることができる。

3.本法を施行する諸所轄組織は、本条が述べるところの機関(las instituciones)の基金の目録(catalogo)・悉皆調査・記録(ficheros)の立案及び実行に留意する。

 

第61条【文書館及び図書館及び博物館・美術館の創設】

1.国家行政府は、相当する自治共同体と事前に協議すれば、適当と看做される数の文書館及び図書館及び博物館・美術館をつくることができる。但し、文化的及び社会的要請がそれを求める場合、及びほかの組織、又は機関、又は個人の自主性・自発性(la iniciativa)を損なわない場合に限る。

2.国立又は国家的性質(de carácter nacional)を持つ文書館及び図書館及び博物館・美術館は、勅令によってつくられる。

3.国家行政府は、スペイン領土内に存在する国立のすべての文書館及び図書館及び博物館・美術館の意思疎通(comunicación)及び連携(coordinación)を促進する。同様に国家行政府は、前述の目的の為に、自治共同体との管理協定(los convenios de gestión)の規定する条件に則り、前述の館から適切と看做されるすべての情報を入手(recabar)でき、加えてその機能(funcionamiento)を検証しその目的を最も達成させる手段をとることができる。

 

第62条【スペイン市民の入館の保障】

国家行政府は、国立の文書館及び図書館及び博物館・美術館で管理される財産保存から定められ得る制約(las restricciones)、又はその機関自体(la propia institución)の役割から定められ得る制約を損なわない限り、あらゆるスペイン市民(ciudadanos)が前述の同館に立ち入ることを保障する。

 

第63条【財産の保管受入れ等】

1.国立の文書館及び図書館及び博物館・美術館は、法に則り定められた規準に従って、私有又はその他官公庁(Administraciones públicas)の財産を受入れ、保管する(admitir en deposito)ことができる。

2.文化財並びに国立文書館及び博物館・美術館で管理される文書・文献目録遺産を構成する財産も、事前の認可がなければ、同館から離れることはでず、その認可は省令(orden ministerial)によって与えられなければならない。保管物(objetos en depósito)の場合、それに定められた契約(lo pactado)が尊重されなければならない。

3.公的な貸出業務についての規定を損なわない限り、前項で定められた規則は国立図書館で管理される文化財に同じく適用される。

 

第64条【文書館等の設置場所】

公立の文書館及び図書館及び博物館・美術館が設置されている建物並びにそれらの設置が予定されている建物又は地所は、その収用の目的を公共使用(utilidad pública)と宣言され得るものでなければならない。同宣言は、その内容に含まれる不動産又は財産を適切に保存する上での安全理由(razón de seguridad)が求められる場合、隣接した建物又は地所まで広げることができる。

 

第65条【各種組織間の機能の調整等】

1.それぞれの省内の局(departamento ministerial)は、本法及びその適用の為に公布された規則(los reglamentos)における規定を十二分に履行する為、省及びその関係組織の文書館すべての機能の調整(la coordinación)を保証する。

2.国家行政府の所属組織(los organismos dependientes)は、法に則り定められた手続きに従って、規則に従って国家の諸文書館に移転(transferir)される。

 

第66条【諸制度の制定及び編集】

文書館、図書館及び博物館・美術館は、それぞれ文書館、図書館及び博物館・美術館のスペインの諸制度を定め、並びに同館と直接関連した技術性又は教育性を有する諸施設―法に則り定められるところによって編入される―を定める。

 

 

第八章 振興措置について 

第67条【出資手続及び基準】

正規の手続きに則り且つ基準を設ける要件を満たした上で、文化財と宣言された財産に実施された保存・保全・復旧(rehabilitación)工事への出資(la financiación)、及び考古学的保護・発掘への出資が優先的に公的金融機関(crédito oficial)を利用する為に、政府は必要な措置を定めなければならない。その為に国家行政府は、公益法人及び民間人並びに公的・私的団体(entidad publica y privada)との合意によって信用効果(los beneficios crediticios)を享受する諸条件を定めなければならない。

 

第68条【公共事業の予算配分】

1.国家が全面的又は部分的に出資した(financiada total o parcialmente)各公共事業(obra pública)の予算において、スペインの歴史遺産の保存又は発展業務(trabajos)、或いは芸術的創造性の振興業務(trabajos)の資金を供給する為に当てた国家醵出金(aportación estatal)からなる基金の少なくとも1%相当分は、その事業自体に又はその近隣の周辺環境に優先して投入される。

2.公共事業が行政譲許によって個人の下で構築又は開発され、且つ国家財政の関与(participación)がない場合、同1%はその施工の為の全予算に充当される。

3.以下の公共事業は、前項の規定の例外となる。
 a.その全予算が1, 000万ペセタを超えないもの
 b.国家の安全及び防衛、並びに公共機関の安全に関係するもの

4.本条文が述べるところの1%額(la consignación)の結果として生ずる諸基金についての具体的な用途(el sistema de aplicación)は、法に則り定められる。

 

第69条【優遇税制】

1.(イ)スペインの歴史遺産に不可欠な財産の権利者又は保持者に本法上課せられる租税負担(las cargas)義務の履行に対する助成(fomento)及びその租税負担の補償(compensación)実施に対する助成として、(ロ)加えて自然人の遺産(el Patrimonio de las Personas Físicas)における特別税(el Impuesto extraordinario)の都市土地税(la contribución territorial urbana)に関する諸規則(las disposiciones reguladoras)で定められた免税(las exenciones fiscales)の実施に対する助成(fomento)として、以下の条文で決められた税の優遇(los beneficios fiscales)が定められる。

2.第72条1項に定められたものを除き、前述の優遇(beneficios)を享受するには、関連財産は、文化財の場合第12条が定める総合登録簿(el Registro general)に、また動産の場合には第26条及び第53条が述べるところの総合目録(el Inventario general)に予め記載されなければならない。伝統的建築群、史跡、又は考古学区域の場合、規則に則り定められた諸条件を満たすと理解される不動産は登記済みとのみ看做される。

3.文化財と宣言された不動産については、その所有者又は勅令による権利者が、前記財産の保存、改善又は復旧作業を自ら負担(cargo)して取り掛かっていたか、或いは着工していた時、地方公共団体の条例(ordenanzas municipales)の定めた期間内にその財産(la propiedad)に課税すること、若しくはその財産を享有又は委譲することで要求されるその他の地方税の支払いから免除される。

4.国家総予算(Los Presupuestos Generales del Estado)で負担する補償金(la compensación)は、如何なる場合においても当該の市町村役場には与えられない。

 

第70条【控除】

1.自然人収益税(el Impuesto sobre la Renta de las Personas Físicas)の納税者は、法で決められた諸条件の上で、文化財と宣言された財産の入手、保存、修理、修復、普及(difusión)及び展示の時に行われる投資(las inversiones)から20%相当の費用(la cuota)を控除(una deducción)する権利を持つ。その額(el importe)は、如何なる場合にも課税対象所得(la base imponible)の30%を超え得ない。

2.同様に、国家及びその他の公共組織の為に行われる場合は常に、前記の納税者は、(イ)スペインの歴史遺産の一部を構成する財産について行われた純粋贈与及び単純贈与(las donaciones puras y simples)の20%、並びに(ロ)基金を募る(arbitrar)為に国家の所轄機関が福祉(benéficas)又は公益のものと分類又は宣言する施設、機関(instituciones)、財団又は協会(asociaciones)−事実上暫定的なものを含む−の為に行われる純粋贈与及び単純贈与の20%を、その費用から控除する権利を持ち、それらの組織の後援者(patronos)、法的代表者(representantes legales)、又は事実上の代行者(gestores)の負担(cargos)は無償である。前記の納税者は当該の保護組織(el órgano de protectorado)に報告される。 この控除基準(la base de esta deducción)は、課税対象所得の30%を超え得ない。

 

第71条【廃止】

1995年12月27日の社会法人法(el Impuesto sobre Sociedades)第43号により廃止

 

第72条【美術作品及び文化財の免税措置】

1.芸術作品の獲得は、その委譲の時にその作者が生存している場合は常に、奢侈税(el Impuesto sobre el Lujo)及び企業輸送税(el Impuesto sobre el Tráfico de Empresas)これらの税は削除され、付加価値税<el Impuesto sobre el Valor Anyadido>に統合された)の支払いから免除される。

2.第26条3項及び第32条3項に従い、目録に含まれるか又は文化財と宣言される動産の輸入は、それぞれあらゆる課税から免除される。その所有者がその旨で提出する申請書は、輸入の時に納税債務(la deuda tributaria)の停止効力(efecto suspensivo)がある。

 

第73条【物納】

納税債務(las deudas tributarias)の支払いは、スペインの歴史遺産の一部である財産の引渡しを通じ実施されることができ、それは規則に則り定められた期限(términos)及び条件で文化財総合登記所(el Registro General de Bienes de Interés Cultural)に登録されるか又は総合目録(el Inventario General)に含まれる。
先述されたあらゆる課税の支払いとして、先の諸財産を引渡す時に明らかにされる世襲財産利益(las ganancias patrimoniales)は、自然人収益税又は社会法人税から免除される。

 

第74条【助成措置適用の為の評価】

本章で定められた助成措置の適用に必要な評価は常に、法的に定められた手続きに従って期限内にスペインの歴史遺産の財産の査定評価輸出委員会によって実施される。前条が想定される場合、前述の評価は関係者に結びつかない(vincular)ものとし、その関係者は現金払いを選ぶことができる。

 

 

第九章 行政違反及びその処分 

第75条【動産の無認可輸出】

1.本法第5条に定められた認可がないまま行われるスペインの歴史遺産の動産の輸出は、その事物(materia)に関する法律に従って、犯罪(delito)又は密輸入の違反(infracción)となる。(イ)財産の輸出に関与した者、並びに(ロ)その他、故意による行為(dolosa)又は過失による行為(actuación negligente)によって若しくは故意の不作為(omisión)又は過失の不作為によって輸出を促した若しくは可能にした者は何人も、行われた侵害又は違反の連帯責任者(responsables solidarios)となる。

2.不法に輸出された財産の価値の決定(la fijación)は、国家行政府に属しているスペインの歴史遺産の査定評価輸出委員会(la Junta de calificación, valoración y exportación)によって行われ、その委員会の構成及び役割は法に則り定められる。

 

第76条【行政違反行為】

1.下記に述べられる行為(hecho)は、犯罪を構成していなければこの条文の規定に従って制裁される行政違反(Las infracciones administrativas)である。
 a.第13条、第26条2項・4項・6項、第28条、第35条3項、第36条1項・2項、第38条1項、第39条、第44条、第51条2項、第52条1項・3項に含まれる諸条項の財産の所有者、勅令による権利者又は保持者者側の不履行
 b.第54条1項の規定に基づく、違法占有(la retención)又は不当(indebida)保管
 c.第23条の規定を履行しない工事の実行への許可の許諾
 d.第22条によって要求される認可のない史跡又は考古学区域における工事の実行
 e.第16条、第19条、第20条、第21条、第25条、第37条、第39条の規定に背くすべての種類の工事又は介入の実行
 f.第42条3項が述べるところの不法な考古学的発掘又はその他の工事の実行
 g.文化財の宣言審議に関係するすべての不動産の不法な破壊(el derribo)、撤去(desplazamiento)、又は除去
 h.本法第5条、第56条1項に関連するところの財産の不法輸出
 i.法的に認可された一時的な輸出に定められた返却条件の不履行
 j.第55条の規定に背く文書・文献目録遺産である財産の除去又は排除

2.前項が述べるところの侵害によってスペインの歴史遺産に生じた損害(la lesión)が経済的に査定できる場合、その侵害は引き起こされた損害額の四倍の罰金で処せられる(sancionar)

3.その他の場合には、以下の制裁が課せられる。
 a.第1項a・bの場合、10, 000,000ペセタまでの罰金
 b.第1項c・d・e・fの場合、25, 000,000ペセタまでの罰金
 c.第1項g・h・i・jの場合、100, 000,000ペセタまでの罰金

 

第77条【行政処分の為の聴聞会】

1.行政処分(Las sanciones administrativas)は、その処分を決める事実(los hechos)を確定する為の関係者の聴聞会と併せて審議の手続きを求め、同事実の重大性、処罰される人物の個人的事情及びスペインの歴史遺産に引き起こされたか又は引き起こされそうになった損害に応じなければならない。

2.同じ違反の結果として別々の主体に課される罰金は、それ自体個別性(carácter independiente)を持つ。

 

第78条【罰金】

25,000,000ペセタまでの罰金は、本法を施行する管轄機関によって課される。25,000,000ペセタを超える罰金は、閣僚会議(el Consejo de Ministros)又は自治共同体政府会議(los Consejos de Gobierno de Comunidad Autónoma)によって課される。

 

第79条【消滅時効及び行政手続法の準用】

1.本法の規定の行政違反(Las infracciones administrativas)は、犯行から五年で時効になる。但し、第76条1項のg・h・i・jの場合は、十年で時効になる。

2.本章に規定されていない場合はすべて、行政手続法(Ley del Procedimiento Administrativo)の第6章2節が適用される。(先述の章は、1992年の法30号によって明白に廃止された

 


附則 


第一:
以前に芸術歴史(histórico-artístico)遺産と宣言された財産、或いはスペイン芸術・考古遺産目録(el Inventario)に含まれた財産は、考慮の上、文化財と命名されることになる。即ち国宝(El Tesoro)の一部と宣言された動産又は芸術=歴史遺産目録に含まれた動産は、その財産が文化財として明らかに宣言される可能性を損なわない限り、本法第26条に従い目録記入された財産の資質を有する。
以上すべては、本法が前述財産の為に定めた法制度(el régimen jurídico)に従うことになる。

第二:
1949年4月22日の政令、1963年政令571号、及び1973年の政令499号が限定しているところの財産は、同様に文化財として認められ、且つ本法において定められた規則に従う。

第三:
1.スペイン芸術・考古遺産目録の文書は、本法第十二章が述べるところの総合登記所に組み入れられる。

2.芸術国宝目録の文書は、第26条で定められた動産の総合目録に加えられる。

3.同様に、古文書館の調査手引書(el Censo-Guía)の所有文書は文書遺産の悉皆調査に加えられるものとし、文献目録国宝の総合目録の所有文書は共同目録(el Catalogo colectivo)に変わる。

4.美術・文書館局(la Dirección General de Bellas Artes y Archivos)は、本法が効力を発するときから一年の猶予期限内に(en el plazo)、先の諸項が述べるところの文書の統合に取り掛かる。

第四:
1977年11月14日付けの緊急財政改革措置法50号(Ley 50/1977, del 14 de noviembre, sobre Medidas Urgentes de Reforma Fiscal)で想定された免除(la exención)の利益を得る為に同項目で指定された財産の権利者にも同じく、本法第69条2項の述べるところの要請(la exigencia)により、義務付ける。同要請は、1978年6月2日付の勅令1382号の規定(las establecidas)に組み入れられ、その第2条に述べられた目録への言及は削除されることになる。

第五:
国家遺産の一部であるとともに第1条の範囲(el ámbito)に含まれる如何なる動産も不動産も、その外観(afectación)及び法制度自体(régimen jurídico propio)を損なわない限り、本法の全ての規定に従う。

第六:
政府は、不法に輸出された文化財(los bienes culturales)をスペイン領土内に取り戻す(reintegrar)ことを目的とした条項(cláusulas)を、当該の国際合意、条約及び国際協定(los correspondientes Acuerdos, Convenios, y Tratados Internacionales)中に交渉する。

第七:
本法の規定を損なわない限り、その適用を管轄する政権もまたスペインが正規に(validamente)署名した国際合意に従う。前述の政権の活動は、同様に、スペインの加盟する国際組織が歴史遺産の保護に採用する決議及び勧告の履行を目指す。

第八:
人類の創造表現又はその証であり且つ文化的価値を持つすべての種類の財産に関連する国家に有利な(a favor del Estado)寄付(donación)、遺贈(herencias)又は遺産(legado)の受け入れ(aceptación)は、たとえ政権のその他の機構(órgano)を受益者(beneficiario)として指定するとしても、財産が歴史性・芸術性・学術性・技術性を備えていれば、限定承認付きで遺贈を受け入れることをそれ(その機構)に認めるとともに、その受け入れは文化省の管轄となる。
同様に、前記財産の何れかを入手、修復又は改善するという特定的且つ具体的な目的で実施される現金での同様の寄付(donaciones)を受け入れることも、前記の省(Ministerio)の管轄である。この寄付の代金(el importe)は国庫に入り、文化省の予算の当該判断で融資(crédito)をもたらす。
前の諸段落における規定に従って受け入れられる寄付、遺贈又は遺産は、文化省から経済財政省(el Ministerio de Economía y Hacienda)に通達される。

第九:
1.国家は、芸術的・歴史的・古生物学的・民族学的・学術的・技術的遺産に関連する作品(obras)の破壊、紛失、横領又は損害を賠償する(indemnizar)義務を負うことができ、それらの作品は国立の博物館・美術館、図書館又は文書館、並びに文化省及びその自治組織(Organismos autónomos)の排他的管轄下の博物館・美術館、図書館又は文書館に公開展示の為一時的に譲られる(ceder)

2.この規定に基づき、ティッセン=ボルネミッサ財団(Fundación Colección Thyssen-Bornemisza)は、前段において決められた博物館・美術館と同様のものと看做される。

3.国家の譲許(compromiso)の許諾は、譲受機関(la entidad cesionaria)の申請に基づき、文化省によって各々合意される。前記の合意のもとに、述べられる単独工事或いは複数の工事は、その重要性(la cuantía総額)、安全要件及び保護要件(los requisitos de seguridad y protección exigidos)並びに関係者によって履行されなければならない義務を必要とされる。同一の展示におけるその展示の為の単独工事又は複合工事に許諾される譲許の最大限度も、国家によって許諾された譲許から蓄えられた全体額(el importe total)の最大限度も、毎年の国家総予算法において定められる。

4.文化省及び経済・大蔵省の提案を通じ、勅令によって、この譲許の許諾及びその場合の実行形式(la forma)の為の手続き及び要件が規制(regular)される。

 

 

仮則 


第一則:
本法の発展及び適用に不可欠な規準が作成される間、芸術=歴史遺産、図書館及び博物館・美術館を規制する規定ランク(rango reglamentario)の規準は、同法の規定について取り決められていないもの全てにおいて有効と看做される。

第二則:
本法の施行時から一年の猶予期限内に、政府は、文化省の提案によって国立の文書館及び図書館及び博物館・美術館の組織、役割及び人員の規則を発布する。それらの機関に関連する、若しくはスペインの歴史遺産の保護のもとに国家行政府の管轄である活動に関連する技術的且つ教育的な機関についても同様である。

第三則:
本法の施行時に本法第26条及び第53条が述べるところの何れかの財産の所有者及び保持者及び持ち主であった者は誰でも、所轄機関に前記財産の存在を通達する為に一年の猶予期限がある。その場合、先述の通達(comunicación)は、前述の財産に関し、以前支払われなかった(satisfacer)あらゆる課税又は租税を免除すること、並びに国家財政(la Hacienda Pública)又はその他の行政機関において不履行、制裁、刑罰加重(recargo)又は遅滞利子への全責任を免除することを定める。

第四則:
1995年12月27日付の社会法人税法第4号によって廃止

第五則:
本法第28条1項の規定は、同法の施行時から翌十年内に教会組織が所有するスペインの歴史遺産に不可欠な動産に言及していると看做される。この猶予期限は、法律第42の施行時1994年12月30日からから翌十年すなわち2005年1月1日まで延長された

第六則:
1. 本法の施行前に開始された芸術=歴史価値を有する不動産の宣言についての審議の手続き(la tramitación)及び効力は、着手されていたところの法規範(la normativa)に従う。しかしその決議は、本法第14条2項に定められた部門に応じて、勅令を通してあらゆる場合に行われる。

2. 本法の施行前に承認されるとともに宣言に関連する地区計画(planeamiento)の特別な保護計画又はその他の法律文書(instrumento)を所有し既に宣言された伝統的建築群の場合、工事の認可は、適用する都市計画の文書(el instrumento de planeamiento)についての賛同通知が政権から得られるまで、第20条3項の規定に従う。明白な決議がなされなかった場合、その計画の提示から一年後に好ましい報告が前述の効力に基づき公表されると看做される。

第七則:
法の施行から最大五年の猶予期限内に、設備責任者は第19条3項が述べるところの商業広告、ケーブル及び配管を除去しなければならない。

第八則:
1975年5月2日付の自然空間保護(Espacios Naturales Protegidos)法第15号の仮則が述べるところの趣に富む場所(los parajes pintorescos)は、その最終的な規定(disposición)に応じて再分類されない限り、文化財としての条件を保存する。

 


終則 


1.本法で明らかに定められた規則の条項(las Disposiciones reglamentarias)に加えてその履行の為に必要であるところの規定を発布することを、政府は承認する。

2.同様に、政府はその措置によって定められた成長率(los porcentajes de los incrementos)が決して生計費指数(índice del el coste de vida)を超えない限り、本法第76条において定められた諸罰金額(las cuantías de multas)の改定(actualización)に規則に則り取り掛かることを承認する。

3.国家総予算法(La ley de Presupuestos Generales del Estado)は、第30条が言及するところの輸出による公定利率の課税規準(base imponible)並びに種種の租税の改定方策(las formulas de actualización)を毎年決め得る。

4.また同じく、政府に、文化省の主導並びに内務省(el Ministerio de Interior)の提案に従って、本法の対象となる分野の特殊法人(personal especializado)により作られる調査集団として且つその違反を追究する調査集団として国家治安部隊(los Cuerpos y Fuerzas de Seguridad del Estado)の創設を定めることを、政府(el Gobierno)は承認する。

 

 

廃則 


1.1911年7月7日付考古学発掘法、1926年8月9日付芸術財産(la Riqueza Artística)の保護、保存及び増進(Acrecentamiento)勅令法、1933年5月13日付芸術=歴史遺産における防護、保存及び増加法、1955年12月22日付芸術=歴史遺産保存法、1959年9月23日付重要物(Objetos de valor)及び考古学遺産又は芸術遺産の輸出について、並びに摸造又は複写についての政令1641号、並びに1972年6月21日付国家文書・文献目録財産防護法(Defensa del Tesoro Documental y Bibliográfico de la Nación)は、廃止する。但し、今後規定ランクを取る国立文書・文献目録財産機関(el Centro Nacional del Tesoro Documental y Bibliográfico)に関する規定、並びに1978年10月28日付の文化1%勅令(el Real Directo 2832/1978, de 28 de Octubre, sobre el 1% cultural)第2832号は除く。

2.本法で定められたところに相違する全ての規定は同じく廃止する。
そして私は、全スペイン人、個々人、及び当局が本法を遵守すること、並びに既に遵守していることを命じる。

 


マドリード、サルスエラ宮 1985年6月25日
フアン・カルロス国王


政府首相
フェリペ・ゴンサレス・マルケス

 

注:
第32条:1998年12月30日付、財政、行政及び社会秩序に関する措置(Medidas Fiscales, Administrativas y de Orden Social)法第50号により起草(redacción)
第73条:2001年12月27日付、財政、行政及び社会秩序に関する措置法第24号により起草。

 

註:各条文の見出し及びイロハの小項目化は、当センターによる。

目次へ