モンゴル国の法律
文化遺産保護に関して
2001年6月8日
ウランバートル市
第一章 基本方針
第1条 法律の目的
1.1. 本法の目的は、文化財の探求、登録、調査研究、格付け、評価、保管、保護、普及、復旧、相続、伝承、所有、管理、利用にまつわる関連事項を調整する為である。
第2条 文化遺産保護に関する法規
2.1. 文化遺産保護に関する法律は、本法及びこれに併せて公布された法規のその他の文書から成る。
2.2. モンゴル国の国際条約で本法に定められた以外の事項が定められている場合、国際条約の約定に従う。
第3条 歴史文化財
3.1. 歴史的に明確な区域、時代を代表することができ、歴史的、文化的、科学的に価値がある以下の物品を、文化財の形式に関わらず歴史文化財として定める(本条項は、2004年4月16日附法律によって一部の語が削除された)。
3.1.1. 古代人の小屋、狩人の宿泊地、住居の跡が残る文化の保存された地層、鉱物資源の取得、精錬、工業を行っていた場所、古墳、御堂、墓、供養所、記念碑、壁画、遺文などの考古学的遺跡(本条項は、2004年4月16日附法律により改変された)。
3.1.2. 古代の城壁跡、廃墟、城塞、要塞および美術的建造物群、寺、寺院、道、広場、建物などの美術的建造物の遺跡。
3.1.3. 民族衣装、宝飾、住居および生活用品、労働用の道具、楽器、その他伝統的な技芸、宗教に関連した物品。
3.1.4.歴史書、手記、木版および活版印刷による典籍などの書記資料、写真、映画、映像。
3.1.5. 絵画、陶芸、浮き彫り細工、鋳造物、彫刻、パッチワーク、刺繍、張り子細工、陶磁器などの芸術品にあたるすべての造形物。
3.1.6. 歴史的人物の生活、活動に関係のある建造物、物品、書物。
3.1.7. 歴史的、文化的な遺跡(本条項は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
3.1.8. 古代人、動物、微生物、植物の化石、遺跡、それらが発見された場所(本条項は、2004年4月16日附法律により変更が加えられた)。
3.1.9. 鉱石、希少土石類の発見物。
3.1.10. その他物品。
第4条 無形文化遺産(項目名は2005年6月2日附法律により改変)
4.1. 国民の才能、知識、経験、学識、能力の顕著なもの、および無形遺産として伝承されてきた歴史、民族研究、風習、習慣、熟達した技芸、方法、教訓、芸術、科学的意義のある以下の知的文化財を無形文化遺産とする(2004年4月16日附法律により追加点を加え、2005年6月2日附法律により変更を加えた)。
4.1.1. 母語、文書、それに関わる文化。
4.1.2. 口承文芸。
4.1.3. 伝統的長唄、短い唄、叙事詩、それらの歌唱法。
4.1.4. 労働、風習に関連した掛詞、語彙。
4.1.5. ホーミー、口笛、口鳴らし、舌打ちなどの発声器官による芸術、それらの方法。
4.1.6. 民族楽器を巧みに作製する、演奏する、旋律を記録する方法。
4.1.7. 民族舞踊、ビー、ビエルゲー 〔訳注:モンゴルの民族舞踊〕。
4.1.8. 軟体芸、およびサーカスの見世物を披露する熟達した才能の持ち主の能力と方法。
4.1.9. 伝統手工芸の教訓。
4.1.10. 民間の風習、慣習の伝統。
4.1.11. 学問的伝統。
4.1.12. 伝統的祝詞の奏上作法。
第5条 歴史文化財の格付け、評価
5.1. 歴史文化財を、歴史、文化、科学の観点から、最上級、上級、一般に分類する。
5.2. 歴史文化財の格付け並びに評価は、管轄する博物館、学術組織の意見を基に、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の下に置かれた委員会が行う(本条項には、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
5.3. 歴史文化財の格付けを決定する専門委員会の構成、業務規定は、文化、科学を管轄する閣僚が決定する。
5.4. 最上級歴史文化財の登録に当たって登録認証、追加、変更については、文化、科学の問題を管轄する政府所管の中央組織の提案を基に政府が決定する。
5.5.上級歴史文化財および無形文化遺産を高水準で習得した人物の登録、登録認証、追加、変更については、専門委員会の提案を基に、文化、科学を管轄する閣僚が決定する(本条項は、2005年6月2日附法律により変更が加えられた)。
5.6. 最上級歴史文化財のうち一部を「世界遺産」に登録することに関して、適切な規則の下に決定させる任務を、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織が担当する。
第二章 文化遺産の国立データベース
第6条 文化遺産の国立総合データベース制度
6.1. 文化遺産の国立総合データベース(以下、「データベース」と略す)は以下から成る。
6.1.1. 文化遺産を保存している組織の中のデータベース。
6.1.2. 村、県、首都のデータベース(本条項は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
6.1.3. 国立総合データベース6.2. 県、首都の文化遺産データベースは地方自治体の下に、国立総合データベースは文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の下にそれぞれ位置する。
第7条 データベースの構成
7.1. データベースは、文化遺産の確定、調査研究活動の概要、写真、スライド、音声および映像、CD、復興作業の概要などによって構成される(本条項は、2004年4月16日附法律により変更が加えられた)。
7.2. データベースは、当該の歴史文化財の格付けを行い、保管、伝承、および歴史文化財が破損、もしくは無形文化遺産が消滅、忘却された場合、それらを復元するのに必要とされるあらゆる情報を十分に保有しているべきである(本条項は、2005年6月2日附法律により改変された)。
第8条 文化遺産の登録
8.1. 国家の所有する歴史文化財は、データベースに必ず登録する。
8.2. 個人の所有する歴史文化財は、所有者の要望を基にデータベースに登録する。
8.3. 歴史文化財の登録物は、所有者の要望があれば保管を行うことができる。
8.4. 文化遺産をデータベースに登録する作業は、県知事または都知事が行う。
8.5. データベースを構成し、文化遺産を当該データベースに登録する規則は、文化、科学の問題を管轄する閣僚が決定する。
8.6. 最上級歴史文化財〔訳注:「記念」が抜けている〕物の証明書は本法の5.4で、無形文化遺産を習得した人物の証明書は、本法の5.5で示した要件を満たした日から換算して三十日以内に、所有者、管理者および才能を有する人物に付与する(本条項は、2005年6月2日附法律により改変された)。
8.7. 国立総合データベースに登録された歴史文化財の一覧表は、四年毎に文化、科学を管轄する政府所管の中央組織が更新する。更新の方法に関しては政府が決定する。
8.8. 県知事、都知事は、管轄の区域の歴史文化財を保管している組織内のデータベースの充実、拡大も管理し、調査結果、報告、情報を適切な方法で国立総合データベースに提出する。
8.9. 法律にその他の定めがない場合、歴史文化財を発見した者は、そのことを管轄の地方自治体に七日以内に報告する。
8.10. モンゴル国の歴史、文化に関わる物品を外国の機関、外国人、無国籍者が自らの意思で寄贈した場合、その登録、評価の方法は文化、科学を管轄する閣僚が決定する。
8.11. 村長、区長は、8.9に示した内容および、管轄の区域で許可無く発掘、探索が行われているとの情報があれば、文化を管轄する政府所管の中央組織に七日以内に報告する(本条項は、2004年4月16日附法律により追加された)。
第三章 文化遺産の探求、調査研究、広報、利用
第9条 文化遺産の探求、調査研究
9.1. 歴史文化財を探求し、調査研究する作業は、関連規則に基づいて専門の学術組織が実施する。
9.2. 無形文化遺産を探求し、調査研究する作業は、関連規則に基づいて専門の学術組織、国民が実施する(本条項は、2005年6月2日附法律により改変された)。
9.3. 文化遺産の探求、調査研究に関する規則は、文化、科学を管轄する閣僚が決定する。
9.4. 政府の所有する最上級歴史文化財は、文化、科学の問題を管轄する政府所管の中央組織の承諾のもとに関連する専門の学術組織が、条約に基づいて調査、研究を行ってもよい。
9.5. 専門の学術組織は、探索、調査研究の作業を実施する過程において、発見された歴史文化財を将来的に仔細に研究する際、優先的権利を有する。
9.6. 文化遺産の調査、研究の作業の概要報告書は、県、首都のデータベースに保管する。
9.7. 文化遺産の調査、研究の作業の総合的な報告は、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織が毎年行い、国立総合データベースに保管する。
第10条 文化遺産の広報、利用
10.1. 政府の所有する歴史文化財は、普及、調査研究、教育の目的で利用する。
10.2. 博物館、図書館に保管されている文化遺産を普及、調査研究、教育の目的で利用する際に、破損、損耗させることを禁止する。
10.3. 政府の所有する歴史文化財を複製用原物として利用することを禁止する。但し、歴史文化財に相当する建造物は除く。
10.4. 寺院、宗教的活動を行う際には、必要な博物館、図書館にある歴史、最上級歴史文化財を、政府の寺院関連法[1]の第11条3号に定められたように使用することに関して、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の提案に基づき、政府が決定する。
10.5. 歴史文化財を複製し又はそれらを模造した商品を開発する際、或いは映画、ビデオ、写真を撮影し又は切手、○○〔訳注:文言一部不明〕を作成する際の規則は、政府が決定する。
10.6. 文化、科学を管轄する政府所管の中央組織、又はその許可を得て権利を有する文化団体は、データベースに登録された文化遺産を所有者、管理者と契約を締結して一時的に国内外の展覧会に出品、コンサートに出演させることができる。契約には、それの利用条件、期間、価格、保険の範囲、所有者または管理者に支払う謝礼、利用者側の負う義務、保管の確証など、基本的な約定内容を盛り込む。
第四章 歴史文化財の探索、発掘、調査
第11条 探索、発掘、調査の作業の基本方針、それらを管理、実施する組織
11.1. 歴史文化財の探索、発掘、調査の作業は、学術および保存維持の基本方針を持つ。
11.2. 歴史文化財の探索、発掘、調査は、専門の学術組織のみが行う。
11.3. 歴史文化財の探索、発掘、調査を行う許可は、専門委員会の意見を参考に、文化、科学の問題を管轄する政府所管の中央組織が与える。専門委員会の編制、作業規定は文化、科学を管轄する閣僚が決定する。
11.4. 歴史文化財の探索、調査を行う組織は、作業を開始するに当たって、所管の村長、区長に必ず届出を行い、発掘、調査の目的、意義について説明する義務がある。
11.5. 土地の所有者、管理者は、本法の11.3に定めた許可に基づき、歴史文化財の探索、発掘、調査を行う組織に対して適切な用地を提供する。
11.6. 歴史文化財の調査研究の作業の詳細な報告書を二部作成し、科学技術データベースおよび発掘を行った組織が各一部ずつ保管する。報告書が完全に公開されなかった場合、それを利用することに関して著作権法[2]に基づいて決定する。
11.7. モンゴル国の法規により禁止されていなければ、歴史文化財の探索、発掘、調査を外国の学術組織、学者たちと協同して行ってもよい。
第12条 歴史文化財の探索、発掘
12.1. 歴史文化財の探索、発掘は、文化、科学を管轄する閣僚によって定められた規則に基づいて行う。
12.2. 歴史文化財の探索、発掘を行う際、地形学的に貴重な現象、鉱床の特殊な形状、水源、泉、地下から湧き出た溜まり水などの大自然の元の形状、壊れやすい部分を破損することを禁止する。
12.3. 歴史文化財の探索、発掘を終了した際、発掘現場を危険のないように復旧させ、保護下に置く。歴史文化財の探索、発掘を行ったことに関して簡単な報告書を添えて当該の土地を所管の村長、区長に提供する。
第13条 歴史文化財の発見物
13.1. 歴史、文化、科学的意義のある貴重な物品が存在する領土、埋蔵地は政府の保護下に置くとともに、発見された全ての物品は政府の資産とする。
13.2. 学術的探索、発掘、調査の作業の過程で発見された歴史文化財の発見物は、発見された日から一年以内に所管の県、首都のデータベースに登録する。
13.3.歴史、文化的発見物を更に調査する必要がある場合は、調査を完遂させる、発見物の格付けを行う、関連組織に移転させるなどに関して、許可を与えた組織と契約を締結して調整を行う。
13.4. 研究、調査が行なわれた発見物について(本条項は、2004年4月16日附法律により語が削除された)。
13.4.1.最上級 歴史文化財として認定された場合、当該発見物を国宝保管庫、国立の博物館に移転させる。
13.4.2. 上級歴史文化財、又は一般歴史文化財として認定された場合、当該発見物を調査研究を行った学術組織の保管庫、国立又は県立の博物館に移転させる。
第五章 歴史文化財の所有者、管理者の権利と義務
第14条 歴史文化財の所有者の権利と義務
14.1. 歴史文化財を所有する国民は、以下の権利を有する。
14.1.1 歴史文化財を複製用原物として利用すること。
14.1.2. データベースに登録された歴史文化財を一般に公開、広報、展示会に出品し、それらから生じた収益を得ること。
14.1.3. 最上級歴史文化財、上級歴史文化財を保管、保護、已むを得ず復旧が必要な場合、定められた規則に基づき、国家から資金援助を受けること。14.2. 歴史文化財を所有する国民は以下の義務を負う。
14.2.1. 歴史文化財を県、首都のデータベースに登録すること。
14.2.2. データベースに登録された上級歴史文化財を売却、譲与、相続などにより所有権を他に譲渡した場合、そのことを県、首都のデータベースに報告すること。
14.2.3. 歴史文化財を国外に出す際には、本法の20.2, 20.3に定めた通り許可を得ること。
14.2.4. データベースに登録した歴史文化財が紛失、損耗した場合には直ちに、不可能なときはそのことを知ってから一週間以内に、所管の県知事、都知事、警察署に届け出ること。
第15条 政府の保有する歴史文化財の管理者の権利と義務
15.1. 歴史文化財の管理者は以下の権利を有する。
15.1.1. データベースに登録した歴史文化財の所有者と申し合わせの上、一般に公開、広報し、展示会に出品し、それらから生じた収益を得ること。
15.1.2. 歴史文化財の格付けに応じて、関連規則に基づいてそれらを一時的に交換、購入すること。
15.1.3. 歴史文化財を探求して収集し、新たに調査を行う。15.2. 歴史文化財の管理者は以下の義務を負う。
15.2.1. 本法の14.2.1, 14.2.3, 14.2.4に定められた義務。
15.2.2. 歴史文化財を保険に掛け、完全に保管し、保護すること(当該規則は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。15.2.3. 所有者の許可なくして歴史文化財の管理権および利用権を他に譲渡しないこと。
第16条 歴史文化財の保管
16.1. 歴史文化財を保管、一時的に交換する為の規則は、文化、科学を管轄する閣僚が決定する。
16.2. 個人の資産である最上級歴史文化財を他に売却するならば、所有者と申し合わせの上、政府が買い上げを行う。最上級歴史文化財の価格は協議の上で決定して支払うと同時に、このことに関して合意が得られない場合は裁判にて決定する。
16.3. 最上級歴史文化財を売却、譲渡、相続などにより所有権を外国人、無国籍者に譲渡することを禁止する。
第六章 文化遺産の保管保護、相続伝承に関する規則
第17条 歴史文化財の保管保護
17.1. 歴史文化財の保管、保護には、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織、および所管の県知事、都知事、村長、町長、区長が監査を行う(本条項は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
17.2. 歴史文化財は、その地域で保管することを方針とする。当該歴史文化財の保管、保護を促進することを目的として、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の許可に基づき、国立の博物館に移転して保管してもよい。
17.3. 不動産歴史文化財の権限の保護を、国家組織または地方組織の管轄に分類する。国家または地方の保護下に置かれた不動産歴史文化財の一覧表は、文化、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の意見をもとに政府が決定する。
17.4. 政府の所有する貴金属、宝石などの希少土石類によって作られた最上級文化財の原物は文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の決定により国宝保管庫に保管する。
17.5. 国宝保管庫に保管されている最上級文化財の複製は、国立および所管の県、首都、村の博物館に、その他の最上級文化財の原物は国立の博物館に保管する。
17.6. 古代の都市住居跡、建造物、考古学的、古生物学的および美術的建造物群など、不動産歴史文化財の完全で安全な状態を維持し、景観を維持する目的で、保護区域および歴史文化財群を有する区域を政府が決定する(本条項は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
17.7. 保護区域内に建造物を建築する、または歴史文化財物に損害を与えるような活動を禁止する。
17.8. 本法の17.6に定められた以外の歴史文化財、考古学的文化財が保管されている場所、その温存地は、保護区域に指定することができる。
17.9. 文化、科学を管轄する政府所管の中央組織、所管の県知事、都知事は、滅亡、破損、損耗の危機に瀕している歴史文化財を救出保護し、復旧する方策を策定し、国家または地方の予算、資金、寄付金の財源をもとに運営する作業を行う。
17.10. 都市住居、建造物の建設、新たな道路建設、水力発電所の建設、地下資源の探索、又は利用などの産業活動を行う為に土地を譲渡する際には、歴史、考古学の専門組織に依頼して予め探索、調査を行い、許可を得る。事前の探索により発見された歴史文化財を救出保護する作業に必要とされる費用は、建築会社の代表者が負担する。
17.11. 国民は、歴史文化財が危機に瀕している、又はその可能性があることが明らかになった場合、そのことを関連する機関、役員に直ちに報告するか、可能な場合には保護処置を施す義務を負う。
17.12. 埋蔵地を利用する過程で、歴史文化財が発見されたならば、埋蔵地の利用者は作業を中止して、そのことを村長、区長、警察署又は当該事項に携わる学術組織に直ちに報告する。
17.13. 不動産歴史文化財は、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の許可なくして移転させることを禁止する。
17.14. 最上級歴史文化財、上級歴史文化財の所有者は、それを保管し、保護する為に常に条件を整える。その条件を整える可能性がない場合、宝石保管庫、国立の博物館に保管してもよい。その場合には、所有者と契約を締結してそれらを国の保険に掛ける。
17.15 村長、区長は不動産歴史文化財を保護する義務を契約に基づいて国民、法人に対して課すことができる(本条項は、2004年4月16日附法律により追加された)。
第18条 無形文化遺産の継承、伝承(項目名は、2005年6月2日附法律により改変)
18.1. 文化、科学を管轄する政府所管の中央組織および相応する地位にある行政単位の指導者は本法の5.5によって定めた一覧表に登録された才能を有する者の継承する遺産を、当該民族の歴史、伝統、習慣、生活と適合させた上で、調査、広報、伝承、保護に関して調整を行う。
18.2. 文化、科学を管轄する政府所管の中央組織は、無形文化遺産の継承者の才能を伸ばし、開花、広報、才能を有する者を認定する目的で、五年に一度国家規模の民間芸術のコンテストを開催する(本条項は、2005年6月2日附法律により改変された)。
第19条 歴史文化財の運搬
19.1. 歴史文化財は、広報、調査、保護を目的として、確固たる保護条件を満たした上で運搬を行う。
19.2. 歴史文化財を運搬する規則は政府が定める。
第20条 歴史文化財の国境外への搬出
20.1. 政府の所有する最上級歴史文化財および上級歴史文化財は唯一、調査研究、広報、復旧を目的として、確固たる保管、保護の条件を満たした上で、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の許可を基に二年以内の期間、国境の外に搬出することができる。必要があれば期間を延長することができる(本条項は、2001年11月30日附法律によって改変され、2004年4月16日附法律によって変更が加えられた)。
20.2. 個人の所有する最上級歴史文化財は、返却の条件が整っている場合、調査研究、広報、復旧、所有者自身が複製作業を行うことを目的として使用する為に、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の許可の下に国境の外に搬出することができる。
20.3. 上級歴史文化財は、返却の条件が整っている場合、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織の許可の下に、二年以内なら国外に持ち出してよい(本条項は2001年の11月30日附法律により変更が加えられた)。
20.4. 不法に国外に持ち出した歴史文化財、および本法の20.2, 20.3に定めた通り国境外に搬出した歴史文化財が損失、損耗した場合、それらをモンゴル国の財産として宣言し、返却させる作業を文化、科学を管轄する政府所管の中央組織および警察署が法規に定めた規則に準じて行う。
20.5. 裁判所の決定により政府の所有物となった、又は国境外に搬出する際に税関で没収された歴史文化財は、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織が分別を行い、適切な機関の保管庫に移転させる。
第21条 歴史文化財の復旧
21.1. 歴史文化財を復旧する作業は、文化、科学を管轄する政府所管の中央組織から権限を与えられた専門組織、国民が調査研究の下に策定した復旧の青写真、草案通りに、条約を締結して実行する。
21.2. 歴史文化財を復旧する作業を行う為の財源は、国家および地方予算、財団、組織、国民からの寄付、投資、歴史文化財の所有者の活動による収入をもって充てる(本条項は、1月2日附法律により改変された)。
第七章 附記
第22条 文化遺産の保護に積極的に関わった国民、組織団体の表彰と賞金
22.1. 文化遺産を探求、保管保護、博物館、古文書館、図書館の保管庫の充実、失われたまたは不法に国境外に搬出された歴史文化財を探しあて、発見することに尽力した国民、組織団体を表彰し、賞金を与える活動を文化、科学を管轄する政府所管の中央組織が実施する。
22.2. 国民、組織団体を表彰し、賞金を与える規則は政府が決定する。
第221条 文化遺産の監査(当該項目は、2004年4月16日附法律により追加された)
221 .1. 文化遺産の監査は、監査を専門に行う組織、国家の調査員、各行政単位の指導者が行う。
221 .2. 監査を専門に行う組織は、文化遺産の保護に関する法規、条例、規則、それに関わる規範、基準の運用の監査を行う。
221 .3. 本法の3.1.1, 3.1.2, 3.1.8に記した不動産歴史文化財の保管、保護に当たっては、自然環境の調査員が監査を行う。
〔訳注:「第221条」という表記法は、原文のままである。〕
第23条 法規に違反した者が負う責務
23.1. 文化遺産保護に関する法律に違反した者が刑罰を受けない場合、裁判官、文化および自然環境の監査を行う国家調査員、村長、区長が罪を犯した者に以下の処分を下す(本条項は、2004年4月16日附法律により変更が加えられた)。
23.1.1. 本法の8.1; 8.9; 11.4; 12.2; 12.3; 14.2; 15.2; 17.13; 21.1の定めに違反したならば、個人には10,000〜20,000、役員には30,000〜60,000、組織団体には100,000〜250,000トゥグリクの罰金を課し、本法の12.2; 12.3; 17.13に定めた違反行為を止めること(本条項は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
23.1.2. 本法の9.4; 9.6; 10.3; 13.2; 13.4の定めに違反した場合、個人には20,000〜50,000、役員には30,000〜60,000、組織団体には80,000〜100,000トゥグリクの罰金を課す(本条項は2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
23.1.3. 歴史文化財の利用、探求、調査研究の実施、複写の作成、複製品の作製、保管保護、運搬、集計を行う規則に違反したならば、個人には20,000〜50,000、役員には30,000〜60,000、組織団体には100,000〜150,000トゥグリクの罰金を課す(本条項は、2004年4月16日附法律により追加点が加えられた)。
23.1.4. 本法の17.7; 17.10に違反したならば、200,000〜250,000トゥグリクの罰金を課し、活動を停止させ、不法に得た収益を没収する。
23.1.5. 本法の20.3に基づき、上級歴史文化財、一般歴史文化財を一時的に国境外に搬出して、定められた期間中に返却しなかったならば、個人には20,000〜50,000、役員には30,000〜60,000、組織団体には200,000〜250,000トゥグリクの罰金を課し、当該記念物は権限を有する機関が定めた期間内に必ず返却すること。
23.1.6. 本法の16.3の定めに違反したならば、その最上歴史文化財を没収し、個人には50,000トゥグリク以下の罰金を課す。
23.1.7. 本法の8.6; 9.7に違反した役員には、30,000〜60,000、組織団体には100,000〜250,000トゥグリクの罰金を課す。
23.1.8. 裁判官は、本法の8.11; 20.1に違反した役員には30,000〜60,000、法人には100,000〜250,000トゥグリクの罰金を課す(本条項は、2004年4月16日附法律により追加された)。23.2. 本法の8.11, 20.1に違反したならば裁判官が、11.4; 12.2; 12.3; 17.7; 17.10; 17.13に違反したならば自然環境の国家調査員が、8.1; 8.9; 9.4; 9.6; 11.4; 12.3; 13.2; 13.4; 14.2; 15.2; 16.3; 17.7; 17.10; 17.13; 20.1; 21.1; 23.1.1,;23.1.3に違反したならば村長、区長、文化監査役の国家調査員が、23.1.7に定めた違反行為は文化監査役の国家調査員が処罰を与える。
モンゴル国国家大会議長 L. エネビシ
(本法は、2001年11月30日、2003年1月2日、2004年4月16日、2005年6月2日附法律によって加えられた追加点、変更点を反映している。)
[1] 政府の寺院関連法に関しては、『政府広報』という雑誌の1993年の第6〜7号で公開された。
[2] 〔訳注:原文から脚注文言欠落〕