イラク共和国情報省古物総局(Directorate General of Antiquities) バグダッド

古物法

(1936年第59号) 改正:1974年第120号     1975年第164号


=目次=
第一章 定義及び一般規定
第一条 定義
第二条 古物の部類
第三条 国家の共有財産
第四条 土地所有権
第五条 禁止行為
第二章 不動産古物
第六条 古物総局
第七条 占有の継続
第八条 史跡の決定
第九条 必要な権利の取得
第十条 補償金
第十一条 不動産古物の報告
第十二条 不動産古物の占有者
第十三条 不動産古物の損傷、破壊、変質
第十四条 ―廃止―
第十五条 国有不動産古物の売却
第二章 不動産古物
第十六条 個人での動産古物の取得
第十七条 動産古物の発見
第十八条 ―廃止―
第十九条 褒賞金
第二十条 ―廃止―
第二十一条 ―廃止―
第二十二条 模造等の禁止
第二十三条 動産古物の展示公開
第二十四条 多数ある動産古物の売却
第二十五条 古物の交換
第二十六条 古物の国外持出し禁止
第四章 古物の(不正)取引
第二十七条〜第三十九条 ―廃止―
第五章 古物の発掘
第四十条 古物の発掘権限
第四十一条 発掘許可の対象者
第四十二条 発掘許可申請
第四十三条 発掘の実施
第四十四条 許可証保持者
第四十五条 発掘許可の制限
第四十六条 査察
第四十七条 許可書保持者の責任
第四十八条 発掘の一時停止等
第四十九条 発掘者の権利
第五十条 イラク博物館への発送
第五十一条 発掘の中断
第五十二条 試掘
第五十三条 私有地での発掘
第五十四条 発掘隊の優先権
第六章 罰則
第五十五条 第五条違反
第五十六条 第十一条及び第十九条違反
第五十七条 第十三条違反
第五十八条 第十六条及び第十七条違反
第五十九条 第二十二条違反
第六十条 第二十六条違反
第六十一条 第二十七条及び第二十八条違反
第六十二条 第三十九条違反
第六十三条 第四十条違反
第六十四条 情報提供の懈怠
第七章 雑則
第六十五条 古物査察官
第六十六条 警備員及び案内係
第六十七条 古物局専門家の報告書
第六十八条 没収された古物
第六十九条 大臣からの委譲
第七十条 効力
第七十一条 廃止
第七十二条 発効
第七十三条 執行責任 
序文

 

第一章 定義及び一般規定

第一条【定義】 (1)

1. 本法において、次の用語は下記に定義された意味を有するものとする。
 (a)省 − 情報省
 (b)大臣 − 情報大臣
 (c)総局 − 古物総局(Directorate General of Antiquities)
 (d)総局長 − 古物総局長(Director General of Antiquities)
 (e)古物−人によって二百年以前に構築、制作、製造、彫刻、記述、描画又は写真撮影された動産(movable)又は不動産所有物(immovable)

2. 歴史的、国民的、宗教的又は芸術的価値に基づいて、公共の利益によってその保護が要求される場合、二百年以前に満たない動産又は不動産所有物を古物と看做す権利が総局に与えられなければならない。これは大臣の決定によらなければならず、官報に公示されなければならない。

 

第二条【古物の部類】

ここで、古物は二つの部類、つまり動産と不動産に分けられる。
 「不動産古物(immovable antiquities)」は、建造物、遺丘、洞窟、及び建造物に通常付随しており、それゆえその一部を構成しているすべての物を含む。
 「動産古物(movable antiquities)」は、地面又は建造物から分離され、そこから容易に取り外し、他の場所へ輸送できるすべての古物を含む。

 

第三条【国家の共有財産】

動産であれ不動産であれ、現在、地上もしくは地中にあるイラクのすべての古物は、国家の共有財産と看做される。いかなる個人や集団も、この法律の条項による以外は、そのような財産を処分し、もしくは、その所有権を主張することは許されない。

 

第四条【土地所有権】

土地所有権は、所有者がその土地の地上もしくは地中で発見された古物を処分する権利を与えるものではなく、古物を発掘する権利も与えるものでもない。

 

第五条【禁止行為】

動産であれ不動産であれ、古物を破壊、切断、破損又は損傷させることは禁止される。

 

 

第二章 不動産古物

第六条【古物総局】

古物総局は、イラクに存在するすべての古代の建造物及び史跡を登録し、それらに関する記録及び情報を収集し、主題別に特別ファイルを作成しなければならない。

 

第七条【占有の継続】

法律証書(legal deeds)又は勅令のいずれかにより、不動産登記簿(Estate Registration)に登録されているか、証明済みの所有権、又はワクフ(Waqf)であれ、事実上又は法律上個人の占有にある所有又はワクフの一部を成すモスク、マスジッド<モスク>、ユダヤ教会、キリスト教会、修道院、僧院及びその他の古代の建造物は、古物局(Antiquities Department)の適宜の監督下でそれらが建築された目的のために使われている場合、引き続きその所有者又は管理者の占有に置かれなければならない。それらの所有者又は管理者は、必要な保存又は修理処置を行なう責任を負う。もし管理者又は所有者にそれを行う能力の無いことが証明されたならば、所有者又は管理者が古物局に対してその占有権を放棄することを条件に、同局が必要な保存又は修理を行なわなければならない。

 

第八条【史跡の決定】

古物の存在が古物局によって既成の事実となった時点で、大臣は官報においてその決定を公示することで、そのような遺跡及び科学的根拠を基にその周辺の土地を史跡と看做されるかどうかを決定できる。これは所有者が占有権を享受することを妨げない。

 

第九条【必要な権利の取得】

政府は、土地収用法に基づき、公共利用(public utility)の問題として、あらゆる古代の建造物又は史跡、及びそれに立ち入る方法又は手段に関するすべての必要な権利を取得することができる。
そのような取得のために土地を評価するにあたっては、そのような土地の地中又は地上に存在、若しくはそこで発見された古物の存在又は価値を考慮してはならない。

 

第十条【補償金】

政府には、そのような移転により土地が被った損害を回復するために補償金を土地所有者にのみ支払って、元の場所から別の場所へ動産古物を譲渡し、不動産古物を移転する権利が与えられる。その土地が政府公有地の場合には、そのような補償金は支払われない。

 

第十一条【不動産古物の報告】

不動産古物の発見したすべての者、及びそのような発見を知っているすべての土地の所有者又は保有者、及びそのような発見を知る公務員、部族長(Sheikh)、スィルカール(Sirkal)、村又は地区のムフタール(Mukhtar)は、地方行政府に、同内容(the same)を十日以内に報告しなければならない。 

 

第十二条【不動産古物の占有者】

不動産古物を内包する土地のすべての占有者は、その調査、地図作成及び写真撮影を目的に古物局長、及び同人から権利を与えられた他の官吏(official)が適宜その土地に立ち入ることを認めなければならない。

 

第十三条【不動産古物の損傷、破壊、変質】

何人も特別の許可なくして、損傷又は破壊、あるいはその特徴を変質させる虞のある方法で、不動産古物を譲渡し、又はその建築資材を処分し、もしくはそのような古物を活用してはならない。

 

第十四条 2)

―削除―

 

第十五条【国有不動産古物の売却】

国に属する不動産古物は、売却してはならず、また法的手続きを妨げるような時効措置の対象となってもならない。

 

第三章 動産古物

第十六条【個人での動産古物の取得】 (3)

1. 事実上であれ法律上であれ、個人所有の動産古物の取得は禁止される。登録及び未登録古物の所有物は、本法施行日から三十日以内に総局に引き渡さなければならない。

2. 以下のものは本条1項から適用除外される。
 (a)本法第七条で述べられた場所に存在する古物
 (b)事実上であれ法律上であれ、個人所有の古文書

3. 本条2項にある古物及び文書の所有者は、以下の責任を有す。
 (a)本法の施行日から一年六カ月以内(4)に所有物を総局の登録簿(Directorate’s registers)に登録し、そして、輸入された文書又は偶然に発見された文書は、これが上記の一年六カ月の経過後に発生した場合、発見又はイラク入国日から三十日以内に登録しなければならない。
 (b)古物を保護しなければならなく、かつそれらを保存するために必要な手段をとることを可能とし、紛失又は切断した場合の過失者責任が限定できるように、紛失又は切断のあらゆる危険について書面で直ちに総局に報告しなければならない。
 (c)所有権の取得又は移転に関しては、事前に総局の承認を得なければならない。所有が認められる者は、イラク人で、イラン国内に居住しており、かつ前所有者の必須義務すべてを負う保証を総局に提出しなければならない。そしてこれは、所有の移譲(transmitting)或いは永久的又は一時的取得という他の手段と同様に、売却、寄贈、貸与及び預託の場合に適用される。
 (d)公共の利益に基づき、研究、写真撮影及び展示を目的に総局から受領に反対する要請に従って物を引き渡さなければならず、物は可及的速やかに所有者に返還されるべきである。運送費用は古物総局が負担する。本条2項a号で述べられている古物は除外される。

4. 総局は、本条2項に述べられる古物及び古文書をこの目的のために用意された公式登録簿(official registers)に登録しなければならず、所有者に公式登録証明書(official registration certificate)を提供しなければならない。これらの古物及び文書は総局の管理下に置かれなければならない。

5. (a)総局は、本法の規定に従って、その記録簿に登録されている(registered in its records)あらゆる古文書を取得できる。
 (b)取得者が過失又は悪意によって、その全体又は一部を紛失又は切断した場合、総局はすべての古文書を管理し、没収することができる。
 (c)本条前二項から除外されるのは、本条2項a号の部類に入る古文書である。

6. 総局は、大臣が任命した中立の委員会によって正当に見積もられた補償金と引き換えに、同総局に引き渡された動産古物及び古文書を所有又は管理する権利を有する。中立委員会の決定は、その決定の通知日から十五日以内に、第一審の法廷に総局又は所有者から提起され得る。

 

第十七条【動産古物の発見】 (5)

動産古物を偶然に発見したすべての者は、発見日から七日以内に最寄りの政府当局(governmental authority)に通報しなければならない。当局は、直ちに総局に通報しなければならない。総局は、古物、制作技法及びその芸術的、歴史的価値にかかわらず、またそれが銀、金又は貴石製であっても、その物の材料の価格を下回らない適切な褒賞を発見者に与えることができる。

 

第十八条 6)

―削除―

 

第十九条【褒賞金】

動産古物の発見を知る者は、裁量によって適切な褒賞金を与えなければならない古物局にその旨(the same)を報告しなければばらない。

 

第二十条 7)

―削除―

 

第二十一条 8)

―削除―

 

第二十二条【模造等の禁止】

ここに古物の模造又は偽造を禁ずる。ある特定の古物の鋳型及び模造の制作を望むすべての科学者又は芸術家は、一件ごと別々に古物局から許可を得なければならない。そして、そのような模型を制作するに場合には、詐欺又は贋作のいかなる可能性を避けるために同総局が指示した条件を満たし、かつその手法に従わなければならない。

 

第二十三条【動産古物の展示公開】

政府が保有するすべての動産古物は、首都及び様々な町に設けられた博物館、並びにある特定の考古学遺跡近郊の場所において国民及び科学者に展示公開しなければならない。局は、規則に基づいて、時宜に応じて博物館を訪れる者から入館料を徴収することができる。

 

第二十四条【多数ある動産古物の売却】

イラク博物館に同様なサンプルが多数存在するために不要とみなされ、かつ古物局が手放してもイラク博物館の価値を一切損なわないような動産古物は、そのような古物の量と質が特別規則によって明記されることを条件に、売却することができる。

 

第二十五条【古物の交換】

イラク博物館の収蔵品の価値を増大させることに資するものであれば、古物局は省の承認に基づいて、その保有する古物を他の博物館及び科学研究機関が所有する古物と交換することができる。

 

第二十六条【古物の国外持出し禁止】 9)

いかなる古物でもイラク国外への持ち出すことは禁止される。科学的研究、交換及び展示のために総局がこれを行うことは可能である。

 

 

第四章 古物の(不正)取引

第二十七条から第三十九条まで削除 (10)

 

第五章 古物の発掘

第四十条【古物の発掘権限】

政府、及び本法に基づいて政府によって認可された団体又は個人に限り、古物の発掘の権限が与えられる。
したがって、たとえ自身が所有する土地においても、正式な許可を得ない限り、古物を発掘する権限は与えられない。

 

第四十一条【発掘許可の対象者】

発掘の許可は、科学的協会(societies)及び機関(institutions)、並びに科学的、資金的観点から考古学において確立した能力を有する適格な者にのみ与えられる。

 

第四十二条【発掘許可申請】

発掘許可の申請書には、まずは申請者についての詳細及び発掘者としての資格、次に発掘において従うべき作業の全体の作業計画とともに発掘が予定される区域の境界を述べて古物総局に提出しなければならない。
古物局長は、申請書の内容を十分に審査し、所見を添えて同書(the same)を教育大臣に提出するものとする。もし同大臣が局長の推薦を承認すれば、同大臣及び局長の両名の署名を以て許可が与えられる。

 

第四十三条【発掘の実施】

発掘は、少なくとも四名の専門家で構成される隊(Expedition)の監督の下で科学的に行われなければならない。
 (a)隊長。考古学発掘の経験を持つ著名な考古学者でなければならない。
 (b)考古建築を専門とする建築家
 (c)作図及び写真撮影の能力を有する一般補助員
 (d)古代言語及び文字の必要な知識を有する碑文学の専門家
 (e)発掘を希望する遺跡が、先史、もしくは碑文学の専門家を必要としない古い時代に属する場合は、古物総局は最後の専門家なしで行うことに同意できる。

 

第四十四条【許可証保持者】

許可証の保持者は、次の条件に従わなければならない。
 (a)前条で定められた通りの発掘隊を結成すること
 (b)発掘、写真撮影、及び認知された方法による古物の保護に要するすべての機材を隊に準備させること
 (c)発掘作業は、毎年少なくとも三カ月は継続するものとするが、発掘がそれより短期間で完了する場合は除く。
 (d)発掘作業及びその成果についての報告書を、発見されたすべての物についての完全な詳細を添えて、少なくとも二週間毎に古物総局に送付すること。
 (e)発見されたすべての建造物について、必要な地図、断面図及び写真を作成すること。地図及び断面図は少なくとも100分の1の縮尺で作成し、必要に応じて、再建ができるよう発見時の建造物の状態を示す詳細を含むこと。
 (f)保持者は、前項で定められた条件を満たし、かつ古物総局の承認を得た場合以外は、建造物のいかなる部分も破壊したり除去したりしてはならない。
 (g)保持者は、古物総局との間で合意を得た様式で、発見されたすべての動産古物の記録が記載された詳細な科学的登録簿を保存すること
 (h)同人は、古物総局の代理人の経費に見合う必要な手当を同総局に支払わなければならない。
 (i)同人と古物総局との間で合意が得られた数名の警備員を、発掘の全期間中及び作業停止後に、自らの費用負担で発掘現場に配置しなければならない。
 (j)発掘された遺跡及びその中にある古物を、気象条件であれ人的関与であれ、毀損及び紛失から保護するために必要なあらゆる措置をとらなければならない。
 (k)活動期の掘削(season’s digging)終了時において、作成した地図(maps)及び図面(plans)、並びに撮影した写真の写しをすべて揃えて、古物の野外登録(field register of antiquities)の写しを古物総局に提出しなければならない。

 

第四十五条【発掘許可の制限】

省は、古物総局の提案に基づいて、ある特定の場合には、前条で定められた一般規定に加えて、ある特定の条件の下で発掘許可を制限することができる。ただし、そのような条件は、許可証を交付する前に課せられなければならず、許可証の文中に加えられるか、又はそれに添付される補助文書(supplement)の中に含まれていなければならない。

 

第四十六条【査察】

発掘された遺跡及び発見された古物は、古物総局、その代理人、又は古物総局から特別に委任されたその他の古物局行政官(antiquities officials)による査察を、いつでも受け入れなければならない。

 

第四十七条【許可書保持者の責任】

許可書の保持者は、以下の実施に関して責任を負うものと看做される。
 (a)同人は、活動期の掘削(season’s digging)終了後の六カ月以内に、古物局によって刊行されるのに適した形式、あるいは小冊子又は認知された考古学雑誌の一つに掲載される論文の形で、発掘の主要な成果についての報告概要を掲載すること
 (b)同人は、発掘終了後二年以内に、発見された古物の起源(provenance)の記述、及びその各々の場所の記録と共に、発掘の全般的な成果を記録した詳細な科学出版物を作成しなければならない。発掘成果が多岐の分野にわたり、微細であるためにより長期の研究が必要な場合は、古物総局は同期間を再び延長できる。
 (c)発掘及びその成果に関する書物、出版物又は論文の各一部を、古物局に送付しなければならない。

 

第四十八条【発掘の一時停止等】

もし許可証の保持者が、第四十四条で定められた一般的な規則、又は第四十五条の規定に基づいて許可証の中に定められた特別条件に違反するならば、古物局長は、大臣の承認を得て、発掘を一時停止するか又は許可を取り上げることができる。

 

第四十九条【発掘者の権利】 11)

1. 発掘によって発見された古物は国家の財産となり、発掘者は褒賞を与えられ、以下を得る権利を持つ。
 (a)発見された古物の型、写真、図面及び地図
 (b)当該収集を受け取った日から一年を超えない期間内に総局にその成果を提出することを条件に、研究及び分析の目的の為の陶片及び有機物の収集
 (c)発掘者に与えられる当該型、写真、図面、地図、陶片、有機物及び土壌をイラクから輸出する為の輸出許可で、そのような許可は関税義務から免除される。

2. 本条1項は、総局の直接の監督の下に執行される。

 

第五十条【イラク博物館への発送】

許可証の保持者は、古物局長の要請に基づいて、すべての動産古物を荷造りし、イラク博物館へ発送しなければならない。また、同人は、いかなる輸出税又は関税を支払うことなく、型及び同人に割り当てられた物を輸出する許可を得なければならない。

 

第五十一条【発掘の中断】

もし許可証の保持者が一季節(one season)以上、掘削をしなければ、政府は許可が取り消されたものと看做す権利、及び第四十一条定められた資格を有する他の申請者に対して同じ現場を発掘する許可を与える権利を持つ。しかし、もし許可証の保持者が発掘を継続できないやむを得ない理由があると古物総局が考えるならば、発掘されずに二季節が経過した段階で許可を最終的に取り消すことを条件に、もう一季節その事態を延期することができる。

 

第五十二条【試掘】

古物総局は、適切と考える条件の下で、特定の区域内で、かつ一ヶ月を超えない短期間に試掘(soundings)を行う許可を与えることができる。許可証の所有者は総局に試掘結果を直ちに報告しなければならず、総局は試掘の結果が不満足と考える場合、いつでも作業を一時中止するか又は許可を撤回することができ、結果に満足がいく場合は、発掘許可申請書が提出されている間、作業を一時中止することができる。
試掘の期間中に、発掘者によって発見されたすべての古物は、イラク政府に帰属する。しかしながら、発掘者は、望むならば、そのような古物の型を作る権利を与えられなければならない。

 

第五十三条【私有地での発掘】

発掘される場所が私有地であれば、申請者は発掘が許される条件に関して、その所有者と取り決めをしなければならない。古物局長は、許可証の保持者及び土地の所有者が望むのであれば、両者間の解決に効果的な調停(good offices)を行わなければならない。しかし、まったく合意に達しない場合、本法第九条に規定された通り、その土地を取得することができる。

 

第五十四条【発掘隊の優先権】

発掘隊は、発掘中に発見された古物を公表するにあたって優先権を持つ。しかし同権利は、第一に発掘の重要な成果を可及的速やかにイラク国民に知らせる必要性に基づいており、第二にそのような成果を遅滞なく科学的な学会(scientific circles)に知らせる必要性に基づいている。
従って以下の規則が適用される。
 (a)この目的のために割り与えられた所定の期間内に古物局が出版物を発行するまでは、本法第四十四条に基づいて、発掘者によって提出された地図又は図面を、発掘者の同意なしに、同局が公表してはならない。
 (b)古物局は、発掘者が公表する前に、何人にも発見されたいかなる古物の写真撮影を許可してはならず、また古物の写真を販売に供してはならない。
 (c)もし発掘者が発掘季節(season of excavation)中に、発掘のある特定の成果をイラク国外で発表したい場合、イラクで同時も発表ができることを保証するために、古物局長に通告しなくてはならない。
 (d)発掘季節の終了時には、最も重要な成果をイラク国民に知らせるためのあらゆる必要な措置が講じられなければならない。古物総局及び発掘隊は、そのような情報にとって適切な手法について協議を行い、合意しなければならない。
 (e)発掘報告の発表のために本法第四十七条で規定された期間が終了したならば、発表の優先権は自動的に消滅する。
 (f)発表に関する発掘者の優先権は、発見された古物について記述し、イラク博物館の総合案内書(General Guide Book)にそれらの写真を挿入する古物局の権限を妨げてはならない。

 

第六章 罰則

第五十五条【第五条違反】

本法第五条の規定に違反する者は、一年を超えない期間の懲役刑(imprisonment)、又は200ディナールを超えない罰金刑、もしくは双方の刑に処せられる。

 

第五十六条【第十一条及び第十九条違反】

本法第十一条及び第十九条の規定に基づいて、動産又は不動産古物のすべての発見を関係当局に報告することを求められ、かつそれを行わなかった者は、六カ月を超えない期間の懲役刑、又は100ディナールを超えない罰金刑、もしくは双方の刑に処せられる。

 

第五十七条【第十三条違反】

本法第十三条の規定に違反する者は、三年を超えない期間の懲役刑、又は500ディナールを超えない罰金、もしくは双方の刑に処せられる。

 

第五十八条【第十六条及び第十七条違反】 12)

1. 本法第十六条1項及び3項の規定に違反する者は、二年を超えない期間の懲役刑を宣告され、古物は没収される。

2. 本法第十七条の規定に違反する者は、一年を超えない期間の懲役刑、又は100ディナールを超えない罰金刑、もしくは古物没収の上で双方の刑を宣告される。

 

第五十九条【第二十二条違反】

本法第二十二条の規定に違反する者は、有罪と看做され、六ヶ月を超えない懲役刑、又は100ディナールを超えない罰金刑、もしくは双方の刑に処せられ、贋作又は模造品は没収される。

 

第六十条【第二十六条違反】 (13)

1. 本法第二十六条の規定に反し、意図的に古物を密輸した者、あるいは密輸を幇助した者は、所有するすべての古物がたとえ登録されていたとしても、五年を超えない期間の懲役刑を宣告され、当該古物は没収される。犯罪が行われた古物は、たとえ登録されていても、その者が保有するすべての古物と共に没収される。

2. 総局が保有する古物を盗んだ者は、六年を下回らない期間の懲役刑、及び盗まれた古物の価格の六倍の額の罰金刑を宣告される。そのような罪を犯そうと意図する者は、既遂(complete action)と看做される。共謀者、共犯者又は教唆者は、主犯者と看做される。犯罪が、行政によって、若しくは古物の保管、保存又は警護することを委託された責任ある者によってなされた場合は、罰則は二倍となる。

 

第六十一条【第二十七条及び第二十八条違反】 14)

本法第二十七条及び第二十八条の規定に反して古物の不正取引を行った者は、三ヶ月を超えない期間の懲役刑、又は100ディナールを超えない罰金刑に処せられ、その者が保有する古物は没収される。

 

第六十二条【第三十九条違反】 15)

本法第三十九条の規定に違反する者は、10ディナールを超えない罰金刑に処せられる。
上記の違反が、新しい保有者の未申告(non-declaration)、又は古物の痕跡を見失うことに至った場合は、有罪者は一年を超えない期間の懲役刑、又は100ディナールを超えない罰金刑、もしくは双方の刑に処せられる。

 

第六十三条【第四十条違反】

本法第四十条の規定に反して古物発見のために発掘又はそれを企てた者は、一年を超えない期間の懲役刑、又は100ディナールを超えない罰金、もしくは双方の刑に処せられ、掘削機材及び発見された古物は没収される。そしてもし犯罪が、歴史遺跡として既に告知されている遺跡で行われた場合、同人は、三年を超えない期間の懲役刑、又は500ディナールを超えない罰金刑に処せられ、掘削機材及び発見された古物は没収される。

 

第六十四条【情報提供の懈怠】

本法に基づいて、同人に求められた情報の提供及び協力を怠った者は、政府高官(Government Officials)の業務執行を妨害した有罪とみなされ、刑法典の規定で処罰される。

 

第七章 雑則

第六十五条【古物査察官】

古物査察官(inspectors of antiquities)は、本法の規定の違反に関する限り、調査官(investigators)に与えられた権限を享受する。

 

第六十六条【警備員及び案内係】

古物の警備員(guards)及び案内係(attendants)は、違法な掘削及び不正取引を阻止する義務について警察官に与えられたのと同じ権限を持つ。

 

第六十七条【古物局専門家の報告書】

(object)が古物か偽物かそれとも古物ではないかについて古物局の専門官が提出する公式報告書は、法的文書と看做される。

 

第六十八条【没収された古物】

本法の規定により没収された古物は、古物局に送付される。

 

第六十九条【大臣からの委譲】

大臣は、本法に基づいて自らに与えられたすべて又はその一部の権限を局長に委譲することができる。そのような授権(authorization)は、官報での告知を通じてなされる。大臣は、その告知を修正又は撤回することができる。

 

第七十条【効力】

本法公布(issue)以前に1924年古物法に基づいて与えられた取引及び発掘の許可証は、本法の規定を遵守する限り、依然として有効である。しかし先の二年間に定期的に発掘が行われた考古学的遺跡において、それ以降の二年間に発見された古物は、1924年古物法第二十二条の規定に従って分けられなくてならず、本法第四十九条の規定は、本法発効日から二年が経過するまでは適用されてはならない。

 

第七十一条【廃止】

1924年古物法は、ここに廃止される。

 

第七十二条【発効】

本法は、官報での公布日より発効する。

 

第七十三条【執行責任】 

情報大臣及び法務大臣は、本法執行の責任を負う (16)
<回教暦>1355年ムハッラム月 28日、1936年4月20日、バグダッドにおいてこれは制定される。

 

序文


「1936年古物法第五十九号は、事実上であれ法律上であれ、古物総局に登録されている古物を個人が所有し、売買することを認めていたために、その結果、取得者(acquisitor)の中には大量に古物を所有する者がおり、そのほとんどの古物が違法手続によって収集されていた。このことは、古物の取引、未登録古物の密輸を助長し、及び国の文化遺産に被害を与えていた。
 公共の利益に鑑み、ここに古物を所有し売買することを禁止し、古物の取引及び密輸を防止し、この公示以降、長期にわたるその法律の施行の結果として出現したその他の欠陥を避ける為、保有する古物の価値に相当する補償額を保有者に支払うこととする。
よって本法は公布される。」

本法は、官報に公示され、両大臣は本法施行の責任を負う (17)

 



(1)1974年古物法第一回改正法第120号第二条
(2)1974年古物法第一回改正法第120号第九条によって削除される。
(3)1974年古物法第一回改正法第120号第三条によって新条文に差し替えられる。
(4)1975年古物法第二回改正法第164号第一条
(5)1974年古物法第一回改正法第120号第四条に従って新条文に差し替えられる。
(6)1974年古物法第一回改正法第120号第九条によって削除される。
(7) 1974年古物法第一回改正法第120号第九条によって削除される。
(8) 1974年古物法第一回改正法第120号第九条によって削除される。
(9)1974年古物法第一回改正法第120号第五条に従って新条文に差し替えられる。
(10)1974年古物法第一回改正法第120号第九条によって削除される。
(11)1974年古物法第一回改正法第120号第六条に従って新条文に差し替えられる。
(12)1974年古物法第一回改正法第120号第七条に従って新条文に差し替えられる。
(13)1974年古物法第一回改正法第120号第八条に従って新条文に差し替えられる。
(14)第二十七条本文は以下の通り。
「何人も、大臣及び古物局長によって署名された古物局の書面による許可を取得しない限り、古物の取引をしてはならない。」であった。

第二十八条本文は以下の通り。
「売買可能な古物は、本法の規定に基づいて、個人所有で登録されたものでなければならない。古物取引許可証は、未登録古物購入の入手が如何に可能となったかにかかわらず、許可証保持者に、そのような古物を取引する権利を認めない」

第二十七条及び第二十八条は、1974年120号第一回改正法第九条によって削除された。
(15)第三十九条本文は以下の通り。
 (a) 所有する古物を、何人であれ贈与又は売却しようと希望する者は、古物局にその旨を通知しなければならない。
 (b)古物を売却又は贈与することは、本法の規定に基づく許可なしには、輸出する権利を有するとはみなされない。

第三十九条は、1974年古物法第一回改正法第120号第九条によって削除された。
(16)1936年4月23日付官報第1507号で公布された1936年古物法第59号
(17)1974年古物法第一回改正法第120号は、1974年9月14日付官報第2396号で公布された。1975年古物法第二回改正法第164号は、1975年3月11日付官報第2496号で公布された。

 

*各条文の見出しは、当センターによる。