予防考古学に関する法律
2001年1月17日付法律第2001-14号

 

=目次=
第1条 目的
第2条 国家の役割
第3条 考古地図
第4条 公共施設法人
第5条 実施機関
第6条 他の行政承認期間の中断
第7条 動産考古遺物
第8条 公共施設法人の資金調達
第9条 計算式
第10条 行政委員会
第11条 ―条文なし―
第12条 ―条文なし―
第13条 ―条文なし―
第14条 実施報告書

 

第1条【目的】

公共業務の任務(mission de service public)に属する予防考古学(archéologie préventive)は、考古学の構成要素である。それは、すべての科学的調査(recherche scientifique)に適用可能な原則によって規制される。予防考古学は、適切な期間、地中及び水中で、公共又は私的工事(travaux)によって影響を受けるか受けそうな考古遺産要素の科学的研究(étude scientifique)による探査(détection)、保存(conservation)又は保全(sauvegarde)を確実に行う目的を持つ。同じく、得られた結果を解釈し、普及させる目的も持つ。

 

第2条【国家の役割】

1.国家は、科学的調査・遺跡保存・経済社会発展それぞれの要求を慎重に調整する。国家は、(イ)科学的研究による考古遺産の探査、保存又は保全を目的とした手段を規定し、(ロ)予防考古学の全作業の科学責任者(responsable scientifique)を指名し、(ハ)これらの作業の監督及び評価の任務を確実に行う。

2.予防考古学の発掘診断(diagnostics)及び作業に関する国家規定(prescription de l’Etat)は、国務院政令の定める期間中に発布される(délivrées)

3.任務遂行の為に国家は、国務院政令によって設立され、(イ)考古遺産の科学的研究、及び(ロ)その研究成果の目録化・公表・普及、並びに(ハ)同遺産の保護・保存・活用に関する全措置を検証する(examiner)管轄権を持つ科学機関(organismes scientifique)に諮問することができる。

 

第3条【考古地図】

1.考古学的探究活動(activités de recherche archéologique)を行う公共施設法人及び地方公共団体の協力(concours)を得て、国家は全国考古地図(carte archéologique nationale)を作成し、最新の状態に保つ。国家領域全体の為に、国家は自由に使用できる考古資料(données archéologiques disponibles)を収集し整理する。
2.作業承認(autorisations de travaus)を交付できる所轄庁は、その文書の抄本を閲覧し(ont communication)、それを要求するすべての者に送付することができる。抄本閲覧条件、並びに考古遺産保存(préservation)に繋がる要請(exigences)であるという留保附きで要求するすべての者に対する国家による考古地図送付方法を政令で定める。

 

第4条【公共施設法人】

1.予防考古学の発掘診断及び作業(diagnostics et opérations de fouilles)は、行政的性質を有する全国公共施設法人(établissement public national)に委ねられる。

2.考古発掘の規制(réglementation)を含む1941年9月27日付法律の諸規定、1989年12月1日付法律第89-874号、及び本法を適用して、同施設は、国家の下す決定事項及び諸規定に則り、国の代表者の監視下で発掘診断及び作業を実施する。その任務を遂行するにあたり公共施設法人は、地方公共団体の考古業務及び公法上の他の法人(personnes morales)の考古業務を結び付ける。同施設は協定により、考古学的研究の業務を課された他のフランス法人又は外国法人を招聘することができる。

3.公共施設法人は同じ条件で、その諸活動の科学的開発(exploitation scientifique)及び成果の普及を、特に研究又は高等教育の公共施設法人と締結した協力協定の枠内で確実に行う。同施設は、教育・文化的普及・考古学の価値付け(valorisation)を目指す。

4.公共施設法人は取締役会(conseil d’administration)によって運営される。その取締役会の会長は政令で指名される。

5.取締役会は会長の他に、国の代表者、有識者(personnalités qualifiées)、考古学探究の分野における研究及び高等教育の機関・公共施設法人の代表者、地方公共団体の代表者、及び予防考古学に関わる公法人又は私法人、並びに職員から選ばれた代表を含む。

6.取締役会は、に科学顧問(conseil scientifique)によって補佐される。

7.公共施設法人の終身雇用の職(emplois permanents)は、臨時職員(agents contractuels)によって補充される。 公共施設法人の職員の身分(statut des personnels)は、国家公務員に関する規約(dispositions statutaires)を含む1984年1月11日付法律第84-16号第7条適用によって出された国務院政令及び特殊政令(décret particulier)によって規制される。全国考古発掘協会(Association pour les fouilles archéologiques nationales)と命名された協会の財産・権利・義務は、政令の定める条件の下で公共施設法人に帰属する。


第5条【実施機関】

1.作業実施を計画する者と公共施設法人の間で結ばれた協定によって、(イ)発掘診断及び作業の実施期間(délais de réalisation)(ロ)地所(terrains)への立入条件、及び(ハ)発掘実施に必要な物資・装備・手段の供給条件を定める。同協定では、定められた期間を超えた部分についての結果も平等に決めておく。協定の定める期間は、考古作業の実施できる状況に地所がおかれた時から始まる。

2.発掘診断及び作業の実施期間について当事者間の合意が得られなかった場合、実施期間(durée)は、より熱心な当事者側からの要請を受けて国家によって定められる。但し、国家は本法第2条に述べられた科学機関に諮問することができる。

 

第6条【他の行政承認期間の中断】

発掘診断及び作業の実施に必要な期間中は、採石場開発の行政承認の期間が中断される。

 

第7条【動産考古遺物】

予防考古学の作業中に出てきた動産考古遺物(mobilier archéologique)は、国家業務の管理の下、科学的研究に必要な間、公共施設法人に託される。五年を超えることのない研究期間が終了した時には、その動産の所有権は、先の1941年9月27日付法律第11条の規定によって規制される。

 

第8条【公共施設法人の資金調達】

公共施設法人の資金調達はとりわけ次によって確保される。
 (1)第9条に規定された予防考古学の納付金(redevances)
 (2)国家、或いは他のすべての公法人又は私法人からの補助金  

 

第9条【計算式】

(一)予防考古学の納付金は、(イ)都市計画法典の適用により事前承認を要し、又は環境法典(code de l’environnement)の適用により影響調査(étude d’impact)を惹起する事業、或いは(ロ)同法典の意味する環境調査をしなくてもよい合議に基づく整備地区に関する事業、或いは(ハ)別種の浸食(autres types d’affouillements)の場合は、国務院政令が定め且つ第2条で定められた様式規定によって本法の定める条件の下で考古遺産を探知・保全する為に公共施設法人の介入を必要とするような、様式に従った事前の行政宣言を必要とする事業の実施を計画する公人又は私人によって支払われる。
分譲地(lotissement)又は合議に基づく整備地区の為に整備計画(projet d’aménagement)を実施するか又は実施させる公法人又は私法人は、整備計画全体の為に(三)に規定された免除(exonération)を妨げることなく、診断及び発掘の納付金支払義務者である。

(二)納付金の総額は、その発生事実(fait générateur)を構成する国家からの指図を根拠にした公共施設法人の決定によって決められる。この総額は次を基本として算出される。
(1)考古診断を行う為の計算式
 R(一平方メートルあたりのフラン)=T÷320

(2)診断に基づいて発掘を行う為の
a)階層状の考古現場(sites archéologiques stratifiés)での計算式
 R(一平方メートルあたりのフラン)=T(H+H’÷7)
Hは考古層(couche archéologiques)の平均的高さ(hauteur moyenne)をメートルで表し、H’は公共又は私的整備工事の実施(réalisation)により影響を受ける捨石(stériles)の平均的高さをメートルで表す。
b)非階層状の考古学的構造体の集合(ensembles de structures archéologique)に対する計算式
 R(一平方メートルあたりのフラン)=T{(1÷450)(Ns÷10+Nc)+H’÷30}

変数Ns及びNcは、それぞれ診断で評価された単体(simples)及び複合(complexes)考古構造のヘクタール数を表す。考古構造が異なる性質の複数の要素で構成されている時、且つその研究が科学的調査(investigation scientigique)の多種多様な手法及び技術を全面的に必要としている時、考古構造とは前述の複合のことである。
現場が堆積成(accumulation sédimentaire)か、或いは考古遺産の諸要素を含む単体又は複合構造の重なりを見せる時、現場とは前述の階層状のことである。

住居に優先する形で影響を受ける建築に対しては、(二)の値は次のように最高限度を定められる。
 T÷3×S
Sは建設計画(projet de construction)の正味全作業外の面積(surface hors œuvre)を表す。しかし(二)のaの場合には加えて、都市計画の文書が定める規範(normes)に適うのに必要な箇所を超える高さ及び面積についても納付金が支払われなければならない。

(一)に見られる場合、計算式は地中を侵害する恐れのあるような計画作業及び計画整備の影響力(emprise)の下にある地表面積に適用される。(二)に見られる場合、計算式は発掘の影響力の下にある表面に適用される。
変数Tは620に等しい。その総計(montant)は、建設費用の指標に応じてスライドされる(indexé)

(三)建築住居法典(code de la construction ed de l’habitation)L351-2条(三)・(五)、L472-1条及びL472-1-1条を適用し、実際に賃貸借用になされる正味の作業以外の面積に比例して、国家の財政援助を得て建築又は改築された賃貸用住宅(logements à usage locatif)に関わる仕事、並びに個人(personne physique)が自らの為に実施させる住宅建設は、予防考古学の納付金を免除される。
地方公共団体又はその連合が国務院政令の定める条件の下で国家が認可した考古業務(service archéologique)を課されている時で、且つそれらが定められた考古作業を公共施設法人の要請により実施した時、地方公共団体又はその連合がそれら自身の為に実施する整備作業は、公共施設法人の決定により、納付金の支払いを免除される。免除は、地方公共団体による前述作業の実施に比例して定められる。
納付義務者(personne redevable)による物資(matériels)・装備(équipments)・それらを活用する為に必要な資力(moyens)の調達(fourniture)は、納付金総額の減額要求権(droit à unde réduction)をもたらす。減額限度は、(二)の(2)のaで述べられた場合、
 T×H’÷7
(二)の(2)のbで述べられた場合、
 T×H’÷30
である。
(一)で定められた作業が納付義務者によって実施されない時、納付金に関する考古作業が開始されておらず、且つ施設の出費及び納付金の徴収からの控除がなされていなかったならば、診断及び発掘の納付金は施設によって償還される。

(四)行政的性格の全国公共施設法人の債権回収に適用される規則に従い、公共施設法人会計官(agent comptable)によって、納付金は徴収される。
施設の出費及び納付金の徴収に関する利率は、(二)及び(三)で決定されるように納付金総額の0.5%に固定される。
整備する者による納付金の支払がない場合、公共施設法人は遅延罰則とともに注意書(lettre de rappel)をその者に郵送する。遅延金の率は納付金総額の10%に固定される。
納付金の時効期間は四年である。

(四―その2)2003年の間に生じて本条に関わる公法人又は私法人毎に支払い期日となっている、予防考古学納付金の総額は、25%削減される。

(五)国務院政令で、本条の適用方式を定める。

 

第10条【行政委員会】

1.予防考古学納付金決定に関する紛争は、債務者(redevable)の要請に基づき、国務院構成員の一名が主宰し、(以下)同数の国の代表者、地方公共団体の代表、予防考古学に関わる公法人・私法人の代表、並びに有識者で構成される行政委員会によって審理される。

2.委員会の見解は当事者に通知される。

3.委員会構成・審理方法・適用可能な手続は、国務院政令によって決められる。

第11条 ―条文なし―

第12条 ―条文なし―

第13条 ―条文なし―

 

第14条【実施報告書】

1.政府は本法実施に関する報告書を2003年12月31日までに議会に提出する。

2.この報告書ではとりわけ次の項目を報告する。
 ―実施した予防考古学作業の総決算
 ―全国考古地図実施の進捗状況
 ―第4条に規定された公共施設法人の財政状況
 ―第10条に規定された委員会に持ち込まれた紛争の数及び原因(motifs)、並びに同委員会の見解に充てられた帰趨(sorts)


ジャック・シラク共和国大統領
リオンネル・ジョスパン首相

 

出典:フランス政府法令ホームページ

註:各条文の見出しは当センターによる。