記念物及び景勝地の保存に関する法律

=目次=
第1章 不動産
第1節 記念物及び建造物
 第1条 記念物及び建造物の指定・保護
 第2条 費用負担
 第3条 変更禁止
 第4条 収用承認
 第5条 収用対象
第2節 景勝地
 第6条 指定 
 第7条 損害賠償請求
 第8条 強制買収
 第9条 債権者
 第10条 警察による中止
 第11条 地役権
第3節 記念物、建造物及び景勝地共通規定
 第12条 暫定効果
 第13条 指定と地役権
 第14条 指定解除
 第15条 公示
 第16条 広告等の禁止

第2章 動産物
 第17条 動産明細目録
 第18条 紛失等
 第19条 修復、修理、譲渡
 第20条 無効な譲渡

第3章 一般規定
 第21条 罰則
 第22条 準用
 第23条 原状回復命令
 第24条 地方、市町村等の不作為
 第25条 遵守すべき法律
 第26条 廃止
 第27条 訴訟費用

 

第1章 不動産

第1節 記念物及び建造物

第1条【記念物及び建造物の指定・保護】

1.王立記念物及び景勝地委員会(commission royale des monuments et des sites)であれ、記念物及び建造物所在地の市長・市助役集団(collège des bourgmestre et échevins de la commune)であれ、それらの提案に基づき、歴史的、芸術的又は科学的観点からその保存が国家的重要性を有するような記念物及び建造物は、全体又は一部について、勅令(arrêté royale)によって指定され、国家の保護下に置かれる。

2.指定の提案(proposition de classement)を受けて、政府はそれを指定するだけの理由があるか判断する。この場合、この提案は、指定される不動産所在地の市長・市助役集団に通知するのと同様に、所有者(propriétaires)、登記済の(inscrits)又は登記行為(actes transcrits)の結果による物権保持者(titulaires de droits réels)、及び弁済催告(commandement)を登記させた債権者(créanciers)にも通知される。次に提案は終身代議士(députation permanente)の見解に附され、告示(notifications)から二ヶ月の期間内に、すべての利害関係者(interesses)はその面前で異議を申し立てることができる。そして理由を附した見解を求めて(pour avis motive)、指定の提案は政府によって王立記念物及び景勝地委員会に送付される。同委員会は、提案検討に当たり意見を聞く為に(a titre consultatif)、財務大臣の代理によって補充される(complétée)

3.指定を決定した勅令は、所有者及び上記に指名した他の利害関係者に指定の提案を通知してから三ヶ月後にしか発せられない。勅令は彼等に通知され、抵当権設定登記官(conservateur des hypotheques)の事務所に於いて登記される。

4.上記に規定された通知は、行政手段によって(par voie administrative)なされる。

5.勅令は閣議(Conseil des Ministres)で審議される。

 

第2条【費用負担】

1.保守作業(travaux d’entretien)、補強(conslidation)作業又は修復(restauration)作業が記念物又は建造物にとって、その歴史的、芸術的又は科学的価値を保存するのに必要な時には、関係する国家、地方(province)、市町村は勅令によって定められた条件と比率に応じて、その作業費に関与する。国家の割合は市町村の同意した場合を除いて、市町村の割合を下回ることはできない。

2.前項に従いなされる関与の提案にもかかわらず、関係者がその不動産の破壊又は破損の防止に必要な作業の実施を拒否するならば、政府は強制的にそれを実行し、関係者が前項の利益を援用することがなくとも、その利となった範囲内でその費用の償還を受ける権利を有することができる。

3.記念物又は建造物が私人に属する時には、その者は必要な作業を実施することなく、国家にその者の不動産を収用するよう請願する(exiger)ことができる。

 

第3条【変更禁止】

1.王立記念物及び建造物委員会及び市長・助役集団の見解を受けた勅令が承認を得る前に、指定記念物又は建造物の所有者は、その外観を変えるような如何なる決定的変更もそれに加えてはならない。

2.王立記念物及び景勝地委員会並びに市長・助役団体は、一ヶ月の期間内に最終見解を述べなければ、同意したものと看做される。

 

第4条【収用承認】

1.所有者の手元にあるままの指定記念物又は指定建造物が破壊又は著しく損傷される恐れがある時には、国王は王立記念物及び景勝地委員会の要請を受けるかその見解を表明した後に、公共利用(utilité publique)の為に国であれ、市町村であれ、その収用を承認することができる。

2.第3条に規定された承認無しに、指定建造物または指定記念物の保存を危うくするか、又はその外観を変える性質の作業が開始される時は、市長又は総督(gouverneur)は、警察(force publique)にその作業を中止させることができる。

 

第5条【収用対象】

利害当事者間で対立する協定を除き、すべての収用は、たとえその一部分しか指定されていなくても第2条及び第4条により記念物全体又は建造物全体に及び、さらにその不可欠の附属地にも及ぶ。

 

第2節 景勝地

第6条【指定】

1.その保存が歴史的、美的又は科学的観点から国家的重要性を有する景勝地は、第1条によって定められた条件及び書式に則り、指定することができる。王立記念物及び景勝地委員会は、その提案の検証の為にコンサルタントの資格で、その問題に関係する省庁すべての代表者と同じく、財務大臣の代理人(délégué)によって補完される。

2.景勝地(site)を指定する勅令には、その境界線を正確に確定する計画を附属として(en annexe)含む。国益保全の為に求められ、所有者の権利にもたらされる制限を列挙する。

3.勅令はしかしながら、作物(plantations)及び栽培植物(cultures)に関する点において

耕作者の自由を制限することはできない。

4. しかしながら、指定勅令によって禁じられる作業は、利害関係者の要請により、王立記念物及び景勝地委員会、並びに指定景勝地の市長・助役団体の見解表明後に、後日の勅令によって認可できる。第3条2項にある看做し規定は、この場合に適用される。

5. 科学技術省(Ministere des Sciences et des Arts)が求める計画及び情報の発送(envoi des plans et renseignements)後二ヶ月の期間内に禁止作業を認可する勅令が発せられないならば、政府が認可を与えたものと看做される。

6.このように与えられた全ての認可は同様に、本条4項に規定された見解に先行した勅令によって剥奪される。

7.認可、或いはその拒否又は剥奪をもたらす全ての勅令は、第1条2項及び4項の規定に則り、利害関係者に通知される。

 

第7条【損害賠償請求】

1.所有者及び他の関係者(intéressés)は、その権利にもたらされた制限が彼らに与えた損害(prejudice que leur occasionnet les restrictions)につき、国家負担による賠償請求の権利を有する。

2.損害の新しい原因が援用できる場合には、この権利により複数の訴訟を起こすことができる。

3.当事者間に協議が成立しない時は、賠償問題の解決は利害関係者の要請により、司法上でなされる。第6条4項及び7項の適用により政府が、地役権を課せられた地所(bien)の上で利害関係者がその権利に基づき実施を望む行為を認可しない旨をそれらに通知し、損害を引き起こしてしまった日から数えて二年以内に、権利消滅なきよう(sous peine de decheance)、この要請書は作成される。

4.訴訟の場合、原告以外の全ての利害関係者は、審理に参加する(intervenir)ことができる。もしそれをしないならば、原告又は利害関係者の一人であれ、国家であれ、審理に参加するよう召喚され得る。

5.利害関係者達が正式に召喚されても審理に参加しないか、その権利を行使しない場合には、それらの者は、認可拒否が彼等に与えた損害の賠償を請求する能力を失う。

6.地役権を課せられた所有者は、地所の被った減価の幅(moins-value)がその市場価格(valeur venale)の半分を上回ることが立証されるならば、国家にその地所の買収を要求することができる。

7.共有又は共有者間の競合の場合においても、全利害関係者が一致同意しているという条件で、国家による買収を要求できる。この場合、使用収益権(droits d’usufruit)は価格に反映される。

 

第8条【強制買収】

1.国家による強制買収(acquisition forcée)の場合、所有権移転を確定する最終決定は抵当権登記事務所にて登記される。この登記は第三者に対しては、譲渡行為の登記と同じ効果をもたらす。用益権に関する本法規定の保留の下では、買手の国家(Etat acquéreur)は、売買に関するように且つ一般法(droit commun)規則の適用により、譲渡人又は権利保持者(auteur)によって譲渡された用益債権(droits personnels de jouissance)と同様に、その地所上にある全物権(droits reels)を尊重しなければならない。

2.公共利用の為の収用に関するように、国家による価格支払い及び地所占有の引き渡しに関係する事項について手続が進められる。

 

第9条【債権者】

1.もし地役権附きの地所が、抵当権者(créanciers hypothécaires)又は優先権者(privilégiés)の為の登記を課せられるならば、この場合彼等の権利は、先の不動産債権者の債権の為にその諸権利を損なうことなく供託されるべき補償金にもたらされる。

2.もし第7条の適用により地所が国家によって引き取られるならば、同じ債権者の権利は当然、公共利用の為の収用に関するように、価格に反映される。

 

第10条【警察による中止】

指定景勝地内に含まれている不動産の保持者(détenteur)が、指定の勅令により禁止されている作業を行う恐れがある時には、市長又は知事(gouverneur)は警察にこの作業を中止させることができる。

 

第11条【地役権】

1.生存者又は遺言相続人(testamentaires)の間の法的行為により、市町村の為になる公共利用の地益権が設定され得る。具体的には、自由な通風を保ち、解放空間(espaces ouverts)を確保し、景勝地の保全及び美化を確かなものにすることを意図した地益権である。

2.王立記念物及び景勝地委員会の見解を得た後、上級官庁(autorites superieures)の使用承認を条件に、市町村はこのように遺贈された地益権を放棄することができる。

 

第3節 記念物、建造物及び景勝地共通規定

第12条【暫定効果】

政府が利害関係者に指定の提案が検討されていることを通知した日より指定の全効果は、制限事項決定の通知から六ヶ月の期間、暫定的に目的の不動産に及ぶ。

 

第13条【指定と地役権】

指定の効果は、何人の手に渡ろうとも不動産に付随する。道路警察及び建築警察に関する法律及び規則に由来する地役権は、もし不動産を損傷させるかその外観を変更する結果をもたらし得るならば、指定不動産には適用されない。

 

第14条【指定解除】

記念物、建造物又は景勝地の指定解除は、指定の為に課された条件及び書式に則り、行われる。

 

第15条【公示】

記念物、建造物及び景勝地を指定又は指定解除する勅令は、モニトゥール(Moniteur)に公示されなければならない。

 

第16条【広告等の禁止】

指定記念物又は指定建造物上であれ、指定景勝地においてであれ、広告掲示板(panneaux-réclames)又は何らかの広告の設置禁止は補償の権利を与えない。

 

第2章 動産物

第17条【動産明細目録】

1.国家、地方、市町村及び公共施設に帰属し、その保全が芸術的観点から国益に適う動産物の明細目録(inventaire)は、科学芸術大臣の要請で、関係行政機関又は公共施設の職責(soins)、或いは王立記念物及び景勝地委員会の職責で、作成される。この明細目録は関係行政機関に通知される。

2.本規定は国及び地方の博物館及び図書館には適用されない。

 

第18条【紛失等】

このように指定された動産物を管理下に置く者はすべて、王立記念物及び景勝地委員会に、その紛失、破壊又は損傷を即時通告する(signaler)義務を負う。同委員会は何時でも、明細目録にある物の点検を行う為にその代理人の一人を派遣し、その点検に続いて明細目録を補完することができる。

 

第19条【修復、修理、譲渡】

1.このように指定された物(objet)は、王立記念物及び景勝地委員会が見解を表明した後に、国王が与える承認なしでは、修復、修理又は譲渡することができない。譲渡を承認する勅令は、王国の公共収集に利するよう先買権を留保することができる。

2.指定物を手元に所持する行政機関又は公共施設は、王立記念物及び景勝地委員会の一致見解なしには一時的でさえそれを放棄することができない。

 

第20条【無効な譲渡】

1.第18条に違反してなされる譲渡はすべて、無効である。

2.無効な譲渡行為及び譲渡された物の返還請求行為は、時効に掛からない。

 

第3章 一般規定

第21条【罰則】

次の者は、千フランから一万フランの罰金に処せられる。

(1)第3条に規定された承認無しに、指定記念物又は建造物の保存を危うくするか又はその外見を変更するような性質の作業を開始した者

(2)景勝地指定の勅令によって禁止された作業を、勅令による承認を事後に得ることなしに、開始した者 

(3)第19条が課す禁止事項に違反した者

(4)その出所を知りながら、第19条により譲渡が禁止されている動産物を入手した者、或いはその売却を交渉した者

(5)第18条に規定された申告を故意に怠った者

 

第22条【準用】

刑法典第一編は、第66条、第67条、第69条2項及び第85条の例外無しに、前条で定められた違反に適用できる。

 

第23条【原状回復命令】

すべての有罪判決は、指定された建造物、記念物、不動産及び動産物を元の状態(état primitif)に再建するか、被告の費用負担で、損害賠償を妨げることなく、可能な限り以前の外観に戻すのに必要な作業を行うよう命ずる。

 

第24条【地方、市町村等の不作為】

国家は、地方、市町村及び公共施設が不作為の場合、それらに代位するか、又はそれらによって提訴された司法審理(instance judiciaire)に参加することができる。

 

第25条【遵守すべき法律】

王立記念物及び景勝地委員会は、行政における言語使用に関する1921年7月31日付法律に従う。

 

第26条【廃止】

1836年3月30日付法律第76条8項は廃止される。

 

第27条【訴訟費用】

本法適用の結果生ずる訴訟手続は、公共利用の為の収用に関する1835年4月17日付法律の規定に従い、国家の費用で行われる。

本法を公布し、国璽を捺した上で、モニトゥールに公表されることを命ずる。

 

ブリュッセルにて、1931年8月7日

国王アルバート(Albert)

 

科学芸術大臣 プチジャン(R. Petitjean)

<国璽>

法務大臣の為に

郵便電信電話大臣 ボベス(FR. Bovesse)

 

 

註:各条文の見出しは当センターによる。