'08 無形文化財の保存・活用に関する調査研究
この調査研究では、古典芸能や伝統的な工芸技術、及び文化財保存技術の伝承実態を把握し、技法・技術の調査研究や資料収集を行っています。
またこのプロジェクトでは、特に伝承の変化が大きく、記録の必要性が高い無形文化財について、記録作成も行っています。
横笛の調査
安国寺本尊の胎内に納入されていた笛
(写真:野久保昌良 X線撮影:犬塚将英・松島朝秀)
広島県福山市安国寺の本尊阿弥陀三尊像は鎌倉時代に造立された仏像ですが、その胎内に雅楽で用いる龍笛が納められていました。無形文化遺産部では、以前からこの笛の調査を行っていましたが、今回X線撮影を行ったところ、たいへんシンプルな構造をしていることがわかりました。笛の材料は竹ですが、通常は、節を抜いてそこに錘をつめます。ところが、この笛では節を残していました。節を残すのは、正倉院に伝存する笛のほかは、大原寂光院の地蔵菩薩の胎内に納入された横笛だけです。寂光院の地蔵菩薩も鎌倉時代に造立されています。龍笛の製作方法にも、さまざまな段階があったことがわかってきました。関連リンク:'09 パネル展示「X線透過撮影による能管 ・龍笛の構造解明」
錦光山宗兵衛 《青磁菱形香炉》
(京都市産業技術研究所) 明治時代
明治以降の京焼の調査
明治時代の京焼の製陶家が蒐集した古陶磁と、明治時代前期から中期に刊行された京都の陶芸技術に関する文献の調査を、京都市産業技術研究所・工業技術センターや愛知県陶磁資料館等で行いました。明治時代の京焼では、江戸時代から続く京焼の伝統を後世に伝承しつつ、原料土の開発や、数万種に及ぶ釉薬の研究、窯の改良等が行われたことがわかりました。また、「京焼」とは何か、を模索し表現した製陶家たちの研究と情熱の結晶ともいえる作品が多く製作されたことも強調したいと思います。これらの「わざ」は現在の製陶技術の土台となっています。