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黒田清輝の再評価に関する調査・研究−大正期美術との関連を中心に

 黒田清輝、および関連美術家の作品、資料等の総合的な調査、研究を行うものであり、黒田のもつ美術教育者、美術行政家としての面を大正期の美術の動向との関連から調査・研究することを目的としています。

2005年度
2004年度
2003年度
2002年度
2001年度

2005年度

 本年度は、5年次であるため、これまでの調査研究のとりまとめを行った。そのため、黒田清輝周辺の資料の調査をすすめ、また新しい光学的調査の技術を応用した作品調査を行い、その結果、下記の5項目の成果を得た。

1.  特集展示『「昔語り」画稿・下絵』

黒田記念館が所蔵する「昔語り」の画稿、下絵計30点によって、完成作(1945〔昭和20〕年に焼失)にいたる創作のプロセスを、関連資料とともに紹介することができた。また、2004(平成16)年6月に、協力調整官―情報調整室の協力のもと黒田記念館を会場に「デジタル画像体験 黒田清輝の目―風景・からだ・顔」と題して光学調査の成果を公開したが、「智・感・情」、肖像画等の展示コーナーにおいて、その一部を再現し公開することができた。

2.  黒田清輝著述文献のテキスト入力

これまで巡回展図録、ホームページ等で公開していた文献目録の見直しをはかり、収集調査した文献資料から、未公開の文献約150件をテキストデータ化し、校正を終えることができた。

3.  黒田清輝宛書簡の翻刻

差出人の中から、黒田清輝と関係の深い美術家を選び、美術部客員研究員青木茂氏の協力を得て、その書簡の翻刻を始めることができた。

4.  黒田清輝の肖像写真等の資料の寄贈

2006(平成18)年2月に、黒田照子夫人のご遺族である金子光雄氏から、黒田清輝の肖像写真、生活写真、使用していた日用品等の資料の寄贈申込みを受け、一括して搬入保管することができた。

5.  黒田清輝油彩画目録の編集

黒田記念館において所蔵する素描作品の目録は、『黒田清輝素描集』(1982〔昭和57〕年、日動出版)が刊行されていたが、油彩画については、目録がこれまでなかったため、カラー図版で全127点を掲載し、最新の文献目録を付した所蔵品目録を刊行した(A4版変型、50頁)。

6.  成果の公表

 (発表)塩谷純「黒田清輝って、どんな人―その自筆文献から」 総合研究会 東京文化財研究所 06.1.10
(刊行)『東京文化財研究所所蔵黒田清輝油彩画目録』 06.3

研究組織:○田中  淳、塩谷  純、小林未央子(以上、美術部)、山梨絵美子、城野誠治(以上、協力調整官―情報調整室)
 
2004年度

 本年度は、4年次であるため、これまでの調査研究の見直しを多角的に行うことにした。そのため、黒田清輝周辺の資料の調査をすすめ、また新しい光学的調査の技術を応用した作品調査を行い、その結果、下記の6項目の成果を得た。

1.  制作地の現地調査

2003 (平成 15 )年 8 、 11 月、「湖畔」の制作地である 神奈川県足柄下郡箱根町 の芦ノ湖周辺を調査し、当時の写真等の資料を収集するとともに、黒田が宿泊した施設跡地を関係者からの取材で特定することができたことをふまえ、 2004 (平成 16 )年 4 月に、現地で撮影した。

2.  展示公開「デジタル画像体験 黒田清輝の目―風景・からだ・顔」

情報調整室プロジェクト「画像形成技術の開発に関する研究」と共同して行ってきた黒田清輝作品の光学的調査の成果を、黒田記念館の 2 階の一室を会場に、 2004 (平成 16 )年 6 月 10 日から 11 月 7 日まで展示公開した。( 37 日間公開し、 6,796 人の来館者があった。)内容は、黒田清輝の「湖畔」、「智・感・情」、肖像画を対象にして、風景、身体、顔の3テーマで構成し、高精細デジタル画像、可視光励起による蛍光画像、反射近赤外線画像、透過近赤外線画像等を、実作品と比較できるように展示した。会期中に、 16 ページの解説パンフレットを編集制作し、来館者に配布した。

3.  黒田清輝著述文献のテキスト入力

これまで巡回展図録、ホームページ等で公開していた文献目録の見直しをはかり、収集調査した文献資料から、未公開の文献をテキストデータに入力をすることができた。

4.  黒田清輝宛書簡の翻刻と翻訳

平成 14 年度までに、整理した黒田清輝宛書簡約 7,000 通の中のフランス語書簡 253 通を専門家の協力を得て、翻訳することができた。また、差出人の中から、黒田清輝と関係の深い美術家を選び、美術部調査員青木茂氏の協力を得て、その書簡の翻刻を始めることができた。

5.  成果の公表

(発 表)
田中 淳 「黒田清輝研究の現在」 『近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展』記念講演会 新潟県立近代美術館  04.4.24
田中 淳 「モノの価格とコレクションの形成」 美術部研究会 東京文化財研究所  04.7.28

(解説・編集)
田中 淳 「デジタル画像体験 黒田清輝の目―風景・からだ・顔」 東京文化財研究所  04.6

 

研究組織:○田中  淳、塩谷  純、小林未央子(以上、美術部)、山梨絵美子、城野誠治(以上、協力調整官―情報調整室)

2003年度

 本年度は、3年次であるため、これまでの調査研究の見直しを多角的に行うことにしました。そのため、黒田清輝周辺の資料の調査をすすめ、また新しい光学的調査の技術を応用した作品調査を行い、その結果、下記の6項目の成果を得ました。

  1. 黒田清輝関係の文献目録作成
    これまで巡回展図録、ホームページ等で公開していた文献目録の見直しをはかり、新たに資料を収集調査し、平成15年度の巡回展図録に成果を反映させることができました。

  2. 作品の調査
    平成15年度は、情報調整室・画像情報室の協力と、ポーラ美術館の許可を得て黒田清輝作品「野辺」、「菊」等3点を調査撮影し、制作過程での変更等の跡を確認することができ、黒田の創作の意図を解明するための手がかりを得ることができました。

    また、下記の日程で、同じく情報調整室・写真室の協力を得て、黒田記念館所蔵作品を反射赤外、蛍光撮影等により調査しました。
    2004(平成16)年3月8、9日    「木村翁肖像」、「婦人肖像」、「松方侯肖像下絵」
    2004(平成16)年3月15日〜17日 「智・感・情」
    2004(平成16)年3月29日〜31日 「湖畔」

  3. 制作地の現地調査
    2003年8、11月、「湖畔」の制作地である神奈川県足柄下郡箱根町の芦ノ湖周辺を調査し、当時の写真等の資料を収集するとともに、黒田が宿泊した施設跡地を関係者からの取材で特定することができました。

  4. 成果の公表
    (発表) 田中  淳 「黒田清輝の生涯と芸術」 和歌山県立近代美術館 03.7.19
          田中  淳 「最近の黒田清輝画の研究調査の成果」 所内総合研究会 04.2.3
    (論文) 田中  淳 「序論 黒田清輝の生涯と芸術」 『近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展』図録
                  pp.10-18 和歌山県立近代美術館 03.7 
          山梨絵美子 「黒田清輝の描く『田園の労働と休息』の主題をめぐって」 同上 pp.19-23

研究組織:○田中  淳、塩谷  純、山梨絵美子、(以上、美術部)

2002年度

本年度は、2年次であるため、これまでの調査研究の見直しを多角的に行うことにしました。そのため、黒田清輝周辺の資料の調査をすすめ、また新しい光学的調査の技術を応用した作品調査を行い、その結果、下記の6項目の成果を得ました。

  1. 白馬会関係新聞記事の全文をホームページで公開

  2.  「白馬会関係新聞記事」の資料は、植野健造氏(石橋財団石橋美術館学芸課長)が、九州大学に提出し、平成12年2月に文学博士の学位を取得した論文「日本近代洋画の成立―白馬会」の資料として調査作成されたものです。内容は、明治29年の結成から明治44年の解散まで13回にわたり展覧会活動をつづけた「白馬会」に関する新聞掲載の批評記事全文、挿絵、写真等の資料659件を回ごとに集成したものです。その一覧は、すでに『美術研究』364号(平成8年3月)及びホームページ上で公開していましたが、今回は、同氏の了承を得て、全文をデータ化し、情報調整室の協力を得て、平成14年10月から公開することができました。明治中期の黒田清輝とその周辺の画家たちの活動と同時代の言説を知ることができる貴重な資料を加えることができました。

  3. 作品の調査

  4.  情報調整室・写真室の協力を得て、平成14年度は、下記の黒田清輝等の作品を光学的調査撮影しました。
    黒田清輝作「湖畔」、調査実施日:平成14年10月11日、11月8日、平成15年1月17日
    黒田清輝作「木村翁肖像」(黒田記念館所蔵)、和田英作作「木村長七像」(個人蔵)、青木繁作「T氏像」(個人蔵)
    調査実施日:平成15年3月24、25日
     今年度は、黒田の肖像画に注目し、同時代の他の画家の肖像画とも比較しながら、制作のプロセスと表現の特徴を検証することができました。

  5. 黒田清輝宛書簡目録作成

  6.  黒田記念館が保管する黒田清輝及び黒田宛書簡を整理するとともに、差出人、発行年月日、形状等の基本的なデータを入力し、7473件の書簡の目録を作成しました。

  7. 「パンテオン会」研究協議会

  8.  フランスに滞在した日本人美術家、文化人等が集まってつくった「パンテオン会」の総合的な研究を開始し、同会会員の回覧誌の翻刻作業をすすめるとともに、下記にあげる他機関の研究者の参加をあおぎ、平成14年4月10日、5月21日、7月23日、9月12日、9月25日、10月25日、12月24日の7回にわたり研究会を開催し、同雑誌の翻字原稿読み合わせを行いました。
    今橋映子(東京大学)、高階秀爾(大原美術館)、手塚恵美子(日本女子大学)、馬渕明子(同前)、三浦篤(東京大学)、ロバート・キャンベル(同前)、山梨絵美子(美術部)
     また、11月5日から20日まで、『パンテオン会雑誌』を所蔵するパリ日本文化会館より借用し、撮影調査を行いました。

  9. 成果の公表

  10. (講演)田中淳 「黒田清輝作品研究の現状と課題」 全国美術館会議第18回学芸員研修会 笠岡市立竹喬美術館 03.2.6
    (資料紹介)山梨絵美子 「1900年代パリ留学生の交流を生き生きと伝える資料『パンテオン会雑誌』」 『美術フォーラム21』7 02.12

○田中淳、山梨絵美子、綿田稔(以上、美術部)、塩谷純(情報調整室)
2001年度

 本年度は、一年次であるため、これまでの調査研究の見直しを多角的におこなうことにしました。そのため、黒田清輝周辺の資料の調査をすすめ、また新しい光学的調査の技術を応用した作品調査をおこない、その結果、下記の6項目の成果を得ました。

  1. 『林忠正宛書簡集』刊行
      研究所が保管する、明治期に日仏間で活動した美術商林忠正宛の書簡(フランス語、約860通)の読みおこし作業が、小山ブリジット(武蔵大学教授)、馬渕明子(日本女子大学)の研究協力をあおぎ完了し、ひきつづき編集作業に入り、その成果報告を『林忠正宛書簡集』として、今年度6月に刊行することができました。これによって、基礎資料として、今後の日仏のジャポネズリー研究におおいに寄与するとおもわれます。

  2. 黒田清輝通り命名にともなう、現地調査
      平成13年10月7日、黒田清輝がフランス留学中、約2年間にわたって滞在したグレー・シュル・ロワン村において、これを記念して黒田清輝通りの命名式がとりおこなわれました。当研究所からは、所長の名代として田中淳が出席し、その後、当地の関係者と黒田の事跡と作品について協議し、またパリにおいても、クリストフ・マルケ(フランス国立東洋言語文化研究所助教授)と協議し、今後の黒田清輝をはじめとする、フランス留学の日本人画家に関する研究交流について次年度より開始することを決定しました。

  3. 「パンテオン会」研究協議会
      フランスに滞在した日本人美術家、文化人等が集まってつくられていた「パンテオン会」の総合的な研究を開始し、同会会員の回覧誌の翻刻作業をすすめるとともに、下記にあげる他機関の研究者の参加をあおぎ、平成13年10月26日、12月4日、同14年1月22日の3回にわたる研究協議会を開催しました。
    今橋映子(東京大学)、高階秀爾、手塚恵美子(日本女子大学)、馬渕明子(同前)、三浦篤(東京大学)、ロバート・キャンベル(同前)

  4. 白馬会展出品目録の調査
      黒田清輝が中心となって、1896(明治29)年に結成された美術団体「白馬会」の出品目録、記念画集等を編纂することができました。これによって、明治中期の美術界におおきな足跡をのこした同会の活動の全容が把握できるようになり、今後の研究にとって基礎資料としての活用が期待されます。なお、この目録は、青木茂監修・東京文化財研究所編纂『白馬会』第1〜3巻(近代日本アート・カタログ・コレクション013〜125)ゆまに書房 2001.11(全3冊)として刊行されました。

  5. 黒田清輝作品の光学的調査
      情報調整室・写真室の協力を得て、今年度は、9月10、11日、平成14年3月4日に黒田清輝作「智・感・情」の赤外線撮影等の光学的調査を実施しました。この調査の結果、これまで明らかではなかった黒田の制作過程を、画像をもとに推測することが可能となりました。

  6. 成果の公表
    山梨絵美子"Regard sur la position de Hayashi Tadamasa dans le monde de la peinture occidentale a l'epoque Meiji" 『林忠正宛書簡集』pp.76-84 東京文化財研究所 2001.6
    山梨絵美子 「白馬会の活動とその意義」 『近代日本 アート・カタログ・コレクション013 白馬会 第1巻』 ゆまに書房 2001.11 pp.1-11
    山梨絵美子 「赤外線の眼で見る黒田清輝《智・感・情》」『黒田清輝《智・感・情》−美術研究作品資料−第1冊』pp.59-65 東京文化財研究所 2002.3
研究組織:○田中淳、山梨絵美子(以上、美術部)、塩谷純(情報調整室)
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