前言

 白馬会は、明治29(1896)年に黒田清輝らを中心として結成された美術団体です。黒田らが留学先で学んだヨーロッパの芸術思潮と技術に基づきながら、会員相互が平等で自由な雰囲気の芸術活動を目指しました。明治44年の解散に至るまで13回の展覧会を開催し、黒田清輝の《湖畔》(明治30年作、第2回展出品)や藤島武二の《天平の面影》(明治35年作、第7回展出品)、青木繁の《海の幸》(明治37年作、第9回展出品)といった、明治の洋画を代表する作品が生まれています。明治40年に文部省美術展覧会(文展)が開設されると、白馬会の画家の多くはその西洋画部門でのひとつの勢力となり、日本近代美術におけるアカデミズムの形成に深く関わることになりました。


結成当時の集合写真(第1回白馬会展より)

 本新聞記事一覧は、植野健造氏が、九州大学に学位論文として提出し、平成12年2月に博士(文学)の学位を取得した、『日本近代洋画の成立-白馬会』の資料編として調査作成されたデータにもとづいています。同氏の諒承をえて、東京文化財研究所で処理を行い、本ページ上で公開するものです。

 収録内容のうち、新聞記事の一覧は、すでに「研究資料 白馬会関連新聞記事資料」として、本研究所が発行する『美術研究』364号(平成8年3月)において公表され、webサイト上でも公開してきました。新たに新聞記事の全文を追加し、関連分野の研究に役立てていただきたいと考えます。

 本新聞記事一覧の知的所有権は、植野健造氏にあり、著作物・論文等で参照及び引用される場合は、「植野健造氏作成白馬会関係新聞記事一覧(データベース作成:東京文化財研究所)による」旨を明記することを条件とします。 この場を借りて、貴重な調査資料をご提供いただいた植野健造氏に対して、厚く御礼申し上げます。

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