第二部会六会員脱退 

1936年07月

第二部会では七月六日午後六時から丸の内マーブルで会員総会を開催、文展参加の問題に就いて協議し、採決の結果多数を以て今秋の文展に参加、之を支持することに決定したが、右に絶対反対を唱へて譲らなかつた猪熊弦一郎内田巌小磯良平佐藤敬三田康中西利雄の六名は、退場後直ちに協議の上第二部会脱退を決議し左の声明書を発表した。 「本日二部会総会に於きまして新文展支持の決議を見ましたが私達六名の者は事態の初めより全日本画壇明朗の為現在に於ては「帝院の独立」「帝院の解消」の必要にのみ主張協力して来ましたが残念ながら事此処に至りました以上我々は二部会々員を辞退致し、新文展に対しては、不出品を声明する次第であります。 昭和十一年七月六日 猪熊弦一郎内田巌小磯良平 佐藤敬三田康中西利雄

海軍館陳列画執筆者決定 

1936年07月

明治神宮表参道近くに建築中の海軍館は来春開館される予定であるが、其の三階に絵画室を設け、明治維新以来今日までの光輝ある我が海軍史を語る記念絵画十七点を陳列することとなり、海軍当局では長谷川次官を委員長として計画を進め、執筆者に就いて銓衡中であつたが、七月六日画家との打合会を開いて画題及び作者を左の通り決定した。大きさはいづれも百号、完成は来年三月末日の予定である。 一、咸臨丸の太平洋航海 小林万吾 二、明治元年天保山沖軍艦御親閲 中沢弘光 三、宮古沖海戦(幕艦回天の官艦襲撃) 南薫造 四、函館海戦 中村研一 五、黄海海戦 田辺至 六、勇敢なる水兵 北蓮蔵 七、威海衛の夜襲 長谷川昇 八、北清事変に於ける我陸戦隊の太沽砲台占領 権藤種男 九、旅順港閉塞隊 奥瀬英三 一〇、日本海々戦の敵前大回頭 永地秀太 一一、蔚山沖海戦とリユーリツク撃沈後敵兵救出情況 清水良雄 一二、第六潜水艦長佐久間大尉 石井柏亭 一三、地中海に於ける我駆逐隊の活躍 石川寅治 一四、摂政宮殿下御渡欧 山下新太郎 一五、上海陸戦隊の活動 御厨純一 一六、支那事変と空中戦 三上知治 一七、海陸協同作戦 栗原忠二

大潮会設立 

1936年07月

昭和十年設立の大東会を廃止して、七月一日大潮会が設立された。浦崎永錫を常任理事とし全国図画教育者の技術向上の為、展覧会開催等の事 業を行ふものである。

帝院第二部会員懇談会 

1936年07月

文展案に関する文部当局と帝国美術院第二部所属の残留会員との懇談会は七月二日、午前十時半から文相官邸で開催された。藤島、満谷(病気)及び過日文展と絶縁を声明した有島等四会員は出席せず、岡田、和田(三)、南、中村、中沢五会員出席、文部当局の原案に基き、招待展被招待者選定の件、鑑審査の方法等を協議した。

文展規則決定 

1936年07月

文部省では文展開催案に就き準備を進めてゐたが、七月三日午後正式に本年度文展開催の件を決定し同日午後六時其の規則と共に「昭和十一年文部省美術展覧会に就て」と題する当局の声明を発表した。

春陽会提案 

1936年06月

去る六月二十四日の洋画団体代表懇談会で今秋の文展案に不賛成の意を表した春陽会では、二十九日午後足立源一郎木村荘八中川一政石井鶴三の四委員が文相官邸を訪問し、秘書官を通じて文相宛左の如き覚え書を提出した。 一、帝国美術院をアカデミーとすべし。(美術行政に携らず) 一、文部省は主要民間美術団体を公認し之を夫々新人展と認め奨励補助すべし(奨励補助金、作品買上) 一、各団体代表より成る委員会を組織し諸般の協議に当らしむべし(政府展委員銓衡、買上品選定、各団体新会員銓衡)

豪洲国際美術借款展覧会 

1936年07月

濠洲シドニー国立美術館で国際美術借款展覧会が七月一日から開催された。之は同国政府が主催し、世界十三ケ国から現代美術を代表する絵画、及び工芸品の借用を求めたもので、前述の如く我が国も参加、日本画四点、洋画二点、工芸十二点を出品し、頗る好評であつた旨報ぜられた。

帝院第二部四会員声明 

1936年06月

帝国美術院第二部に属する会員有鳥生馬、石井柏亭安井曽太郎山下新太郎の四名は、文部当局の計画する今秋の展覧会に反対し、帝国美術院会員として何等の責任も負はぬとの態度を決定、六月二十九日左の声明書を清水院長に提出すると共に之を発表した。 「昨年六月帝国美術院総会ノ天下ニ公表セル決議ガ現文相ノ所謂試案ニヨリ根本ヨリ全然破棄サレ、今別ニ暫定的文展ナルモノノ開催セラレントスルコトニ対シテハ、我等固ヨリ賛意ヲ表セザルモ、可及的綜合ノ実ヲ挙グベク提案シ且努力セルニモ拘ハラズ、毫モコレヲ容ルヽ所トナラズ、従ツテ其展覧会ガ内容ニ於テ旧帝展系作家、而カモ其一部ヲ網羅スルニ過ギザラントシ、文相ガ過般来主張サレタル全作家綜合ノ趣意ト完全ニ反セル結果ニ陥リツヽアルハ明カナル事実ナリトス。我等ハ美術院会員トシテ斯カル矛盾不公平ナル文部省主催ノ展覧会ニ関与スルコト能ハズ。従ツテコレニ関シ何等ノ責任ヲ負フベキニ非ザルコトヲ声明スルモノナリ。 昭和十一年六月二十九日 帝国美術院会員 有鳥生馬、石井柏亭 安井曽太郎山下新太郎

帝院第三部会員打合会 

1936年06月

文展開催に関する打合せの為文部当局では帝国美術院第三部所属の残留会員を招き、六月二十九日午前十時から文相官邸で協議を行つた。

第二部会文展参加声明 

1936年06月

第二部会では六月二十六日午後二時丸の内マーブルで委員会を開き、同日文相官邸の懇談会に出席した辻永太田三郎の両代表の報告に基き同会の態度に就いて協議した結果、今秋の文展に参加することを決定し左の声明書を発表した。 「本日の懇談会に於いて当局の声明するところに依れば本秋開催さるべき文部省主催の展覧会は形式上特に本年に限られたる如き感あれども、その意の存するところ永久の企画としてこれを伸張せしむるに在り、且つ文相が今次の所謂帝展問題に対して処せんとするところも嘗て帝国美術院会員懇談会に臨みたる試案当時と毫も変るところなく、格付廃止、既成作家認識、新人奨励等の精神をそのまゝに延長するものなりと謂ふ、故に曩に文相の明朗の態度を肯定したる本会は延いてその意思に悖る所なく開催せられんとする展覧会に対してもまた之に参加し意を同うする一般出品者及び諸団体と相協力してその顕揚に資したしと思惟す」

日本南画院声明 

1936年06月

小室翠雲の主宰する日本南画院では六月二十八日午後麹町の同院で総会を開催、東京及び関西在住の同人十三名出席して、帝院問題並に今秋の文展に関する同院の態度に就いて協議したが、一同小室翠雲と行動を共にして文展には不参加の方針を執ることとなり、左の声明書を発表した。 「平生文相の美術界に対する態度に就て慊焉たるものあり、日本南画院同人としては暫く静観の立場に於て斯道本来の使命に邁進せんとするものなり、右声明す 昭和十一年六月二十八日 日本南画院同人」

近藤浩一路日本美術院脱退 

1936年06月

大正十年参加以来日本美術院同人であつた近藤浩一路は六月二十六日同院を脱退した。発表された所感に依れば、今日の日本美術院は当初の本質を離れ、天心先生の精神とは遠く、神聖修業の道場たる面目を失ふに至つたからで、帝院問題に捲き込まれたわけではない。今後は美術団体から離れて画道に精進したいとのことである。

洋画団体代表者懇談会 

1936年06月

文部当局では文展開催に関し主要なる洋画団体の協力参加を希望して、六月二十六日午前十時から文相官邸に諸団体代表者を招き、懇談会を開催した。招きに応じて出席したものは、 第二部会 辻永太田三郎 東光会 熊岡美彦、斎藤与里 主線美術協会 高間惣七橋本八百二 春陽会 木村荘八足立源一郎 の四団体代表八名で、文部省からは伊東専門学務局長、石丸学芸課長、岩井秘書官出席、意見の交換を行つた。

帝院第三、四部会員懇談会 

1936年06月

文部当局では、六月二十五日午後三時半から帝国美術院第三部及び第四部の残留会員を文相官邸に招いて懇談会を開き、文展開催に就いて当局の原案を基礎に種々協議を行つた。

立陣社結成 

1936年06月

旧帝展出品の青年洋画家十一名は新に研究団体立陣社を結成し六月二十五日発会式を行つた。

二科会声明 

1936年06月

文部当局は六月二十六日洋画団体の代表者を招いて、文展案に就き懇談会を催すこととなつたが、之に先だつて、二科会では二十四日午後二時から四谷番衆町の同会事務所で総会を開催、協議した結果、文部省の計画する展覧会に対しては無関心の方針を取り、懇談会にも代表者を出席させないことに決し、左の声明書を発表した。 「二科会は帝院改組に関し既に再度闡明せる態度を持続し、今回の再改組に当りてもこれを更へざることを声明す、二科会は恒に其の創立当初の精神に則り純粋なる独自の立場を保持することに依りて国家の美術進展に貢献するを使命と信ずるものなり 六月二十四日二科会」

独立美術協会声明 

1936年06月

独立美術協会では、二十六日文部当局の懇談会招待に関し態度決定の為、六月二十四日夜会員参集して協議した結果、不参加のことに意見一致したが、地方会員にも諮る必要があるので電報で打合せた上、翌二十五日左の通り声明を発した。 「現下の美術界情勢に於いては到底満足すべき官展を期待し得ず故に我々は文部省の提案に対して協力し能はざる事を声明す 六月二十五日独立美術協会」

構造社決議 

1936年06月

再改組問題に関して沈黙を守つてゐた構造社では、文相試案に対する意見決定の為、六月二十一日蔵前工業会館に会員会友等集合協議の結果、文相案中の招待展開催には大体に於いて賛成することとなり、左の如く決議、近く之を文相宛提出することとした。 「本会は文相案(第二案鑑査展を除く)招待展には賛意を表し得るも、その被招待資格銓衡案に就いては左記一項の附加を要望し、之を採用せらるる場合に限り第一案の支持を明確にす 一、各美術団体を一単位として団体毎に出品者員数を『予め公平に』振り当て出品者銓衡は各団体に一任すること」

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