春陽会文相案賛成 

記事番号:00070
年月:1936年06月

春陽会では六月十一日夕青山辰好軒で委員会を開催し、平生文相の試案に就き協議の結果、之に賛意を表することとなり、同十二日左の声明書を各方面に送附した。 「政府展試案に対する春陽会の声明書 平生文相が六月四日美術院会員懇談会にて説明せる政府展試案(その説明要旨プリントに依る)に対して意見を述べこれについての春陽会の立場を明らかにします。 一、春陽会の性質 春陽会は従来満十五年民間団体として自営して来た会で、今後も亦、会員の存続する限りいつ迄も民間団体として自営独立して行く一つの展覧会団体です。政府展の成立有無に拘らず右は変りません。 二、文相の政府展試案に対する春陽会の主意春陽会は夙に昭和十年九月試案を提出した通り、綜合展が成立するについては大いに協賛の立場ですから、政府展が綜合大同を意とする限りこれに賛成支持します。 三、その方法について 政府展試案は仮りにその開催を春秋二季とする招待展と鑑査展に分れてゐますが、この分割案乃至その主催別の大案については賛成です。 四、招待展について この被招待資格は、試案に従ふと未だ範園明らかならざるも、若し旧帝展の無鑑査が全部復活する等の場合があれば、春陽会は会の銓衡したる会友の全数迄右資格の中に含まる可きことを主張します。 五、鑑査展について 春陽会本来の意見としては、文部省がこの鑑査委員を求むる場合は美術院に諮ると同時に在野団に諮る可く、在野よりこの依嘱を受ける者は美術院に依つて銓衡される性質よりも各自所属の団体それ自身から選任された代表者であるべきことを条件とします。 団体尊重は従来と変らず向後も春陽会の根則であります。 しかし当面の場合は、右を固執主張すると、その結果その方法論だけで大同より遠ざかつて小異を樹てる立場に傾くこと有る可きは好まないので、便宜上政府展試案に依る場合―鑑査委員依嘱内規案の第一案を採ります。 以上。 細部に渉つては略します。」

登録日: 2014年04月11日
更新日: 2020年12月11日 (更新履歴)
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