木村翁肖像(Portrait of Mr. Kimura)
1919 / カンヴァス・油彩(Oil on canvas) / 79.5 x 64.3 cm
作品コード:KU-a128 図録番号:図録136

木村長七(1852-1922)は京都生まれの実業家で、明治10年に古河市兵衛の片腕となり、同30年古河本店理事、同36年市兵衛死去とともに同理事長、同38年二代目古河潤吉が死去すると三代目の幼主虎之助の後見人となった。大正2年に引退するが、その貢献に報いるため古河合名会社が同氏の肖像を黒田に依頼。同3年7月6日に黒田が木村邸を訪れて制作に着手するが、黒田の多忙も一因して遅々として進まず、同7年6月27日には黒田がこの図を一旦アトリエに引き取っている。翌8年9月28日、再度黒田が木村家に作品を持ち込んで描き進め、10月9日に完成し帝展会場に搬入している。煙草をくゆらせながら対話する、くつろいだ姿の中に、実業家としての実力と信望の厚い実直な人柄がうかがえ、内面まで踏み込んで描く黒田の人物表現の一面がよく表れた一点である。(E.Y)