研究所の業務の一部をご紹介します。各年度の活動を網羅的に記載する『年報』や、研究所の組織や年次計画にもとづいた研究活動を視覚的にわかりやすくお知らせする『概要』、そしてさまざまな研究活動と関連するニュースの中から、速報性と公共性の高い情報を記事にしてお知らせする『TOBUNKEN NEWS (東文研ニュース)』と合わせてご覧いだければ幸いです。なおタイトルの下線は、それぞれの部のイメージカラーを表しています。

東京文化財研究所 保存科学研究センター
文化財情報資料部 文化遺産国際協力センター
無形文化遺産部


研究所で総合消防訓練実施

消防本部(本部長:鈴木所長、副本部長:三浦副所長、永井管理部長)
救護者の搬送
訓練参加者の様子
消化器による放水体験

 1月25日午前10時30分から当研究所で総合消防訓練が実施されました。
 この日は研究所3階の給湯室からの出火を想定し、初期消火、通報、避難誘導、救護などを研究所の職員で構成する自衛消防隊を中心に訓練を行い、当日研究所に勤務する職員が多数参加しました。
 午前10時30分、所内に設置された火災警報機が鳴り、「火災が発生したので非難してください」と放送されると、自衛消防隊及び火災発見者が消火器による初期消火(模擬)と119番通報(模擬)を行い、職員を誘導し屋外に避難させました。
 その間、消防本部、救護所を設置するとともに、自衛消防隊が、煙を吸って具合が悪くなり、逃げ遅れた職員1人を担架で避難させ、文化財(模擬)を搬出しました。
 訓練終了後、鈴木所長から、訓練参加への謝辞及び感想、文化財防火デーの意義、防火意識の高揚を図ることなどの講評がありました。
 また、実際に消火器を使用した消火訓練では、消火器の種類、取扱い方法の説明を受けた後、「火事だ!」との発声とともに放水を行いました。
 研究所では、1月26日の「文化財防火デー」に合わせ、関連行事として毎年、消防訓練を行っています。

勤労者美術展東京都知事賞受賞

受賞を喜ぶ石丸さんを囲んで
右から永井管理部長、鈴木所長、石丸さん、後藤

 管理部管理室会計係の石丸真弥さんが、平成19年12月2日に東京都知事から勤労美術展東京都知事賞(書の部)を受賞し、鈴木所長にその報告を行いました。
 鈴木所長からは、今回の受賞に対して、お祝いの言葉が述べられた後、作品についての説明や創作活動の状況などについて懇談しました。
 この美術展は、東京都が都内勤労者の日頃の創作活動の成果を発表する場として「勤美展」の愛称で親しまれ、今年が60回目という大きな節目を迎えた歴史ある展覧会である。
 今回は、日本画、洋画、立体造形・工芸、書、写真の幅広い分野にわたる合計880点が出品され、「書」部門においては47点の出品のうち東京都知事賞は最も栄誉ある賞であります。審査員からは「力強い線条で、若さが作品全体にあふれている。作品構成は、「序破急」と三つの部分で構成し、中央で大きく盛りあげている。行間の白も美しく、冬行との響きあいも見事」と選評されています。
 石丸さんは、子供のころから書道に強い魅力を感じ、大学では書道科に進学し、その後大学院で文学研究科書道学を専攻し、研究面でも業績をあげています。現在は、読売書法会や藍筍会の書道団体に所属し、本研究所に勤務する傍らの限られた時間の中で創作活動を行っています。文化財研究の拠点である本研究所での勤務は良い刺激であり、今後より良い作品を創作し、芸術文化の発展に寄与したいと頑張っています。
 (※石丸さんの主な作品や活動等については自身のホームページでもご覧いただけます。
http://www.h2.dion.ne.jp/~shinya-i/top.htm

寄付金の受入れ

下條理事長、浅木社長から寄付を受ける鈴木所長
左から吉田副理事長、下條理事長、浅木社長、鈴木所長、永井管理部長
浅木社長に感謝状を贈呈する鈴木所長
左から浅木社長、鈴木所長
下條理事長に感謝状を贈呈する鈴木所長
左から下條理事長、鈴木所長

 東京美術商協同組合から、東京文化財研究所における文化財に関する調査・研究等の成果の公表にかかる出版事業の助成を目的として、また㈱東京美術倶楽部から東京文化財研究所における研究事業の助成を目的として、それぞれ寄付金のお申し出がありました。
 東京美術商協同組合からは、2001年秋から毎年春と秋に各100万円のご寄付をいただいており、今回で13回目となり、(株)東京美術倶楽部からは、昨年秋と今年春に各100万円のご寄付をいただいており今回で3回目となります。
 12月17日、港区新橋の東京美術商協同組合において、鈴木所長が東京美術商協同組合下條啓一理事長並びに(株)東京美術倶楽部浅木正勝代表取締役社長から寄付を受領いたしました。
 また、今回までにご寄付いただいたことに対して、東京美術商協同組合下條啓一理事長並びに(株)東京美術倶楽部浅木正勝代表取締役社長にそれぞれ鈴木所長から感謝状を贈呈しました。
 その後、文化財保存・修復並びに美術品等の展覧会に関する文化事業について懇談しました。
 当研究所の事業にご理解を賜りご寄付をいただいたことは、当研究所にとって大変有難いことであり、研究所の事業に役立てたいと思っております。

中国・甘粛省文物考古研究所、甘粛省博物館職員来訪

分析科学研究室にてセンター長より説明を受ける来訪者

 11月6日に中国・甘粛省文物考古研究所及び甘粛省博物館職員が、秋田県立博物館の招聘に伴い、東京文化財研究所の施設見学のため来所しました。一行は、保存修復科学センター長から研究所の概要についての説明を受けた後、保存修復科学センターの分析科学室及び1階ホールの企画展示の見学、文化遺産国際協力センター長との意見交換を行いました。

中国・河南省文物管理局来訪

パネル展示を見学する中国・河南省文物管理局一行

 10月23日に中国・河南省文物管理局文物処処長以下5名が、奈良文化財研究所の招聘に伴い、東京文化財研究所の施設見学、意見交換のため来所しました。一行は、文化遺産国際協力センターにてセンター長から研究所の概要及びセンターの国際協力事業についての説明を受けた後、保存修復科学センターの分析科学室、修復アトリエ、X線室及び1階ホールの企画展示の見学をし、保存修復科学センター長及び各施設の担当者が説明及び質疑応答を行いました

墨田区安田学園中学校・高等学校施設見学

修復アトリエで担当者から説明を受ける墨田区安田学園中学校・高等学校の生徒たち

 10月19日に墨田区安田学園中学校・高等学校生徒10名が、「日本の伝統を探る」をテーマとして東京文化財研究所の施設見学に来訪し、保存修復科学センター分析科学研究室・修復アトリエ・1階ホール企画展示にて見学、各担当者から説明、質疑応答の後、黒田記念館にて見学、担当者からの説明、質疑応答が行なわれました。

9月施設訪問(1)

 台東区立御徒町台東中学校6名
 9月21日に、「総合的な学習の時間」の一環として実施されている職場訪問により来訪し、1階企画展示、資料閲覧室、保存修復科学センターアトリエ・分析科学研究室、文化遺産国際協力センターを見学し、それぞれの担当者が説明及び質疑応答を行いました。

9月施設訪問(2)

 (社)日本原子力産業協会「先端技術情報交流会」会員12名
 9月26日に、各企業・大学・機関等により構成された「先端技術情報交流会」会員が、東文研で行なわれている調査・研究のなかで、「ハンディ蛍光X線分析装置」及び「キトラ古墳の石質壁画・玄武の保存・修復技術」について見学、意見交換のため来訪し、分析科学研究室、1階企画展示を見学し、それぞれの担当者から説明を受け、質疑応答を行いました。

タイ王国文化省芸術局長来訪

タイ王国文化省芸術局長来訪(右から4番目がタイ王国文化省芸術局長)

 8月21日に、タイ王国文化省のArak SUNGHITAKUN 芸術局長が来訪されました。同氏は、国際交流基金の招聘により、8月20日から26日までの日程で来日されていたところ、日本の文化財保存関係活動視察の一環として来所されたものです。
 研究所では、所長と面談し、その後、所内見学及び文化遺産国際協力センターにおいて現在行っている日タイ共同研究の今後の進め方や、来年度にタイで行われる予定の国際会議に関する打ち合わせなどが行われました。

上海博物館情報センター主任以下4名の来訪

上海博物館情報センター主任以下4名が来訪しました。

 6月22日(金)、上海博物館に新設される実験室のための調査を目的に、上海博物館情報センター主任以下4名が来日し、東京国立博物館国際交流室の案内により、東京文化財研究所を来訪しました。来訪者の方々は、所長との懇談の後、所長の案内のもと所内各実験室等の視察を行いました。

平成18年度自己点検評価

 文化財研究所は、中期計画や年度計画に基づいて、自己点検評価を適切に実施し、その結果を法人運営の改善に反映させています。過日、平成18年度の自己点検評価を終え、目下、その報告書を印刷中です。
 18年度の研究・事業件数は、業務運営の効率化1件、東京文化財研究所関連40件、奈良文化財研究所関連48件、計89件でした。今期の中期計画では、17年度までのそれを点検し直し、整理、統合しましたので、かなり件数が少なくなっています。例年通り、3月から4月にかけて、各部局が業務実績書と自己点検評価調書を作成し、5月17、24日に外部評価委員から評価と意見をいただきました。今期からは、奈良と東京の各部局が、外部評価委員にすべての事業を報告する形式に改め、かつ、事業毎の評価ではなく、あらかじめ設定した評価項目に沿って、研究所の活動の総体を総合的に評価していただくことにしました。後日、外部評価委員の評価と意見を参照しつつ、自己点検評価をまとめました結果、すべての事業が順調に進行し、目標通りの実績を上げたことを確認しました。今後の課題として、外部資金の積極的な導入、大型研究機器の更新や施設の改善への取り組みなどが必要であることがわかりました。
 自己点検評価の結果は、文部科学省独立行政法人評価委員会文化分科会国立文化財機構部会が行う「独立行政法人文化財研究所の平成18年度に係る業務の実績に関する評価」のための調書作成にも活用されました。

寄付金の受入れ

下條理事長、浅木社長から寄付を受ける鈴木所長、左から吉田副理事、下條理事長、浅木社長、鈴木、永井、後藤(以上、東京文化財研究所)

 東京美術商協同組合から、東京文化財研究所における文化財に関する調査・研究等の成果の公表にかかる出版事業の助成を目的として、また(株)東京美術倶楽部から東京文化財研究所における研究事業の助成を目的として、それぞれ寄付金のお申し出がありました。
 東京美術商協同組合からは、2001年秋から毎年春と秋に各100万円のご寄付をいただいており、今回で12回目となり、(株)東京美術倶楽部からは、昨年秋に100万円のご寄付をいただいており今回で2回目となります。
 5月28日、港区新橋の東京美術商協同組合において、鈴木所長が東京美術商協同組合下條啓一理事長並びに(株)東京美術倶楽部浅木正勝代表取締役社長から寄付を受領いたしました。その後、文化財保存・修復並びに美術品等の展覧会に関する文化事業について懇談しました。
 当研究所の事業にご理解を賜りご寄付をいただいたことは、当研究所にとって大変有難いことであり、研究所の事業に役立てたいと思っております。

「活動報告」をホームページへ掲載

 東京文化財研究所では今年度から「活動報告」を毎月、ホームページに掲載することといたしました。「活動報告」では研究所全体、あるいは各部・センターのさまざまな活動を素早く伝えることを目指しています。例えば3月25日、能登半島地震の発生から1ヶ月も経たないうちに行った被災文化財調査や高松塚古墳壁画の保存に向けたさまざまな取り組みなどの記事を研究者の眼から報告していきます。

東京文化財研究所の特集が『日本の美術』から刊行

『日本の美術 No.492 文化財と科学技術 東京文化財研究所のしごと』

 『日本の美術 No.492 文化財と科学技術 東京文化財研究所のしごと』(2007年、至文堂、定価1,650円税込み)が出版されました。本書は、科学技術を活用した実践的な調査・研究の事例をあげながら、作品の科学的調査、保存環境と劣化、修復材料・技術の評価と改良、開発、近代遺産の保存修復、国際的な文化財保存協力と科学技術、無形の文化財・記録の手法と技術を解説しています。『日本の美術』はお近くの書店でお求めいただけます。

to page top