研究所の業務の一部をご紹介します。各年度の活動を網羅的に記載する『年報』や、研究所の組織や年次計画にもとづいた研究活動を視覚的にわかりやすくお知らせする『概要』、そしてさまざまな研究活動と関連するニュースの中から、速報性と公共性の高い情報を記事にしてお知らせする『TOBUNKEN NEWS (東文研ニュース)』と合わせてご覧いだければ幸いです。なおタイトルの下線は、それぞれの部のイメージカラーを表しています。

東京文化財研究所 保存科学研究センター
文化財情報資料部 文化遺産国際協力センター
無形文化遺産部


平成26年度協力相手国調査の実施―マレーシア・ネパール―

サラワク州博物館館長らへのインタビューの様子(マレーシア)
パタン・ダルバール広場(ネパール)

 文化遺産国際協力コンソーシアムは、2月にマレーシア及びネパールにおいて協力相手国調査を実施しました。本調査は、文化遺産保護に関し、現状や課題等の情報を収集し、ニーズを把握するとともに、国際協力の可能性を探ることを目的としています。
 マレーシアでは、まず観光文化省国家遺産局局長らと面会し、国レベルでの文化遺産保護体制の概況情報を得ました。その後、世界遺産「マラッカとジョージタウンの歴史都市」、ケダ−州のルンバ•ブジャン考古遺跡群等を視察し、保護の実情を調査しました。また少数民族が今も伝統を守りつつ暮らすボルネオ島のクチンも訪問し、マレー半島と異なる有形・無形の文化遺産保護の体制や取り組みについて情報を収集しました。
 ネパールでは、世界遺産である「ルンビニ遺跡」で実施中のユネスコ文化遺産保存日本信託基金事業、及び「カトマンズ盆地」の伝統建築の保存管理状況等を視察しました。無形遺産では、ヒンドゥー教祭礼のシバラトリーと、チベット正月の行事ギャルポ・ロサールを視察し、聞き取り調査を行いました。その他ユネスコ・カトマンズ事務所、文化省、考古局、NPOカトマンズ盆地保存トラストを訪問し、情報を収集しました。
 報告書は関係機関に配布するとともに、コンソーシアムのウェブサイトでも公開予定です。

板橋区立板橋第一中学校で「国際理解教育」の授業を実施

授業風景1
授業風景2

 2014年11月13日、東京都板橋区立板橋第一中学校で、文化遺産国際協力コンソーシアムの関雄二副会長(国立民族学博物館教授)が、「国際理解教育」の授業を実施しました。
 板橋第一中学校は、学校支援地域本部活動校で、今回その活動の一環として、同中学の地域コーディネーターから総合授業「国際理解教育」の講師派遣依頼を受けました。コンソーシアム事務局では中学校からの依頼は初めてでしたが、今回は板橋区出身の関副会長の派遣を決定し、実現に至りました。
 授業は「文化遺産の国際協力」と題し、50分間、2学年の生徒約150名が参加する講演形式で行われました。
 前半では、まず文化遺産とは何か、日本の城郭や歌舞伎等の写真を交え、有形及び無形の文化遺産を紹介しました。次に、なぜ文化遺産を保護しなければならないのか、保護しないとどのような状況が起こるのか、保護するためには国際協力が必要であり、どのような文化遺産に関する国際協力が実施されているのか、スライドを使用してわかりやすく解説を行いました。
 後半では、関副会長の専門である南米(ペルー)での文化遺産保護に関する国際協力を事例として採り上げ、自身の幅広く豊富な経験を交えつつ、ペルーでの協力事業に関する写真を用いて説明を行いました。
 コンソーシアムでは今後もこのような文化遺産国際協力活動に関する広報・普及活動を実施し、国際協力の重要性を伝えていく予定です。

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