研究所の業務の一部をご紹介します。各年度の活動を網羅的に記載する『年報』や、研究所の組織や年次計画にもとづいた研究活動を視覚的にわかりやすくお知らせする『概要』、そしてさまざまな研究活動と関連するニュースの中から、速報性と公共性の高い情報を記事にしてお知らせする『東文研ニュース』と合わせてご覧いだければ幸いです。なおタイトルの下線は、それぞれの部のイメージカラーを表しています。

東京文化財研究所 保存科学研究センター
文化財情報資料部 文化遺産国際協力センター
無形文化遺産部


世界遺産研究協議会「世界遺産推薦書の評価のプロセスと諮問機関の役割」の開催

研究会の様子

 平成30(2018)年1月18日に、東京文化財研究所のセミナー室において、世界遺産研究協議会「世界遺産推薦書の評価のプロセスと諮問機関の役割」を開催しました。
 本研究協議会は、世界遺産関連の業務に携わる自治体関係者を対象に、世界遺産の制度と最新の動向に関する情報とともに、意見交換の場を提供することを目的としたもので、今回初めて開催しました。今年度は、諮問機関による推薦書の評価のプロセスに焦点を当て、特にICOMOSの活動の実態を様々な視点からご報告いただきました。
 まず、当研究所の境野より2017年7月にポーランドのクラクフで開催された第41回世界遺産委員会に関する報告を行った後、同じく二神より本研究協議会の趣旨説明と併せ、世界遺産の評価のプロセスと、現状の問題点について報告を行いました。また、今年度の世界遺産委員会で審議された「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」の推薦書作成作業の中核を担い、諮問機関の評価に臨んだ福岡県の岡寺未幾技術主査より、同資産の世界遺産登録までの道のりについてご報告いただきました。また、2006年に諮問機関の専門家の一人として現地調査を担当した筑波大学の黒田乃生教授より専門家の目から見た現地調査の実態を、さらに2017年12月にICOMOSの会長に就任された九州大学の河野俊行教授より組織としての諮問機関の役割をご報告いただきました。
 本研究協議会には、29の都道府県及び市町村の世界遺産業務の担当者の他、内閣官房、文化庁、文化審議会世界文化遺産部会等の関係者合わせて74名の皆様にご参加いただきました。
 今後もこうした研究協議会の開催を通じて、世界遺産についての調査成果を発信するとともに、関係者の情報共有の場を提供したいと考えています。

第30回ICCROM総会

会場概観
審議の様子

 平成29(2017)年11月29日から12月1日にかけてイタリア・ローマで開催されたICCROM(International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Properties)の第30回総会に、当研究所の職員が参加しました。ICCROMは、昭和31(1956)年のUNESCO第9回総会で創設が決議され、昭和34(1959)年以降ローマに本部を置いている政府間組織で、動産、不動産を問わず、広く文化遺産を対象としているのが特徴です。世界遺産委員会の諮問機関としても知られていますが、当研究所とは特に紙や漆を用いた文化財の保存修復研修を通じて長年の協力関係にあります。
 ICCROMの総会は2年に1度開催されています。今回の総会では、理事会から推薦された所長候補ウェバー・ンドロ博士が、総会で信任され、平成31(2019)年1月1日から新しい所長を務めることが決まりました。ンドロ博士がアフリカ出身の初めての所長ということもあり、今後6年間の任期中に、ICCROMのアフリカにおける事業が活性化することが期待されています。
 また、例年通り、約半数の理事の任期が満了するのに伴い選挙が行われました。選挙の結果、ベルギー、エジプト、スーダン、スイス、ドイツの理事が再任され、中国、ドミニカ、レバノン、ポーランド、スワジランド、アメリカ、ポルトガル、ロシアからは新たな理事が選出されました。
 その他、テーマ別討論では、「Post-conflict reconstruction – Recovery and Community Involvement」というテーマの下、様々な事例が紹介されました。日本からは九州大学の河野俊行教授より、第二次大戦後日本で行われた建造物の再建について報告されました。
 当研究所では、今後も文化財保護に関する国際的動向について情報を収集するとともに、日本の活動について広く発信していきたいと考えています。

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