研究所の業務の一部をご紹介します。各年度の活動を網羅的に記載する『年報』や、研究所の組織や年次計画にもとづいた研究活動を視覚的にわかりやすくお知らせする『概要』、そしてさまざまな研究活動と関連するニュースの中から、速報性と公共性の高い情報を記事にしてお知らせする『東文研ニュース』と合わせてご覧いだければ幸いです。なおタイトルの下線は、それぞれの部のイメージカラーを表しています。

東京文化財研究所 保存科学研究センター
文化財情報資料部 文化遺産国際協力センター
無形文化遺産部


実演記録「平家」第一回の実施

リハーサル(手前はアドバイザーをお願いした薦田治子氏)
本番撮影の様子(左:日吉章吾氏、中央:田中奈央一氏、右:菊央雄司氏)

 「平家」(「平家琵琶」とも)は、盲人の琵琶法師が『平家物語』を琵琶伴奏で語る日本の伝統芸能の一つですが、室町時代に全盛期を迎えて以後徐々に衰退し、今では正統な継承者が一人になってしまいました。そこで無形文化遺産部では、「平家」の語りの技術を次世代に継承、普及すべく2015年より研究と演奏を行っている「平家語り研究会」(主宰:薦田治子武蔵野音楽大学教授)の協力を得て、1月15日に東京文化財研究所の実演記録室で記録撮影を行いました。
 撮影記録を行ったのは、伝承曲《紅葉》、復元曲《小督》(三重から下リ冒頭まで)、復元曲《敦盛》(冒頭口説)、復元曲《祇園精舎》です。「平家語り研究会」は、気鋭の地歌箏曲演奏家・菊央雄司氏、田中奈央一氏、日吉章吾氏が、平家研究の第一人者・薦田治子氏とともに客観的な裏づけに基づく「平家」の復元を行っていることも大きな特徴なので、今後とも、伝承曲だけでなく復元曲の記録もアーカイブしていく予定です。

ユネスコ無形文化遺産保護条約第12回政府間委員会への参加

第12回政府間委員会の会場の様子

 12月4日から9日にかけて、大韓民国済州島にてユネスコ無形文化遺産保護条約第12回政府間委員会が開催され、本研究所からは3名の研究員が参加しました。
 近年は政府間委員会での議題数も増えてきている傾向にあるため、昨年までより1日長い6日間の会期となりました。本年の委員会では、新たに6件の遺産が「緊急保護リスト」に、33件の遺産が「代表リスト」に記載されました。なお本年は日本から提案された遺産はありませんでした。
 また議題15「緊急事態下における無形文化遺産」の議論においては、日本代表団から、本研究所が取り組んでいる「無形文化遺産の防災」の事例と、アジア太平洋無形文化遺産研究センター(IRCI)が取り組んでいる「アジア太平洋地域の自然災害・武力紛争下における無形文化遺産の保護」の事例が紹介されました。また本研究所は、無形文化遺産部が2017年3月に作成した冊子『無形文化遺産の防災(Disaster Prevention for Intangible Cultural Heritage)』を会場内で配布しました。
 国際的にも、いかに自然災害などから無形文化遺産を保護するのかという課題が注目を集めています。そうした中で本研究所は、東日本大震災後の文化財レスキューや311復興支援・無形文化遺産アーカイブスの構築といった、災害に対する文化遺産の保護について多くの経験を蓄積してきました。こうした本研究所の成果を国際社会に還元し貢献することは、本研究所にとっても重要な役割であると考えています。

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