「トルコ共和国における壁画の保存管理体制改善に向けた人材育成事業」における大学調査

油絵修復ラボでの意見交換の様子
教育設備に関する調査風景

 文化庁より受託した標記事業の一環として、平成30(2018)年11月4日~9日にかけて、文化財保存修復学科を開講するトルコ国内の大学に往訪し、各校の教育システムに関する調査を実施しました。今年度は、本事業の基幹プロジェクトである研修「壁画保存に向けた応急処置方法の検討と実施」にご協力頂いているアンカラ・ハジ・バイラム・ヴェリ大学(前ガーズィ大学)芸術学部文化財保存修復学科に加え、アンカラ大学芸術学部文化財保存修復学科、イスタンブール大学文学部動産文化財修復学科に伺い、各大学の教員から教育方法に関するプレゼンや教育設備に関する説明を受けるとともに、意見交換を通して文化財保存教育現場での現状の課題の明確化とその共有を試みました。
 各校とも大学組織の長所を活かし、他学科や関係自治体との共同プロジェクトを進めることで、設備面や人材面の不足を解消する工夫が見られました。また、いずれの大学の教員も、期間の長短はありますが文化財保存修復に関する欧米諸国での技術研修を経験した専門家であることがわかりました。一方で、トルコ国内に存在する様々な文化財に対応するには、さらなる教育システムの増強が必要不可欠であることも明らかになりました。
 今回訪問した大学の卒業生の多くは、壁画保存のための研修受講者が所属する国立保存修復センターに就職しており、受講者のバックグラウンドに関する理解を深めるために本調査の成果が活用される予定です。

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