「トルコ共和国における壁画の保存管理体制改善に向けた人材育成事業」における研修「壁画保存に向けた応急処置方法の検討と実施」の開催

研究成果発表の模様
修復材料の実験講習

 文化庁より受託した標記事業の一環として、平成30(2018)年10月15日~20日にかけて、研修「壁画保存に向けた応急処置方法の検討と実施」を開催しました。第3回目となる本研修は、6月に引き続きカッパドキア地域にある聖テオドラ(タガール)教会を会場とし、トルコ共和国内10箇所の国立保存修復センターより30名の保存修復士にご参加いただきました。
 本研修は、トルコ共和国の壁画を保存していくうえで重要となる応急処置のあり方を見直し、そのプロトコルを確立させていくことを目標にしています。今回の研修では、応急処置に有効と考えられる複数の修復材料を用いて様々な角度から捉えた実験を行い、参加者全員で検証作業を実施しました。また、研修の最終日にはカッパドキア大学に会場をお借りし、分析科学研究室長犬塚より高松塚古墳壁画におけるテラヘルツイメージング技術の研究成果発表を含め、日本とトルコにおける壁画保存修復のあり方について意見交換を行いました。
 参加者からは、「今回の研修のように、普段から慣れ親しんでいる修復材料について改めてその特性を検証することや、トルコ国外における壁画保存修復の取り組みについて知る機会は少ないことから大変勉強になった」との声が聞かれました。
 次回研修は2019年6月の開催を予定しています。今後も引き続き現場研修を継続しながら技術の向上を目指すとともに、トルコ共和国における応急処置のプロトコル確立に向けた取り組みを続けていきます。

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