文化財防災ネットワーク構築のためのヒアリング調査

資料処置現場でのヒアリング調査
水損資料を乾燥させている真空凍結乾燥器

 昨今、地震や台風などによる文化財の被災件数が増加しています。国立文化財機構では、地域にとって貴重な文化遺産を守り伝えていくための文化財防災ネットワークの構築を目指し、文化財防災に関するヒアリング調査を全国の文化財関係組織を対象に行っています。東京文化財研究所は北海道・東北ブロックを担当しており、9月15日には山形県山形市にある東北芸術工科大学にてヒアリング調査を行いました。
 東北芸術工科大学では、東日本大震災で水損してしまった文書資料の真空凍結乾燥処理を現在も継続して行っていました。災害発生時から現在に至るまでの文化財レスキューの流れについて貴重なお話を伺えたことに加え、実際に処置を行っている現場の様子を見せていただけたことで、現場でなければ分からない問題や課題についても知ることができました。
 こうした北海道・東北地方での調査を進めていく中で、地域によって異なる文化財防災の特徴が明らかになってきました。引き続き各地域における現状調査を継続し、災害の規模に関わらず何か問題が起こってしまった時の助けとなるような、文化財防災ネットワークの構築に繋げていければと考えています。

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