ベルリンにおけるワークショップ「日本の紙本・絹本文化財の保存と修復」の開催

基礎編における紙の講義
応用編における屏風作製実習

 海外に所在する書画等の日本の文化財の保存活用と理解の促進を目的として、本ワークショップを毎年開催しています。本年度はベルリン博物館群アジア美術館において、平成29(2017)年7月5~7日に基礎編「Japanese Paper and Silk Cultural Properties」、10~14日に応用編「Restoration of Japanese Folding Screens」をベルリン博物館群アジア美術館及びドイツ技術博物館の協力のもと実施しました。
 基礎編には欧州7カ国より11名の修復技術者及び学生が参加しました。参加者は、接着剤、岩絵具、和紙等の紙本・絹本文化財に使用される材料についての基礎講義を受け、絹本絵画や墨画の実技及び掛軸の取り扱い実習等を行いました。
 応用編では選定保存技術「装潢修理技術」保持認定団体の技術者を講師に迎え、6カ国9名の修復技術者に対し屏風の保存と修復についての実習と講義を行いました。実習では、装潢修理技術に基づく屏風の修復のためにはその構造や機能を理解することが必須であるという視点のもと、受講生が下張りから本紙の貼り付けまで各自で行って屏風を作製しました。両編では活発な質疑応答やディスカッションが行われ、日本の修復技術や材料の応用例等の技術的な意見交換も見られました。
 海外の保存修復の専門家に日本の修復材料と技術を伝えることにより、海外所在の日本の紙本・絹本文化財の保存と活用に貢献することを目指し、今後も同様の事業を実施していきたいと考えています。

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