ケルンにおけるワークショップ「漆工品の保存と修復」の開催

応用編における素材見本帖作製実習
応用編における琉球加飾技法実習

 文化遺産国際協力センターは、国際研修事業の一環として本ワークショップを毎年開催しています。海外の美術館や博物館に所蔵されている漆工品はコレクションの重要な一部を構成しており、これらの作品を取扱うための知識や技術が必要とされています。本ワークショップでは、素材や技法の理解を通じて文化財の保存修復に寄与することを目指しています。
 今年度は平成28(2016)年11月30日~12月3日に応用編「漆工品の調査と保存・展示環境」を、12月6日~10日に応用編「呂色上げと加飾技法」をケルン市博物館東洋美術館にて実施しました。いずれも専門性をより追求した内容としてリニューアルし、世界各国より修復技術者が参加しました。前者のワークショップでは漆工品の保存と展示環境に関する講義、そして東洋美術館館長による収蔵庫見学に続き、実習では所蔵作品の調査を行いました。また、木地、漆、下地等の様々な素材に触れながら見本帖を製作しました。後者のワークショップでは沖縄県立芸術大学より琉球漆芸の専門家を講師に迎え、その歴史や技法についての講義のほか、実習では代表的な加飾技法を体験しました。また、漆塗りの最終段階である「呂色上げ」の実習を通じ、漆工品の塗り工程が理解できるように努めました。
 今後も受講生や関係者の意見・要望を採用しつつ、漆工品の保存修復に貢献し得るプログラムを構成し、ワークショップの開催を継続していく予定です。

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