文化財情報資料部研究会の開催―「滋賀・鶏足寺 七仏薬師如来像の造像をめぐる一考察」

研究会の発表の様子

 文化財情報資料部では所員だけでなく、他機関の研究者を発表者に向かえ、毎月1回、美術工芸品を中心とした文化財を考察対象する研究会を開催しています。5月は31日(火曜日)に開催いたしました。発表は東京国立博物館アソシエイトフェローの西木統政(にしきまさのり)氏を迎え、標記のタイトルでのご発表をいただきました。
 今回取り上げた滋賀・鶏足寺(けいそくじ)伝来の木造七仏薬師如来立像は、現存する七仏薬師如来像の稀有な作例として存在は早くから知られていましたが、これらを考察の対象として本格的に取り上げることはほとんどありませんでした。
 発表では、七尊各像の現地における実査による知見を踏まえ、本七尊像が天台系の七仏薬師如来立像の遺例であるとの認識のもと、漆箔を用いない素木(しらき)像であることに留意して、その規範を比叡山延暦寺一乗止観院根本中堂内に安置されていた木造の七仏薬師如来立像(逸亡)に求めるとともに、その当地での再現であるとの認識のもと考えるところを披瀝していただきました。
 発表後は研究会に参加者との活発な質疑応答・意見交換をあわせて行いました。

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