「文化財の保存環境に関する研究会」の開催

講演風景
成果紹介ビデオの上映

 平成23~27年度中長期プロジェクト「文化財の保存環境の研究」では、主要テーマの一つとして、汚染ガスが高濃度となり、文化財への影響が大きい展示ケース内の空気清浄化に関する研究を進めてまいりました。その締めくくりともいえる標記の研究会を、「実験用実大展示ケースを用いた濃度予測と清浄化技術の評価」を副題として、28年2月15日に当研究所内において開催しました。
 これまでに行ってきた、適切な内装材料選択のための放散ガス試験法の試案作成、内装材料の放散ガスデータの収集、解析などの結果を踏まえ、本研究会では、実験用に制作した実大展示ケースを用いた展示ケース内濃度の測定、気流の可視化、そして清浄化機能に関する試験について、さらに保存環境現場での汚染ガスの対策事例について報告しました。
 特に気密性の高いエアタイトケース内部におけるガスの発生と滞留については、問題が広く認識されつつあることから、全国から学芸員など135名の参加者が集まりました。質疑応答では、実際の展示ケースでの対策等に関する質問が多く寄せられました。次期中長期プロジェクトのテーマは変わりますが、次年度中に文化財施設向けの汚染ガス対策マニュアルを作成し、公開する予定です。

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