ICOMOS年次総会・諮問委員会・学術シンポジウムへの参加

 2015年10月26日から29日にかけて福岡で開催されたICOMOSの年次総会・諮問委員会・学術シンポジウムに参加しました。ICOMOS(International Council on Monuments and Sites)は、1964年に記念物と遺跡の保存と修復に関する国際憲章(ヴェニス憲章)が採択されたことを受け、文化遺産の保護と保全に尽力する国際的なNGOとして1965年に設立されました。以後、ICOMOSは、建築家、歴史家、考古学者、美術史家、人類学者など、さまざまな分野の専門家が交流する場として機能してきました。近年では、UNESCOの諮問機関として世界遺産の推薦書の審査にあたっていることでも知られています。
 これまでICOMOSの総会は3年に一度開催されていましたが、昨年イタリアのフィレンツェで開催された総会においてICOMOSの規約が改正されたことに伴い、今年からは諮問委員会にあわせて年次総会が開催されることになりました。今回の年次総会では、ICOMOSのこれまでの活動が報告され、よりよい組織のあり方について意見が交わされ、ICOMOSが専門家集団としてより適切に機能する方策が模索されました。また、「RISKS TO IDENTITY: Loss of Traditions and Collective Memory」というテーマで学術シンポジウムが実施され、有形の文化遺産だけでなく、その無形の価値の保存と継承に関して、多くの事例が紹介され、議論されました。
 本研究所では、今後もこうした国際会議に参加し、文化遺産保護に関する国際的な動向の把握に努めたいと考えています。

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