高松塚古墳石室解体時の断熱覆屋内の空調制御

断熱覆屋内の空調制御装置の外観

 石室の解体修理のため、墳丘部の発掘が進み、石室が外気に接しますと石室内の温湿度は、外気の温湿度変化の影響を受けて大きく変化することが予想されます。そのため、石室内の温湿度を一定に保つために内部断熱覆屋を墳丘部に設置し、内部の空調を行いました。カビは一般に暖かくなるほど発育が盛んになりますので、墳丘部を冷却管により冷やした温度と同じ 10℃になるよう温度を設定しました。また、湿度に関しては、90%を目標に制御をしました。
 湿度制御は、スクラバーと呼ばれる水を噴霧している容器内に空気を通すことにより加湿し、ファンコイルと呼ばれる熱交換器部分の温度を調整して湿度の制御を行いました。 10℃という低温では、わずかな温度変化で、相対湿度が大きく変わってしまうため、断熱覆屋内の温湿度の測定値をコンピューターに入力し、フィードバック制御を行いました。内部断熱覆屋内の空調制御に関しましては、京都大学の鉾井修一教授らのご協力を頂き、当初の目的通りの制御を行うことができました。

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