敦煌壁画に関する共同研究と研修者派遣

莫高窟第285窟での撮影調査

 第5期「敦煌壁画の保護に関する共同研究」は2年目を迎え、5月8日から3週間の日程で敦煌莫高窟にメンバーを派遣して、今年度前半の合同調査を実施しました。調査は、昨年度からの継続で、西暦538、539年の紀年銘を持ち、仏教のみならず中国の伝統的題材に彩られることで重要視されている第285窟での、光学的方法による撮影、顕微鏡や分光反射率測定などによる分析的研究を行いました。また、名古屋大学と共同の放射性炭素年代測定による石窟の年代同定研究のために、第285窟のほか莫高窟最初期窟とされる第268、272、275窟の壁体からサンプルの追加採取を実施したほか、夏に予定されている本年度後半の合同調査、および秋以降の敦煌研究院来日研修者との共同研究に向けて、各種の準備を行いました。いっぽう、この調査チームとともに3名の大学院博士課程で学ぶ学生が莫高窟に行きました。彼らは、昨年度から実施している「敦煌派遣研修員」として、公募により選抜されました。保存科学、絵画修復、文化遺産管理とそれぞれに異なる専門領域からの参加で、9月中旬までの4ヶ月間、敦煌研究院保護研究所の専門家の指導を受けて、壁画保護のための多岐にわたる内容の研修を受けます。この研修は今後さらに3年間を予定しており、壁画の保存修復を直接学ぶ機会のほとんどない日本の若手専門家が、将来にわたり国内外で活躍するための大きな門戸を開くものとなります。

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