バーミヤーン遺跡保存事業-第8次ミッション-の概要

I 窟における保存修復活動
仏教時代に遡る可能性のある壁

 文化遺産国際協力センターは、2003年よりアフガニスタン情報文化省と共同で、バーミヤーン遺跡保存事業を行っています。今年は6月9日から7月15日にかけて、第8次ミッションを派遣しました。本ミッションでは、壁画の保存修復と考古学調査に加え、他機関との共同研究も実施しました。
 壁画の保存修復では、これまでの作業を継続し、I窟とN(a)窟の2石窟で作業を行いました。I窟では、剥落するおそれのある壁画をグラウティングとエッジングによって補強し、今ミッションをもってこの石窟における壁画の保存修復作業をすべて成功裏に終了することができました。また、N(a)窟では、次ミッションに予定している壁画表面のスス状黒色物質を除去する準備として、壁画の補強を行いました。
 考古学調査では、保護すべき遺跡の範囲を確定するために、試掘調査と分布調査を実施しました。試掘調査はバーミヤーン渓谷の数箇所で行われ、その内の一箇所からは、おそらく仏教時代にまで遡る壁が出土しました。また、遺跡の分布調査を周辺に位置する渓谷において実施し、これまで知られていなかった墓地や城砦などの遺跡を発見しました。こうした考古学調査は、とかく仏教時代のみが注目されがちなバーミヤーンを、現代まで続く歴史の中に位置づけて理解するために重要なものです。
 共同研究として、金沢大学、株式会社応用地質、株式会社パスコの3つの機関と、それぞれ、イスラーム陶器の研究、地質調査、石窟の測量調査を行いました。これらの調査・研究は、今後も継続する予定で、バーミヤーン遺跡を保存するうえで必要不可欠なさまざまな情報や視点を提供してくれるものと期待されます。

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