文化財公開施設の環境調査

 国宝や重要文化財といった国指定品を、所有者以外のものが、その所在地の都道府県を越えて移動させ、展示するには、文化庁との協議が必要となります。美術館や博物館が特別展などの目的で、このような移動を伴う資料借用を初めて行うにあたっては、文化庁文化財部美術学芸課の依頼を受けた東京文化財研究所が、温湿度や空気環境などの保存環境調査を行って、報告書を作成します。例年20から30件程度、この環境調査を実施していますが、特別展の多い秋期にはその件数が集中しています。今年度も、主に9月から11月の間に始まる特別展のために、すでに14件の環境調査を全国の美術館、博物館を対象に実施し、報告書を作成しました。調べた保存環境と、借用する資料の材質、借用・展示期間などを総合的に検討して、施設内環境の適否を判断しています。また、必要に応じて、環境改善に向けた相談も随時受け付けておりますので、文化財保存施設の保存担当者の方は、どうぞお気軽にご連絡下さい。

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