大エジプト博物館保存修復センター設立のための支援事業: 紙の保存修復ワークショップの開催

ワークショップの風景
ワークショップ参加者一同
大エジプト博物館保存修復センター長のナディア・ロクマ女史との一場面

 国際協力機構(JICA)は、円借款事業で建設中の大エジプト博物館に付属する保存修復センターに対して、人材育成・技術移転事業を行っています。今回、文化遺産国際協力センターは、その一環としてJICAの要請を受け、現地エジプトの保存修復専門家およそ20名に対し、2月24日から28日までの日程で、紙の保存修復ワークショップを開催しました。紙本修復家である坂本雅美さんを講師として、ヨーロッパの紙や日本の紙の製造法や特性、材質に関する講義と、それぞれの保存上の問題やさまざまな保存処置方法、長期的な保存のためのマウントの方法などに関する実習を行いました。エジプトには、パピルスや染織品など、さまざまな出土遺物があり、保存処置が困難な資料も数多くあります。参加者の多くは、長年保存修復に携わってきた経験豊かな専門家であり、ワークショップ中も、さまざまな有意義な質問が出され、議論が行われました。そして参加者からは、ワークショップを通じ、エジプトの文化遺産の保存修復のために参考となる知識、技術や材料に関する知見を得ることができたと、非常に高い評価を受けました。このワークショップの結果、今後の日本からの継続的な支援に対しても大きな期待を寄せていただくことができました。

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