拠点交流事業モンゴル:アマルバヤスガラント寺院保存への協力

背後に仏塔や大仏が新たに建立された伽藍の全景
ワークショップの模様
建造物保存調査の模様

 6月末から7月初旬、および8月下旬の2次にわたって、北部セレンゲ県所在のチベット仏教寺院、アマルバヤスガラントでのワークショップおよび保存調査をモンゴル教育文化科学省と共同で実施しました。
 今年度ワークショップのテーマは、文化遺産としての保存管理に万全を図るための計画づくりで、当面は保存区域の設定を目標としました。当寺院での宗教活動再開から20年の節目にあたる本年は、寺院関連施設の新築・整備が加速し、遺産価値の大きな要素である歴史的景観が急激に変化しようとしています。また、旧伽藍建物跡などの地中遺構の保存への影響も懸念される状況にあります。このため、県や郡、地元住民代表とも実地踏査や討議を重ね、信仰の対象となっている周囲の山々や伽藍建設時の材料生産遺跡なども含む広範囲を文化遺産法に基づく保存区域とする方向で基本的合意に達しました。
 一方、多数の木造建造物で構成されている伽藍本体については、経年や不十分な維持管理のために劣化・破損が進行しており、人命の安全を脅かしかねないような状況も一部で発生し始めています。このため、8月ミッションでは上記ワークショップと並行して、モンゴル人若手技術者の養成研修を兼ねた、全建物の保存状況に関する基礎調査を実施しました。昨年度の実習にも参加した4名の研修生とともに行った調査の結果はレポートとしてモンゴル政府側に提出する予定で、今後の応急措置や本格的修理計画立案に活かされることが期待されます。

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