タジキスタンにおける壁画断片の保存修復と人材育成(第9次ミッション) ワークショップ「中央アジア出土壁画の保存修復2010」の開催

ワークショップの様子
博物館に展示された壁画断片

 10月3日から11月2日まで、文化庁委託「文化遺産国際協力拠点交流事業」の一環として「タジキスタン国立古代博物館が所蔵する壁画断片の保存修復」の第9次ミッションを実施しました。前回までのミッションで、壁画断片を支持体に設置(マウント)する方法を検討し、基本方針を確定しました。今回のミッションでは、支持体のさらなる軽量化と作業時間の短縮をめざし、作業工程の一部を見直しました。
 また、10月21日から27日まで、同博物館において、ワークショップ「中央アジア出土壁画の保存修復2010」を開催しました。3回目となる今回のワークショップでは、壁画の保存修復作業における最終工程であるマウントをテーマに、中央アジアのカザフスタン、トルクメニスタンから各1名、ロシア国立エルミタージュ博物館壁画修復室から2名、中国敦煌研究院から1名の保存修復専門家が参加しました。また、タジキスタン国立古代博物館の研修生3名も参加しました。 今回のミッションで改良した最新のマウント方法を用い、参加者は、壁画断片を新しい支持体に設置する全工程を体験しました。
 第9次ミッション中に、カライ・カフカハI遺跡から出土した壁画断片のうち6点の保存修復処置を完了し、博物館に展示することができました。タジキスタン国立古代博物館の研修生3名は、今回のミッションで、壁画のマウント、壁画表面の欠損部の充填方法を習得し、保存修復処置の全工程を主体的に行うことができるようになりました。本事業の完了後も、研修生たちが保存修復を継続して実施し、タジキスタンの貴重な文化遺産の保存に貢献していくことを願っています。

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