近世風俗画共同研究調査報告会

近世風俗画調査研究報告会ディスカッションの様子
地下1階ロビーでの高精細画像展示

 企画情報部では2009年度より徳川美術館との共同研究として、近世風俗画の調査を実施しています。2011年1月29日には東京文化財研究所において報告会を開催しました。冒頭には徳川黎明会会長・徳川美術館館長の徳川義崇氏に近年のIT技術の情勢をふまえてご挨拶頂きました。そして江村が「歌舞伎図巻の描写について」と題して、「歌舞伎図巻」(徳川美術館蔵・重要文化財)の細部描写にはこれまでの美術史研究において見過ごされてきた特徴的な表現が認められることを中心に報告しました。次に徳川美術館学芸員・吉川美穂氏が「本多平八郎姿絵屏風の表現について」と題して、「本多平八郎姿絵屏風」(同館蔵・重要文化財)の人物描写を高精細画像のスライドとともに紹介し、画中の葵文小袖を着た女性には、高貴な女性の風俗儀礼・化粧方法の一つである置き眉の痕跡が認められることなどを報告しました。つづいて徳川美術館副館長・四辻秀紀氏による司会でディスカッションを行い、画像情報に関しては国立情報学研究所研究員の中村佳史氏にも議論にご参加いただきました。美術史だけでなく、音楽史、芸能史、服飾史、さらに文化財修復に関係する方々など110名を超える参加者を得て、盛況のうちに閉会しました。また会場としたセミナー室前のロビーでは上下巻で15mに及ぶ「歌舞伎図巻」の原寸大出力画像も展示し、参加者にご覧頂きました。今後もさらなる調査研究とその情報発信をつとめて参ります。

to page top