選定保存技術の調査—漆搔き・漆掻き用具製作

漆掻き
漆鉋(うるしかんな)製作

 文化遺産国際協力センターでは、選定保存技術に関する調査を行い、日本の文化財を守り支える伝統的技術として海外に情報発信する取り組みを行っています。2015年9月には漆掻きと漆掻き用具製作の調査を行いました。
 かつて漆は日本全国で栽培・採取されていましたが、比較的安価な外国産の漆が増え、現在日本国内に流通している漆のうち、国産漆は数パーセントしかありません。国産漆の主要な産地は岩手県二戸市浄法寺町およびその周辺地域で、毎年入梅頃から秋まで、約20人の漆掻き職人によって、漆が採取されています。日本うるし搔き技術保存会が中心となって、技術の保存・継承・活用が推進されています。
 漆掻きには、独特の形状をした鎌・鉋(かんな)・篦(へら)などが使われ、その道具の主要部は金属製で、専用に作られています。漆掻き用具製作の選定保存技術保持者である中畑文利氏は、漆掻き職人1人1人の技術の特徴に応じて、1本ずつ微調整して作られます。日本産漆の生産、利用を行うためには、漆掻き用具製作技術の継承が必要不可欠となっています。
この調査で得られた成果は、報告書にまとめるほか、海外向けのカレンダーを制作する予定です。

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