山口県下松市米川地区の莚織り技術調査

座談会形式で村の方々に昭和20年代の暮らしについてお聞きしました

 7月4日~5日の二日間、下松市米川地区(旧米川村)の西平谷にて莚(むしろ)織り技術の調査を行ないました。西平谷は西谷・平谷から成る谷筋の山間集落ですが、昭和30年以降、沿岸市街地への転出が一気に進み、現在では両村合わせて10戸に満たないほどに過疎化が進行しています。この地域で、地域おこしの一環として、地元有志を中心に莚織りの技術を復活させようとする活動が昨年度から行なわれてきました。莚は古くより日本の百姓の暮らしのなかでごく当たり前に見られた民具であり、その技術もすでに近世から日本列島でほぼ共通しています。しかし当たり前であるからこそ、その技術がきちんと記録されることはほとんどありませんでした。西平谷の莚は自家用に織り継がれてきたものであるために、最も単純な道具を用いた技術であり、莚織り技術のより古い形を保存していると考えられます。調査研究では地元有志をお手伝いする形で莚織り技術を復元し、記録・伝承するとともに、莚という民具の背景にある村の暮らしや環境を掘り起し、記録することを目指しています。

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